2万回を超えた「ごちそうさま」(1/29)
【ごちそうさま】
2万1900回。20年間、一日三食たべた場合の食事回数らしい。24歳なのでこれよりも多い回数、どこかで誰かと、あるいは一人で生命を食べてきた。食べ終わり心満たされたときも、もの足りないときもあったが、生かされてきたのだから感謝してもしきれない。という前提のもと、ふと思った。
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味そのものを完璧に記憶から呼び覚ますことはできない。これだけの回数食べていれば当たり前かもしれないが、やっぱり勿体ない気持ちになる。それなのに、そう思った数時間後にはまた食べて記憶を上書きしていく。いただきますごちそうさまのリズムは止められない。
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美味しかったです。また来ます。一言だけでも、店の人に伝える。また来ようね、と一緒に来てくれた友人に微笑む。たったその一言だけで、何万、何十万回のうちの一つでも、食事は特別なものに変わる。一つでも多く、美味しいと思った瞬間、幸せを確かに感じた瞬間を残すことで、見えてくる世界も変わるように思う。