
のびパパ軽井沢日記:#8 もう、秋・・・
「イデア的感性の持ち主」であるのびパパは、世の中の動きに疎い。
たとえば、何がこれから流行りそうか、なんてことはまったく分からない。
「野菜のブーケ」との異名のあるサンドイッチを売る「ポタスタ」をヒットさせていた数年前、「次はメルティですね」と漏らしていた「フレッシュネスバーガー」創始者・栗原幹雄氏の話を聞いていると、この人は異星人ではないか、と思ってしまう。今では「ポタメルト」というグリルドチーズサンドイッチなどを売る店を展開しているとのことだ。
新大久保のチーズタッカルビと、どちらが先だったのだろうか?
POTASTA (gpo.co.jp)
POTAMELT (gpo.co.jp)
だが、よくしたもので、僕には「世の中のアンテナ」とでもいうべき参謀が付いている。いや、参謀ではない、ボスだ。
世の中の人たちはどう思うのだろうか、どう動くだろうか、と疑問に思ったら、ボスに聞けばいい。
すぐに分かる。
だいたい当たっている。
あれはいつのことだっただろうか。
子どもたちが実家にやってきて、駄弁っていた時の話だ。
小沢一郎の勢いが止まらず、将来「総理」になるのでは、と噂されていたころだった。
誰かが「小沢一郎は総理になるだろうか、どう思う?」と聞いた。
ボスは一刀両断に「彼はダメ」と応えた。
あの顔は、世の中の奥様方がぜったいに支持しないと。
もっと昔の話だが、ボスは友人たちとテレビ番組の収録に行ったことがあったそうだ。その時、デビューしたばかりの山口百恵とテレビ局内のエレベーターで一緒になった。山口百恵は、単なる観客であるボスたちにきちんと挨拶をしたそうだ。
「あの子は売れる」と直感したボスは、周りにそう話していた。
小沢一郎と山口百恵の「その後」を見ていると、ボスは世論の「鏡」だとつくづく思う。
他にも似たような事例は多々ある。
理由はよく分からない。
爾来、僕は「世の中の人はどう思うだろうか」と悩んだときは、ボスの意見を聞くことにしている。
ほとんど間違えることはない。
間違えるのは、ボスのアドバイスを無視して僕の好みで判断したときだ。
自伝『蒼い時』にあるような家庭生活を送った山口百恵は、1980年、21歳の時に芸能界を引退し、TVドラマ「赤いシリーズ」で共演していた三浦友和と結婚した。爾来、表舞台に出ることはないまま、今日を迎えている。
彼女にはいくつものヒット曲があるが、のびパパが一番好きなのは「秋桜」だ。
楽曲を提供したさだまさしは2000年6月、ロンドン「ロイヤル・アルバート・ホール」でも歌っていた。なぜか、ファンクラブのおばさまたちが大挙して日本からついて来ており、国技館で楽しんでいるのかとの錯覚すら覚えさせるコンサートだった。
「秋桜」の歌詞の中で、特に、次のくだりが好きだ。
♪明日 嫁ぐ私に
苦労はしても 笑い話に時が変える
心配いらないと 笑った♪
昨日、散歩していて気が付いた。
軽井沢では、コスモスが咲き始めた。
夏は、もうすぐ、終わる。
・・・
コスモスは、のびパパにとって特別な花だ。
結婚した翌年、第一子が生まれた。
夏が過ぎて秋風が心地よい季節になった週末、生後3か月のベイビーを乳母車に乗せて近所に散歩に出た。
歩いて数分のところにある小学校の庭に、ピンクのコスモスが咲いていた。
おだやかな日だった。
3か月ベイビーは、眩しそうに空を見上げている。
僕は、心の中で話しかけていた。
「コスモスは、君の花だ。いくつになっても、君の花だ」と。
人生にはいろいろなことがある。
嬉しいことも、悲しいことも。
実際、いろいろなことがあった。いや、今でも、ある。
だが、すべてのことは、時が笑い話に変えてくれる、きっと。
だから、何の心配もいらない、と、毎日を笑って過ごそう。
コスモスを見るたびに、そう思う。