壇先生に聞く、「ステマ規制」でどう変わる? (1)
毎月専門家のゲストをお招きして、旬なネタ、トレンドのお話を伺います。
今週からの対談は、以前から気になっていた景品表示法によるステルスマーケティング規制について、弁護士の壇俊光先生にお話しを伺う。
この話、わかりにくいのであまり詳しい記事が出ていないが、昨年半年ぐらいかけて消費者庁の「セールスマーケティングに関する検討会」にて議論し、景品表示法の不当表示の対象に、「消費者が、事業者=広告主の表示であることを判別することが困難であると認められるもの」を新たに追加し、禁止行為としてステルスマーケティングが指定されることとなった。
この有識者検討会の議事録を漁っていたら、以前からインターネットユーザー協会でお付き合いのある壇先生が委員であることがわかり、さっそく伺うことにした、というわけである。
日本で初めて実施されるステルスマーケティング規制は、なにがセーフでなにがアウトなのか。規制の趣旨などを伺っていく。(全4回予定)
小寺:ステルスマーケティングのはじめの一歩として、まずステルスマーケティングの何が問題なのか、というところを整理していただきたいんですが。
壇:問題は、「消費者の自由な選択を妨げる」ってことですね。これまでは事業者自身が行なう、品質とかサービスが有利か不利かとか、そういう広告表現関しては、景表法(景品表示法)の規制対象になってたんですよね。
小寺:はい。
壇:それがこのインターネットの時代を迎えて、消費者というのは別に金額だけとか、その内容だけで判断してるわけではない、ということがだんだんわかってきた。第三者の方とかが「良い!」とか言ってるもののほうが、価値が高いということがわかってきた。
小寺:要するに、口コミの力が強くなってきたということですね。
壇:そうですね。そういうのが商品選択において重要な要素を占めるようになってきて。ネットでは、商品そのものを手に取って見ることもできないとか、お試しでやることもなかなかできないということがあって、どうしてもそういう要素が強くなってきた。だからそれに対して、第三者を装って商品を広告するということが有効であるということもわかってきた。
1つは「インフルエンサー型」みたいな、有名人のSNS投稿でこれは広告って書いてないけどまあそれっぽいよね、というやつ。もう1つは、口コミサイトとか食べログとかでよくある、業者さんがお客になりすまして書き込むような形態が出てきた。これが2012年ぐらいから問題になってきたんですよね。
「ペニーオークション詐欺事件」というのが決定的で、こういうものがこれから流行ってくるだろうということになり、これは規制しなきゃいけないだろう、というふうになってきたわけですね。
小寺:なるほど。この法規制の流れの中には、消費者の買い物はEコマースが主力になってきたと。その上昇カーブと寄り添うようにして、この問題が拡大してきたという感じなんですかね。
壇:それは大きいですね。
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