TVS REGZA片岡秀夫さんに聴く、「テレビはこう見られている」(02)
前回からの対談は、TVS REGZA株式会社 クラウド事業センター センター長の片岡秀夫さんにお話しを伺っている。
前回までは片岡さんがRD開発以降にやってきたことをおさらいしたが、今回から現在の片岡さんが手がけているデータ解析事業の、具体的なデータを拝見させていただく。これらは実際に販売しているものなので、一般の方はこれまで見たことがないはずのデータである。
過去テレビの深夜枠が大人向けのトライアルな場として機能してきたのは、深夜なら子供は見ないという前提があったからだ。だがレコーダの発達により、深夜枠は格安でプロモーションに使える枠に変質した。ライブの視聴率はそれほど上がらなくても、録画で視聴されれば市場開拓に繋がるという考え方だ。
だが録画されてから先のユーザー動向というのは、これまで追いかけようがなかった。それを追いかけるのが、片岡さんのチームの仕事である。
この分析に興味があるという方は、以下のところにフォームがあるので、問い合わせてみるといいだろう。
小寺:『SPY×FAMILY』が全世代で強いから別格っていうのはわかりましたけど、これって他のアニメでは、性別とか年齢別でそれぞれ特徴があるわけですか。
片岡:はい、こんな感じで。例えば『カッコウの許嫁』ですと、これはT層(TeenAge層。主に中学生ぐらいから成人するまでの年齢層)がいちばん高くて4位なんですね。F1(女性20〜34歳)層が18位で、M1(男性20〜34歳)層が13位、ということで、男女ともに若い人が観る番組。
一方で『古見さんは、コミュ症です。』というのは、ちょっと一般向けなんですね。どちらかというと、オタクじゃない人も観る、ドラマっぽいやつ。若い人にもウケるけど、全体的に底上げされて、家族全体でも5位に入る。
小寺:ちょっと『極主夫道』を見せてもらってもいいですか。
片岡:これはティーンが低めで、メインはF2。女性のほうで順位を稼いでる作品ですね。イケメン声優がやってますしね。
小寺:あっ、そういうことですか。
片岡:そういうのもあるんです。
小寺:こうやって見ると、アニメの評価のされ具合って面白いですね。アニメ評として作品を見るのと違って、データで実際に誰がどう観てるのか、ファン層が見えてくる。
片岡:そういう分析にいちばん向いてるのがこの画面「ファン集合:リフト値 vs. 接触率」で、私がいちばん苦労して肝入りで作りました。今回、『SPY×FAMILY』が異常に高いので、それ以外が潰れちゃうんですけど。
小寺:あはは、そっか(笑)。一個が飛び出してるから、残りが圧縮されちゃうんですね。
片岡:なので、申し訳ないけどちょっと『SPY×FAMILY』はいったんここから除外してあげると、もうちょっと見えてくる。
小寺:(笑)。
片岡:で、これは『SPY×FAMILY』を観たファン集合、確実に7割以上の話数を観たであろうという集合の中で、その人たちが他のアニメをどれぐらい観ているのか。たくさん観ている作品ほど右に行くんですね。すると、22%の人が『キングダム』を見てる、というのがわかる。
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