小寺の論壇:「曖昧をヨシとする?」イマーシブサラウンドとその次の世界
知財、IT産業、ネット、放送、買ったもの、ライフハックなど、コデラの気になるところを語ります。
先日、BOSEのサウンドバー、「Smart Soundbar 600」をお借りして試聴する機会を得た。昨年発売の「Smart Soundbar 300」は全長約70cmのショートモデルではあったが、上向きにスピーカーがないので、Dolby Atmosには非対応だった。一方600は、300と同じサイズのボディに上向きのスピーカーを2つ仕込んで、Dolby Atmos対応とした。
このサイズでやれるなら1年前の300の頃から対応すればよかったのに、とも思うわけだが、色々戦略もあるのだろう。ちなみに上位モデルの「Smart Soundbar 900」は9つのスピーカーを搭載した全長の長いモデルだが、価格は600と1万円しか違わない。それだったら900を買うよな、と思っているわけだが、やっぱり市場はそのように動いていて、価格.comの売上ランキングを見ても、900の方が上位にきている。
このシリーズは入力がシンプルで、ケーブル入力はHDMI(eARC)と光デジタルしかない。Dolby Atmosはこのケーブル接続で行なうわけだが、実はその辺がシンプルに見えて、ややこしいことになったと思っている。
テレビ側のストリーミングサービス、例えばNetflixは、テレビにサービスが内蔵されているモデルも増えているわけだが、HDMI(eARC)で外部サウンドバーを接続した際に、Dolby Atmosで受信できているのか、確認する方法がない。
サービス側としては、受信側にサラウンド装置がない場合は自動的に2chステレオで送ってくる。もしサービス側がサウンドバーの接続を認識していないなら、Dolby Atmosでは受信できていない。
それでもテレビ内蔵サービスなら、ある意味サウンドバーはテレビ直結状態なので、テレビ側からサービス側に、自分はサラウンド対応であるというフィードバックを返すことはできる。
ややこしいのは、FireTV Stick 4K Maxのような外付けの受信装置を使う場合だ。FireTV Stick 4K Maxでは、Echo Studioとグループ化して、ホームシアターシステムとする機能がある。こうしてグループ化した場合は、FireTV Stick 4K Max自身がサラウンド再生が可能だと認識し、サービス側にDolby Atmosでの送信をリクエストできるし、実際にそうなっている。
しかしこうしたグループ化ではなく、自分自身も単なるテレビの外付け装置として繋がった場合は、サウンドバーと直結しているわけではない。よって自分にサラウンドシステムが繋がっているかどうかは、テレビ側がそれをリレーして伝える気があるのか次第になる。
確実なのは、サウンドバー側にHDMI入力があり、そこにFireTV Stick 4K Maxを直接挿すことだろう。だが「Smart Soundbar 600」にはHDMI(eARC)が1つあるだけで、そうした接続には対応しない。
Dolby Atmosではなく2chで受信しているなら、音を聴けばわかるだろうと思われるかもしれない。だが2chソースをアップミックス化する「TrueSpaceテクノロジー」が自動でONになるので、イマーシブサラウンドっぽく聞こえてしまうのだ。Dolby Atmosと聞き比べるという「比較」ができないので、よくわからないのである。
そもそもサウンドバー側に、今どんな信号を受信しているのかを表示する機能がないので、よくわからないけどなんとなく拡がってるからOK、で納得するしかない。
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