増担保規制とは?増担保規制が実施される条件や株価への影響などを解説!

増担保規制とは?

「増担保規制」とは、相場の過熱を抑えるために行われる信用規制のことで、信用残高が大きくなりすぎたときに実施されます。
委託保証金率を引き上げ、新規の信用買いを抑制します。
(『委託保証金率の引き上げ=担保の金額を増やす規制』なので「増担保規制」と呼ばれます。)

信用取引とは委託保証金(現金や株式など)を証券会社に担保として預け、資金や株式を借りて元手以上の売買を行う取引のことです。(委託保証金は最低30万円以上、委託保証金率は約定代金の30%以上必要となります。)

増担保規制を実施する理由

増担保規制を実施する理由は以下の通りです。

株価を抑制する(過熱感を抑える)ため

増担保規制は株価が急上昇した銘柄に対して発動されます。日本取引所グループは以下の2ステップで株価の抑制をはかります。⬇️

1. 日々公表銘柄のリストに追加
2. 増担保規制の実施

まず、信用取引で株価が急上昇した銘柄は日々公表銘柄のリストに追加されます。日々公表銘柄は投資家に信用取引の利用に関して注意を促す目的で公開されます。
(この段階では取引の制限はされず、取引が過熱していることを投資家に周知するだけです)

そして、株価を抑制するための最終手段が増担保規制になります。
(増担保規制は、日々公表銘柄の中から取引所が定めるガイドラインに抵触した銘柄に実施されます)
増担保規制は委託保証金率を引き上げ、新規の信用買いを入りにくくするので株価の抑制が期待できます。

投資家を保護するため

信用取引によって株価が急激に上昇した銘柄は、その後、一気に下落することが多いです。株価が急落すれば大きな損失を生んでしまったり、信用取引の場合は借金を負う可能性もあります。そんな過熱感のある銘柄の株価を落ち着かせる目的で増担保規制を実施し、投資家の保護を図ります

増担保規制の段階について

増担保規制は4段階で行われ、各段階に委託保証金率が設定されています。
【第1次措置】
委託保証金率50%
(うち、現金保証金分20%)
【第2次措置】
委託保証金率70%
(うち、現金保証金分40%)
【第3次措置】
委託保証金率90%
(うち、現金保証金分60%)
【第4次措置】
新規の信用取引禁止
第1次措置では、委託保証金率が30%から50%に引き上げられます。例えば、100万円信用買いしたい場合、通常は30万円のところ、50万円の保証金が必要になります。
第2次措置では70万円、第3次措置では90万円の保証金が必要になっていきます。

※多くの場合、第1次・第2次措置までで、第3次以降の規制が実施されることはほとんどありません。

ただし、証券会社が独自で委託保証金率を引き上げることもあるので、株価が急上昇し続けている銘柄を取引する際は注意が必要です。

増担保規制が実施される条件

増担保規制(第1次措置)が実施される条件は以下の通りで、4つの基準のいずれかに該当すると実施されます。

【残高基準】

イ:売残高の対上場株式数比率が15%以上で、かつ売残高の対買残高比率が 70%以上

ロ:買残高の対上場株式数比率が30%以上で、かつ3営業日連続して各営業日の株価と各営業日時点における25日移動平均株価との乖離が30%以上

ハ:当取引所が「信用取引残高が継続的に増加している銘柄」として公表した日の翌月の応当日以降において、売残高の対上場株式数比率が15%以上又は買残高 の対上場株式数比率が30%以上

【信用取引売買比率基準】

『3営業日連続して各営業日の株価と各営業日時点における25日移動平均株価との乖離が30%以上』を満たしたうえで以下の2つの条件のうちいずれかを満たす場合

イ:3営業日連続して信用取引の新規売付比率が20%以上

ロ:3営業日連続して信用取引の新規買付比率が40%以上

【売買回転率基準】

『1営業日の株価と当該営業日時点における25日移動平均株価との乖離が20%以上』を満たしたうえで、以下の2つの条件のうちいずれかを満たす場合

イ:当該営業日の売買高が上場株式数以上で、かつ当該営業日の信用取引の新規売付比率が30%以上

ロ:当該営業日の売買高が上場株式数以上で、かつ当該営業日の信用取引の新規買付比率が60%以上

【特例基準】

『残高基準』『信用取引売買比率基準』『売買回転率基準』に該当しない場合でも、日本取引所グループが信用取引の利用状況や銘柄の特性を考慮し、必要だと判断した場合は特例基準で増担保規制が実施されます。


上記の用語や計算式を理解するのは、かなり難しいので「特例基準」を除き『増担保規制=信用取引によって値動きが激しくなったとき』と覚えておくと良いでしょう。

また、第2次措置以降も実施条件が指定されています。詳しくは日本取引所グループが出している『信用取引に係る委託保証金の率の引上げ措置等に関するガイドライン』に記載されています。

増担保規制が解除される条件

以下の【残高基準】及び【株価基準】の基準すべてに該当すると増担保規制が解除されます。

【残高基準】

イ:5営業日連続して売残の上場株式数比率が12%未満
ロ:5営業日連続して買残の上場株式数比率が24%未満

増担保規制の【残高基準】では『いずれかの条件』を満たすことでしたが、解除の残高基準は『すべての条件』を満たす必要があります。

【株価基準】

5営業日連続して各営業日の株価と各営業日時点における25日移動平均株価との乖離が15%未満

条件を満たした日数の合計が5営業日ではなく、 5営業日連続で基準を満たさないと解除されません。つまり、4営業日連続で条件を満たしても5営業日目に条件を満たせなかった場合は1営業日目からやり直しになります。

※【残高基準】及び【株価基準】の基準すべてに該当した場合でも、日本取引所グループが「解除しないほうが良い」と判断した場合は解除されません。

増担保規制銘柄の調べ方

増担保規制の銘柄は日本取引所グループの「信用取引に関する規制等」から確認できます。
ここには『銘柄名』『増担保規制の実施日』『増担保規制の内容』『増担保規制の該当基準』が表示されています。


また、『ましたん速報!』では増担保解除ラインが掲載されています。⇩
ましたん速報! 増担保規制解除ライン&近日増担になるラインを速報します


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