短歌おきば 2020-05 (降順)

いつのまに夏の来ぬらむあだし世の風にたゆたふしもつけの花

ごほうびのビリヤニ食へばまどろみの喫水線とたはむるる横

こひぬまの底にかこちぬはじめよりわが羽ばたきはおつるさだめか

ともばかりのびて見えたるふた月をともに生けらむうらの夏草

ほととぎすいかな心の松とても鳥には鳥のなきどきぞある

ひらかるる日のおぼつかなき積読もありし昔のわれの形代

すみわびてゆくかたもなき戀しさにけふも鳴きあふ鵯うらやみぬ

長ごもり穂に出でたるは見えねどもひととせぶりの花栗の香(かう)

雲まよふうき世の中になきわたるわれは荒屋なつどりは空

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?