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コーヒーの味作りについて

こんにちは。NO WAVE COFFEEの奥田です。オンラインでのコーヒー販売や、焙煎機のシェアサービス「シェアロースター」の運営、それからCAMPFIREのパートナーとしてクラウドファンディングの無料サポートを行なっています。

今日は久しぶりに、コーヒーのことについて書いてみたいと思います。
コーヒーの味作りについて、みなさんはどんなことをイメージするでしょうか。苦さの加減?濃さ?酸味のあるなし?いろいろありますよね。

僕はここの味作りのところにコーヒー屋さんの想いだったり、戦略だったり、いろんなものが混ざっていると思っていて、自分がやるときにもすごく大事にしている分だったりします。

今日は具体的にどんなふうに考えて、コーヒーの味づくりをしているのかを書いてみたいと思います。


White Monkey と 味作り

最近、墨田区の東向島というところで「白猿 COFFEE LAB.」というお店をオープンしました。いまはそこの店長をやらせてもらってます。

ここのお店はNO WAVE COFFEEとしてではなく、White Monkeyという会社のお店で、ちょうど1年前くらいから僕はコーヒーを卸させてもらっています。なので、人に説明するときは卸先の開業支援みたいな感じですと伝えていたりします。(違う言い方をすると、友達と一緒にお店やってるくらいの感覚です)

味作りは1年前に遡ります。最初いっしょにコーヒーを販売しようとなったとき、White Monkeyはまだお店を持っていませんでした。

ECからコーヒーの販売を始めて、それからイベントを開催しつつ、店舗オープンの準備を進めていきたい、という話だったような気がします。
取り扱うコーヒーはインフューズドコーヒーといって、果物とコーヒーをいっしょに発酵させることで、爆発的なフレーバーをもつコーヒーのみの取り扱いとなりました。

そこでWhite Monkeyの代表の山田姫奈さんや、スタッフの方と話し合いを重ねながら味を作っていったのですが
基本僕から提案していたのは、インフューズドコーヒーらしさがわかりやすく感じられるフレーバーを強く押し出した味でした。

そもそもEC販売における味作りのほとんどは、コーヒーの焙煎工程で行われます。

コーヒー焙煎の味作りは常にトレードオフで、コーヒーが持つポテンシャルのすべてを一度に発揮することはできません。どれかを引き立たせるには、別の何かを削らなければいけない、というのが焙煎(味作り)の基本となります。

フレーバーを強く押し出すということは、同時に酸味も強くなり、逆にボディや質感が弱くなってしまう傾向にあります。
フレーバーが強くなる分、酸味が苦手な方には飲みづらいコーヒーになってしまうリスクがありました。

なぜそうしたか、話し合いをしながら進めていったのもあり、あくまで僕目線の見解になりますが、その方が良いと判断しました。

White Monkeyというブランドからコーヒーを買うということは、ECという星の数ほどあるコーヒーブランドの中から購入してもらうのだから、できるだけコーヒーの味の違いを明確に伝えたい、という思いがありました。
ましてや取り扱うのはインフューズドコーヒーという、普通の市場には出回っていないような超希少なコーヒーです。


とはいえ、フレーバーを強く押し出して差別化を図る味作りには、酸味もいっしょにでてきてしまう。そのデメリットを最初はお客さんの抽出方法で補うことで味づくりを補完することにしました。

White Monkeyとしての最初の販売はコールドブリュー(水出しコーヒー)やミルクブリュー(ミルク出しコーヒー)から販売を開始。それによって、比較的酸味を抑えやすい抽出方法でみなさんに楽しんでいただくことができました。これもいろんな要因がありますが、味作り観点からとてもよかったと思っています。

こうして販売するコーヒーはストロベリーやピーチフレーバーから始まり、ココナッツやオレンジなど、さまざまなフレーバーを明確に感じられる味作りでコーヒーを販売してきました。


白猿 COFFEE LAB. のオープン

白猿 COFFE LAB. オープンの日

それから転機が訪れました。

White Monkeyといっしょにコーヒーを届けてから一年越しに、念願の店舗がオープンしました。ここは焙煎所としてであったり、コーヒーの研究所としてのカフェですが、それでも毎日お客さんは来店されます。

これまである種「インパクト重視」だった味作りから、方向を変えていくことを考え始めました。

フレーバーを強く押し出した味作りだと、刺さる人には深く刺さるし、違いを明確に感じてもらいやすくなるのが最大のメリットだと思っています。ただその分コーヒーの酸味が出てきてしまい、それを苦手だと感じてしまう人がいることも承知の上でした。(それでもインフューズドコーヒーの良さを伝えたかったのです)

EC販売においてはそれでよかったのだと僕は思っていますが、実店舗となるとそうもいきません。ふらっと入られた店舗周辺にお住まいの方にも、コーヒーのおいしさを届けたい。そう思うと、味づくりを変更しなければいけないと思うようになりました。

もともとどこかで味づくりをパッと輝くハレの日の味から、徐々に日常に馴染むようなケの日の味作りに方針を変えていかなければいけないだろうと思っていました。一年経って「その時が来たか。。」と一人、感慨深くなったのを覚えています。笑

ここでフレーバー重視の焙煎から、それよりももっといろんな人が飲みやすく、より多くの人の明日を生きる活力になれるようなコーヒーを目指すことにしました。以前よりフレーバーはやや抑え、その分酸味に丸みを持たせ、甘さと余韻を出す。そんな味作りの仕方にちょっとずつ変更していきました。


そして、その文脈で生まれたのが今提供している「小猿ブレンド」です。

現在お店のみで販売している、小猿ブレンド

こちらは現在、ECでは販売されていないお店限定のブレンドとなっています。ストロベリーのインフューズドと、エチオピアのナチュラルとウォッシュドが配合されたブレンドコーヒーで、おかげさまで好評いただいています。

このコーヒーは今までの味作りから大きく方針を変え、誰もがおいしいと感じつつ、インフューズドコーヒーの良さをしっかりと伝えられるコーヒーに仕上がりました。(今はお店限定での販売ですが、いずれまたECでも販売できるようになるかも?)

飲食の本質は体験であると、誰かが言っていました。僕もその通りだと思っています。誰に、どんな体験を、どのようにしてほしいか、そこから常に逆算して味作りをしていきたいと、僕は思っています。

コーヒーの味作りについて

コーヒーの味作りも、正解がないこと一つです。だからこそ、いろんな想いをもって一つ一つのコーヒーの味作りにこだわっていることを、少しでも知っていただけたらコーヒー屋冥利に尽きます。

コーヒー豆それぞれの特徴に合わせた、おいしい焙煎をするのは当然として、さらにその先にある体験をイメージしながらこれからも味を作っていきたいと思っています。

もし今後お店に来店される機会や、どこかで僕が焼いたコーヒーを飲む機会があれば、そんなことを考えながら作っているんだなーと思ってもらえるとうれしいです。


またNO WAVE COFFEE、およびWhite Monkeyでもカフェやレストランなど卸販売も承っておりますので、ご興味ある方はぜひご連絡お待ちしておリます。

白猿 COFFEE LAB.の場所はこちら。


最後までお読みいただきありがとうございました。

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tatsuki / NO WAVE COFFEE
ここでサポートしていただいたお金は、すべてコーヒーの研究費に使わせていただきます。新しい生豆を購入して焙煎や抽出の研究をしたり、新しいコーヒー器具を購入してレビューしたりします。あとたまに美味しいもの食べます。笑