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小寺の論壇:中国系ECサイト「Temu」との正しい距離感
知財、IT産業、ネット、放送、買ったもの、ライフハックなど、コデラの気になるところを語ります。
先日、「Temu」について原稿を書いて欲しいという依頼があった。昨今テレビでもCMが始まっており、ネットでも利用報告は多く、明らかに詐欺と思われる商品の分解記事なども掲載されているのは知っていた。
ただ自分自身では利用したことがなかったので、どういうものなのか調査をかねて、スマホアプリをダウンロードして、実際に使ってみることにした。
すでに便利に使っている人もいるだろうし、まだ使ったことないという人もいるだろう。こうした中国系ECサイトとどう付き合うのが妥当なのか、考えてみた。
■並行輸入のリスク
日本で展開しているECサイトには、Amazonや楽天、ヨドバシドットコムなどがよく知られているところだが、これらのサービスは日本法人があり、国内で在庫しているものを日本の流通に乗せて販売している。
Amazonの場合は、米国のサービスが本体であり、サービスを切り替えることで米国でしか売っていない商品も買うことができる。ただそれは、並行輸入ということになる。
Temuの場合、アプリの言語は完全に日本語化されてはいるものの、基本的には米国Amazonからモノを買う状況と変わりない。つまり、諸外国向けに流通している商品を、並行輸入で買うという扱いになるわけだ。
あんまり変わらないじゃないかと思われるかもしれないが、Temuの商品は日本向けにカスタマイズされたものではない。つまり、日本の法律に適合しないものでも買えてしまうところは、注意が必要である。実際に米国では昨年7月に、中国からの並行輸入品の子供用パジャマ4万5千セット以上が、火傷の危険性と連邦可燃性基準違反でリコールとなった例がある。
バッテリーや電気製品の場合には、日本のPSE法に適合しているかどうか記載がないものがほとんどだ。またタブレットやパソコン、ワイヤレスイヤホンなど電波を発するものは、日本の技術基準適合証明を受けていないものも、直接買えてしまう。
一般的に日本法人の正規輸入代理店などを経由して日本に入ってくる商品は、これらの必要な認可を受けて、マークなどを表示して販売するのが常だ。だから海外製造品でも、日本国内で安心して使えるわけである。
マークだけ真似して勝手に表示している製品もあるんじゃないか、という指摘もあるだろう。確かにそうした商品は、ゼロではないかもしれない。だがその違反が発覚した際の罰則がとてつもなく重いので、そうした一か八かのリスクを犯すより、ちゃんと申請したほうが全然安いという立て付けによって、うまく回るような仕組みになっている。
Temuからやってくる商品のほとんどは、こうした処理を何もしていないので、マークの表示等がない場合、使用すると使用者が罰則を受ける。一方で、販売者は罪に問われない。流通させるだけなら、罪には問えないのである。
またガジェット系では、偽物も横行している。例えばSDカードやSSDといったものは、ノーブランド、あるいは無名ブランドの格安商品が多数出品されている。日本のYouTuberがSDカードをランダムに購入して調べてみたところ、7割が容量偽装していたという検証結果もある。
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