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補遺(2)・デシジョンテーブルとデシジョンテーブルテスト (T3:Pt2:Ch01)

デシジョンテーブルとデシジョンテーブルテスト (T3:Pt2:Ch01)」「補遺・デシジョンテーブルとデシジョンテーブルテスト」へのさらに付記。
蔵書()の棚卸しをしていたら、『ソフトウェアの信頼性 ソフトウェア・エンジニアリング概説』を発掘し、ぱらぱらめくっていたらデシジョンテーブルへの言及が数ヶ所あったので、補遺の補遺として書き残しておこうと思いました。

また別の“マイヤーズ本”『ソフトウェアの信頼性』

『ソフトウェアの信頼性』は、『ソフトウェア・テストの技法』で知られるG.J.マイヤーズの著書で、ソフトウェア/システムの設計と テスト について論じた本です。
日本語訳出版は1977年、原著は1976年出版のようです。

ソフトウェアテストや検証、ソフトウェア品質に関する言及は、今読んでも示唆に富んでいると思います。一読の価値のある書籍です。

以下、デシジョンテーブル(本書中では「決定表」)に言及している箇所を抽出します。

『ソフトウェアの信頼性』に登場するデシジョンテーブル

第4章 要求,目標,仕様

複雑なユーザ(分)機能のどれについても、原因結果の関連性で出力とシステムの変化を入力に対応付けることは、そう容易な仕事ではない。この問題については、決定表 (decision table)が優れた解答である。

『ソフトウェアの信頼性』p.75

決定表は、ソフトウェアの信頼性のために有用な手段である。(略)
外部仕様としての決定表は、仕様を吟味するユーザが容易に理解できる。さらに外部仕様の決定表は、プログラマが製品の内部ロジックを設計するための入力としても理想的である。

『ソフトウェアの信頼性』p.77

と、デシジョンテーブルの長所・利点を挙げた後で……

理由はあまりはっきりしないけれども、決定表は広く使用されてはいない。

『ソフトウェアの信頼性』p.77

…………

なんだか末尾に(´・ω・`)と添えられていそうな感じで記されています。
本書が出版されたのが1976年。考案(1958年ごろ)されて20年、ISO標準化も始まった(1975年)という時期に(なっても)、デシジョンテーブルは「(知られてはいても)使われてはいない」存在だったようです(´・ω・`)

第12章 機能テストとシステムテスト

本書ではソフトウェアテストやソフトウェアの品質確保についても多くの章・節を割いていますが、第12章では原因結果グラフの解説もしています。その中でデシジョンテーブルについてわずかながら言及されています(原因結果グラフからテストケースを導出する際にデシジョンテーブルを経由する)。

結び

デシジョンテーブルが「(知られてはいたとしても)広く使われてはいない」ものだったのだとすると、デシジョンテーブルテストというテスト技法の見方も変わってくるなと感じました。「デシジョンテーブルをテストを設計するためのツールとして“再発見”し、新たな位置づけを与えた」ということになるかも知れません。
(だからみんながんがん使いましょう)

『ソフトウェアの信頼性』には、ソフトウェアテストに関する話題や、ソフトウェア品質の確保に関する話題も多く取り上げられています。「古に綴られた書籍」ですが、当時と今ではどんなことが違っているのか、今でも色褪せていないことはあるか、など、稿を改めて紹介できればと思っています。


参考文献

  • G.J.マイヤーズ, 有澤誠・訳 / 『ソフトウェアの信頼性 ソフトウェア・エンジニアリング概説』/ 近代科学社(1977年)

    • G. J. Myers, "Software Reliability - Principles and Practices", 1976

  • デシジョンテーブルテストの歴史 / 辰巳敬三 / http://a-lifelong-tester.cocolog-nifty.com/blog/2011/10/post-398b.html


(2023-09-29 R001)

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