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庄司昌彦教授に聴く、行政DX最前線(4)

毎月専門家のゲストをお招きして、旬なネタ、トレンドのお話を伺います。


武蔵大学社会学部メディア社会学科教授の庄司昌彦さんに、地方行政DXの今を伺う4回目。

行政のDX化とは言っても、その下回りを固めるとなると、これまで紙だからどうにかなってきた部分や、その情報が自治体の中だけで収まっていたから問題にならなかった部分が、どんどん大きな話になってくる。それだけ地方行政は中央とは切り離されて、小さな範囲で回してきた。地方自治体は現在、1718市町村あるわけで、明治維新の廃藩置県以来の150年間ぐらいの澱が、1718箇所の役所の隅っこに溜まっている。

それをDX化のために、いったん引っ張り出して均しましょう、という話なのだから、大変なことをやっているわけだ。多分やり始めてから、これは大変だと気づいた事も多いだろう。


小寺:で、その人名7万字を網羅したフォントというのが出来上がるわけじゃないですか。それは、国民に無料配布とかという話になるんですかね。役所だけが使う?

庄司:基本、役所だけだと思います。行政システム間でのやり取りには使うけど、外に出すときには「JIS X0213」という1万字のほうでいきましょうという話になってますね。ただ国際標準化はすると言っていて、国際標準化されたならばもう公共財だと思うので、配布はするでしょう。

小寺:役所の周りで行政事務のシステム回りの下請けとか、行政書士、司法書士、それから登記関係の仕事をしてる人たちとか、役所の手先となって動くわけで、そこの人たちもいるんじゃないですかね。

庄司:別に、そうしたくないという議論は特にないです。

小寺:なるほど。使いたければどうぞ、という。

庄司:というか、まだそこまで議論してない(笑)。

小寺:ははは、そこまで詰まってないのか(笑)。

で、行政DXの標準化仕様書、2022年に庄司さんに話を聞いた時は、バージョン1ができました、という段階での話でした。今バージョンが徐々に上がっていっているわけですけど、これはどういう進化なんでしょうか。標準化しなければならない部分って、いっぱいありますよね。

庄司:機能と、帳票と言われているものだけを標準化しています。○○を表示する機能とか、○○を印刷する機能とか、○○データを△△へ送る機能とか、そういう“機能”を標準化している。揃えていて、定義をしてます。

あとは帳票という、「紙に出すんだったら、この項目、このレイアウトでやってください」というのを定義してます。で、バージョン1が20業務ぶんできてたんですけど、ガバメントクラウドの議論とかが同時並行で走ってて、その当時はまだよくわかんなかったことが決まったので、これに合わせて影響範囲を変えてくださいとか。例えば、バージョン1ができた後に「ふりがなを全員名前につけましょう」ということが国会で決まったので、それに伴う改訂をしましょうとか、そういうことですね。

小寺:ふりがなの問題、マイナンバーの話がありましたよね。銀行口座とマイナンバーが紐付かないというの話。

庄司:はい。そうなんですよ。

小寺:それが元で、ふりがなを入れろと。

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