短歌おきば 2021-07
アガパンサス恋のそれともわかぬ日のおなじ夏野に花の咲くらむ
くちなしの八重にうちそふ古寺の声ぞしみゆく暁の雨
夏蟬の声はなごりに暮れはてて小雨すずしきねやのさよ風
風きほひ雲こゑごゑにソプラノもバスも千々ゆく夕立の雨
風よわる夏の道べに塵立てて踊るやあつきランマーの音
青鷺は池の島守羽干して影のしづくに法やしるらむ
はかなくていくかの夏の入相の声つくづくと法師蟬かな
夏衣うすきうたたね風たちて雲居さやけし小夜の月かげ
尽きぬなり入日も蟬の諸ごゑもいつしかひとり夕闇の風