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これぞ現代の営業のバイブル ザ・モデル、これぞ現社会のシードジェネレーション戦略の全てだと言える本ではないかと思う。

福田さんの話を一度聞いたことがある。本にも記されているとおり、
「なぜ日本人はあれほど細かく生産管理をやるのに、営業については、何もしないんだ?」
「ザ・ゴールを読んで脳天が雷に打たれた衝撃を感じた」
という話から、営業の分業制と顧客の態度変容の紐つけ、そして、IT業界で経験した「巨人が新プレイヤー」ひっくり返される話を聞いた。


生産管理と営業プロセス管理

「日本は生産管理が得意」。これは高度成長期のものつくり日本の歴史から、グローバルで認知されている。一方で、営業プロセスはどうだろうか?当著にもあるとおり、営業に関する研究、学問はさほどなく、「伝説の営業マン」や「顧客心理を読み解く」や、「成せば成る」のような、ナンバーワンセールス育成方法ばかりだった。

「ザ・ゴール」から感銘を受けた話があるが、「ザ・ゴール」は生産管理における’’ボトルネック’’を見極め、企業に圧倒的利益をもたらす’’ブレイクスルー’’を起こすことに尽きている。この生産管理を営業プロセスへ転換させることが書き記されている。

現代社会の顧客の態度変容

人々が目にする企業からのマーケティングメッセージアは、1970年代には1日当たり500程度、2004年には10倍の5000までに増加し、昨今は、最大1万にものぼると言われている。

つまり、顧客は1日に1万の情報から、自分に響くものを自分の好みで選択している。人は、「自分が誰」で、「どんな状態」かを分かったうえで、「自分が関心を持っている情報を提供して欲しい」と思っている。

さらに、顧客の「知らない」、「知る」、「興味を持つ」、「比較する」、「気に入る」、「購入する」という態度変容を起こさせるには、全く異なったメッセージとタイミングが必要になる。

顧客がどの段階なのか?を知るためにウェブサイトの訪問履歴、クリック、アプリ、メール開封などのウェブ解析を活用することで、より緻密に仮説を立てることができる。


マーケティング、インサイドセールス、営業、カスタマーサクセス

顧客創造には、マーケティング、インサイドセールス、営業、カスタマー作成の4つの部門で分業し協業することが記されている。

1.マーケティングの役割は、「認知拡大」、「リード獲得」、「リード育成」がある。

2.インサイドセールスの役割は、マーケティングから受け継いだ「リード育成」から「リード有望」へ転換し、営業部門へ受け渡す。

3.営業部門の役割は、「アポイント/訪問」、「商談」、「受注」を行うこと。

4.カスタマーサクセス部門は、「導入支援」、「活用促進」、「契約更新フォロー」、「テクニカルサポート」の役割があり、様々な部門が絡む。


顧客はどんなフェーズで、どの部門が担当するのかを明確にする

顧客が今、どんなフェーズにあるかということを、営業個人でしか把握できていなかったり、もしくは、フェーズさえも曖昧だったりする。さらにあ、営業個人がひとりで、すべて行っていることもあるだろう。

当著では、見込み客発見、有望見込み客への転換、商談中客、顧客化、LTVの最大化までのプロセスを4つの部門に分け、さらにひとつひとつの部門でステージを細分化している。ここまで仕組み化されていると、社員は何をすればよいか明確になっている。そうすると、見込み客や、顧客の放置はとはなないだとう。

リサイクル発想

見込み客発見、有望見込み客への転換、商談中客、顧客化、LTVの最大化までのプロセスで、「今は商談に繋がらない」などの、次のステップに行かなかった見込み客を再度系統プロセス段階に戻す、つまりリサイクルすることで、新規獲得では追いつかない必要なリード数を補う。

通常、営業プロセスにおいて、成約にならなかった顧客は、お蔵入りとなり、先方からのリアクション待ちとし、こちらからは何もアクションを起こさない。先方のタイミングが整ったときに、フォローをし続けていないことで、競合にとられてしまうこともあるだろう。

人とリーダーシップとマネジメント

福田さんが経験し失敗したこと、成功したことをもとに、組織つくり、人つくりが書き記されている。特に「社員が何を大切にしているかを理解する」から始まるところに魅力を感じる。

最後に

ウェブサイトのユーザーの行動履歴は把握できる。単純に、「このページを見た」「ここをクリックした」からといって、マーケティングの対象として、画一的なメッセージを投げては、ユーザーには響かないし、ことによってはマイナスの影響をあたえることになるだろう。さらにそれは、広告宣伝費というコストを無駄に消費していることといえる。一方で、働く社員は、顧客の心理や、フェーズと自分の役割を合致させながら活動しているだろうか?こちらも、画一的な「ヒアリング」「アプローチ」「サポート」を行っているのであれば、顧客に喜ばれず、それを察知したときには疲弊しか残らない。

顧客の心理、フェーズを明確にし、それに合わせた社員の役割の明確化と働き方の制度を整えることが大切だと考えさせられた。

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