不器用さ、たぬきレベル
小柄な子どもの見た目はうさぎのようですが、中身はたぬきのようです。車道で緊張して固まり、そのまま交通事故に遭ってしまいそうな雰囲気です。未曾有の事態にはフリーズする、それはそのままわたし譲りの不器用さだと感じます。
集団の中での子どもを見ていると、子犬のなかに混じっている子だぬきのようです。早い者勝ちに全くついて行けない。順番待ちをしていたら必ず割り込まれる。状況を理解できず、ただ固まっています。怒ることもなく、ぼんやりと人の3倍待っているような具合です。それが勉強にも影響していると思います。
我が家では先取りはして来なかったし、小学校受験もしませんでした。ただ、未就学時には治安のとても良くない環境にいたので、自然が溢れ、中学受験率の比較的高い地域に転居しました。私立小学校を受験するには、両親ともに忙し過ぎました。さらに、子どもはオタク気質が2歳半からすでに出ていて、好奇心旺盛なタイプではありませんでした。舌も回らない、おしめも取れないうちから電車の車両について蘊蓄を語り始めたのは、周りが驚くほどでしたが、一方で5歳まで文字を覚えず、絵本などに全く興味を示さなかった子どもは全く受験に不向きでした。
小1の秋に全国統一小学生テストを受験し、ノー勉で60を超えたので、勉強には大きな問題もなく取り組めそうな気がしました。しかし、その一方で、鍛えていないので、知育系問題にフリーズし、クリアするのに半年かかりました。もう辞めていいよと言えば言うほど頑なに「辞めない!」というのでした。塾にも行きたいといって近くにあったSAPIXの入室テストを受験しました。知育問題も3か月ほど取り組んで慣れ始めていたので、良い成績ですぐ合格できました。
その後も思考力問題、記述問題をずっと何年も取り組んできました。リトルくらぶも去年の夏に答えを写している問題が発覚した時はかなり厳しく叱りましたが、まる2年間かなり真面目に取り組み、最後は偏差値68まで取ってSコースで終了しました。早稲田アカデミーも日能研も一番良いクラスで合格し、それでもSAPIXを選んで、中位ですがαでスタートできました。
しかしながら、今もう何度目になったか分からない壁に突き当たっています。時間管理も思考問題も間違いに向き合う粘りも体得できましたが、分からないものにフリーズする傾向は残っています。根本的にたぬきなのです。それでも無理やり、天体の問題をやってみると地球は反時計回りに1日に一回回っているから、星が移動しているように見えるのだといっても、時計回りに1時間に22度回転するなどとおかしいことを書いています。呆れ返って、「二、三が六と習っても、二、三が五と言い返しちゃうような理解しかしないなら中受などする必要はないよ」と言いました。「本物のバカじゃないの」とも。
しかし、反時計回りに15度回転は分かっていたらしいのです。その知識を使って、図に書き込まなくてはいけないのに、どうやら低学年時代のわからなくても、色々書き込んで答えに近づいて行こうとした結果、時計回りになら辻褄が合う、という理解をしたようなのです。知識と問題で問われていることとを繋ぐ理解ができないようです。知らないものにフリーズすること、無理やりやると頓珍漢な理解をして、こだわってしまうことなどを見ると、たぬきレベルの不器用さのために、またも壁にぶち当たっていることに気付かされるのでした。
一般的に見れば、よくできる子なのかもしれません。攻撃性もなく、穏やかな性格ですし、よく頑張ります。成績も上を見ればキリがないけれど、悪いほうではないです。でも、壁を乗り越える賢さがないのです。地頭なんかというレベルではありません。そして、行ける学校にではなく、行きたい学校に行きたいのです。
MEETで家での様子を見ていると、起きてすぐ2時間勉強をしたのがわかります。基礎力トレーニング、漢字、社会(復習と白地図)をやって、それからご飯を食べるためにダイニングテーブルに移動したようです。昨日はいっぱい傷つくことを言われたのでしたが、めげずに勉強する気合いはあるようです。私は大学受験と教員採用試験はうまく行きましたが、中学受験、高校受験、大学院受験に失敗しました。一生懸命取り組めば取り組むほど、不合格も良い経験になることは分かっています。