家のトイレの手洗い管からの取水は許されるのか?
要約
この論文ではトイレの手洗い管、すなわち手洗いの為にタンクの上に設置されている管から流れる水を取水することによって今後のトイレの使用に影響を与えるか否かをトイレの構造を調査することにより、結論付けることを目的としたものである。調査の結果、手洗い管からの取水はトイレの使用に対して特に影響を与えないことが判明した。本文では、その結論に至った具体的な根拠を提示する。
本文
まず、トイレの手洗い管からの取水によって起こると思われる影響を想定した。
想定し得る影響①:手洗い管からの取水によりタンクに水が貯まらなくなってしまう。
想定し得る影響②:手洗い管からの取水により便器に水が貯まらなくなってしまう。
上記の懸念される影響についてそれぞれ論証する。
①:手洗い管からの取水によりタンクに水が貯まらなくなってしまう。
水の110番救急車で知られる株式会社JUNコーポレーションの公開する記事※1(以下記事1)によるとタンクの中には浮き球、ボールタップと呼ばれる部品が存在し(下図参照)、浮き玉がタンク内の水位をボールタップに伝えることによりボールタップがタンク内の水位に合わせて給水をするということがわかる。
また株式会社TOTOの公開する記事※2(以下記事2)には以下の記載がある。「タンクの水が少なくなると同時にボールタップの浮玉も下がり、ボールタップのバルブから給水が始まり、水位の上昇と同時にボールタップの浮玉も上がり、バルブが閉まることで給水が止まります」(尚、赤字は著者による)
つまり手洗い管から取水を行おうがタンク内のボールタップにより自動的にタンクに給水がされるというわけだ。このことから手洗い管から流れる水の有無はタンクの貯水量に影響を与えないことがわかる。
②:手洗い管からの取水により便器に水が貯まらなくなってしまう。
記事2にて下の図(1.)が掲載されていた。これはトイレの水の流れを示した図である(尚、赤丸は著者による)
この図の赤で囲われた部分を見るとトイレの便器に流れる水はタンクから流れていることがわかる。
従って、手洗い管からの取水により便器に水が流れないということはあり得ないことがわかる。
また記事2には以下の記載がある。「便器の水たまりの水位は排水路の「せき」 によって決まるため、量を多くしたり、少なくしたりといった調節はできません。」(さらに下図2.参照)
このせきがあることによって便器の水たまりは物理的に水量が保たれざるを得ないことがわかる。
以上のことから手洗い管から流れる水の有無は便器の水溜まりの総水量に影響を与えないことがわかる。
結論
本論文では、トイレの手洗い管からの取水がトイレの使用に与える影響について、詳細に検討した。調査の結果、タンクに浮き球やボールタップといった自動給水装置が備わっており、手洗い管から水を取水してもタンクへの給水は適切に行われることから、手洗い管からの取水はタンク内の貯水量や便器内の水量に対して影響を及ぼさないことが確認された。また、便器の水たまりの水位は排水路の構造によって維持されるため、手洗い管からの取水によって便器の水量が減少することはない。
これにより、トイレの手洗い管からの取水は長期的なトイレの使用に対して問題なく許容されるものであることが結論付けられた。
参考文献
※1
“【原因別】トイレ水漏れは自分で直せる!5分でわかる失敗しない修理法.”水の110番救急車, 4 April 2024, https://www.mizu110119.com/column/toilet-water-leak.html.
※2
“トイレのしくみ | その他・お役立ち情報 | お客様サポート.” TOTO, 26 September 2024. https://jp.toto.com/support/tips/toilet/kaiteki/shikumi/