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小寺の論壇:来なかった未来。「ファブレット」はどうして廃れたのか
知財、IT産業、ネット、放送、買ったもの、ライフハックなど、コデラの気になるところを語ります。
今からおよそ10年ほど前、スマートフォンとタブレットの中間的なサイズの「ファブレット」と呼ばれる製品群があったのを覚えている人はいるだろうか。「Phone」と「Tablet」の両方の特徴を併せ持つから、「Phablet」というわけである。
事の発端は、2010年頃に遡る。このあたりで4Gによるブロードバンド通信が可能になり、モバイルで通信可能なデータ容量が飛躍的に増えた。それまでのスマートフォンは、主にテキストや写真をやり取りするためのツールだったのが、HD解像度の動画も視聴可能になってきた。
当時はまだ、NetflixもAmazon Primeも、ビデオチャットもない。メインはYouTubeである。当時のスマートフォンは3インチ後半から4インチ程度の画面サイズしかなく、映像コンテンツを見るには小さすぎた。
そこで注目されたのが、タブレットである。iPadが2010年に発売されると、多くの人が飛びついた。ただ当時はWi-Fiモデルが主流で、キャリアタイプは3Gしかなかった。9.7インチというサイズは、動画視聴には十分だったが、利用は家庭や会社などに限られる。モバイルで使うには、4Gスマホからのテザリングという手があったが、電車の中でちょこっと見るには、iPadは大きすぎた。
ファブレットはそうした中間的なニーズを汲み取って登場した…わけだが、最初はそうではなかった。
■ファブレット誕生の背景
いわゆる「大型スマホ」というくくりで見ると、ファブレットと言っていい最初のモデルは、2011年発売の「Galaxy Note」と見るべきだろう。
5.3インチというサイズは、今ではまったく大きくはないが、当時はディスプレイの回りにベゼル部分が必要だったので、ボディサイズはそれなりに大きかった。Noteというネーミングからもわかるように、当時はタッチペンによる手書きの需要に応えるというコンセプトであった。つまりどちらかといえば、タブレット寄りの製品だったわけである。
当初は5.3インチでも、大きすぎると言われたものだ。当時のスマホは、片手で持てるどころか、ワイシャツの胸ポケットに入れるのが主流であった。少し大きな画面がいいなら、2012年発売の「iPad mini」でいいんじゃないか。実際にこの製品に多くの人が流れていった。
しかしそれとは別の流れを生み出したのが、2013年のソニー「Xperia Z Ultra」だった。6.4インチの薄型端末で、防塵防滴性能も備えた意欲作である。これの人気が爆発した。実質的にX Ultraが登場してから、ファブレットという言葉も誕生した。
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