VAD患者の日常生活の留意点(消毒等)や外出レポート
こんにちは。
息子が退院して2ヶ月経ち(2020年11月14日現在)外出するのも少し慣れてきたVAD介助者ブロガーのあよなパパです。
私の勘違いかもしれませんが、オンラインだと難しい説明が多いため病気が重くて外出するのも大変そう‥なイメージをもたれ、逆にオフラインだと普通に歩いてるしヘルプカードはぶら下げているものの機器収納バックも普通のショルダーバックに見えるので、どこが大変なんだろう‥と思われるのではというイメージがあります。
今回の記事では、植込み型補助人工心臓HVADを装着する息子が、実際に外出している様子や、日常生活をする上での留意点をまとめたいと思います。
外出時の基本的な注意点
まず、心臓移植・補助人工心臓の治療を受ける条件のひとつ・VAD介助者(24時間365日サポーター)になるための数日間のトレーニングを受け終えてから留意点をまとめたメモの画像を紹介します。
まず、基本的な注意点として
・バッテリー残量のチェック
・水分補給
・トイレ
があります。
黒いショルダーバックに収納されているバッテリー2基とコントローラ、そのコントローラにバッテリー残量が表示されているので都度確認します。(1基につき4〜7時間もつ)
血液をサラサラに維持するために1日2ℓ以上の水を飲む必要があり、家でも外出先でも水の用意が必要です。それに伴いトイレが近いということです。
また、ショルダーバック自体をぶつけたりしないようにするのと、「ドライブライン」という人工心臓ポンプからつながり腹部から外へ出てコントローラーにつながっている線が、引っかかったりしないように注意が必要です。
何か異常があればコントローラからアラーム音が鳴ります。緊急度に応じて高音量のアラームが鳴り、コントローラ画面に問題内容と対処法が表示されます。
ショルダーバックにヘルプカードをつけています。
カードとミニ手帳があり、手帳には緊急連絡先・医療機関・薬等の情報を記載してあります。
そして、外出時に必要な物は、予備のコントローラとバッテリーと水です。
普通に歩けます。17歳という若さもあるからか、むしろ私より歩くのも階段を登るのも早いです。
外出レポート、日常生活の留意点
町田薬師池公園にて
外出レポート(Twitterより)
外出可能な範囲は病院のある新宿から2時間圏内です。
これは、植込型VADを管理できる病院の近隣2時間圏内に居住するのが原則とされているからです。2時間圏内が何か不測の事態があっても対処できる範囲とされています。
上のツイートは、病院VAD外来の帰りに相模原へ。
私の職場・訪問介護事業所に寄って息子も挨拶したり、津久井湖城山公園へ行って散策をしました。湖向かいにも花の苑地やウォーキングコースがあり、息子も気に入ってまた昼間に来たいと言ってました。
この時の病院VAD外来は、術後半年の精密検査でしたが問題なく経過良好です。感謝です。
次のツイートは少し遡り9月に万葉の湯へ行ったときの写真です。
以下、ツイート内容に関連するコアグチェックやシャワー浴等について解説します。
コアグチェック
万葉の湯の個室を借りたので、安全にコアグチェックができました。
コアグチェックというPT-INR値(血液が固まるまでに要する時間)を調べる機械で測定。指先に専用の針を刺し試験紙に血をとり、その試験紙を機械に入れて測ることができます。
その値によってワーファリンという薬の服薬量が変化します。血液をサラサラにする抗凝固薬ワーファリンが、血が固まって血栓になったり・サラサラすぎて出血になったり、どちらにもならないように服薬量が調整されます。
24時間対応のVAD医療チームの連絡先がありそこに測定値を報告し服薬量の判断を仰ぎます。
浴槽に浸かる・温泉には入れませんが、館内を巡ったり食事をしたり、また広い足湯があったりで楽しんでいました。
シャワー浴、消毒、固定
家では、水が入らないように刺入部(ドライブライン皮膚貫通部)にフィルムのドレッシング材で防水をし、ショルダーバックからシャワー用の防水バックに機器を入れ替え準備を整えてからのシャワー浴のみできます。
また、毎日の「消毒」があります。刺入部の清潔を保ち・感染症を予防するために、衛生物品を使用し消毒をします。
定期的な「固定」というのもあります。下の写真、白いテープの所、一番下に茶色の固定テープである程度の固定をしその上から白テープで補強する感じです。お腹から出ているシルバーの線がドライブラインです。そのドライブラインの貫通部・刺入部(線が外へ出てすぐの箇所)にも消毒後に滅菌の特殊ガーゼやテープをつけます。
刺入部(ドライブライン皮膚貫通部)の写真
息子はすごく手先が器用で、上にあげた消毒や固定等を上手にこなしています。
ちなみに、ワーファリンの影響(出血しやすく止血しにくい)やドライブライン・身体の安全のため、体をひねったり屈んだりもダメ、走ったりスポーツもできません。
【処置別の衛生物品名】
・コアグチェック〔CoaguChek、セーフティプラス(針)、ロッシュPTテストストリップ、ヘキシジン〕
・シャワー浴〔マルチテトラーゼ、オプサイトフレキシフィックス〕
・消毒〔殺菌消毒剤ステリクロン、滅菌セッシ、綿球、綿棒〕
・刺入部の保護〔ハイドロサイトジェントル銀、優肌絆〕
・固定〔コンバケアリムーバー、キャビロン皮膜ワイプ、クイックフィックス〕
緊急時への備え、合併症の予防
息子は今のところ経過良好で、普段は何でも自分で出来ますし介助者は注意しながらほぼ見守るだけですが、緊急時にこそ介助者が役割を果たします。
体調が悪かったり、異常があればコントローラからアラーム音が鳴ります。緊急度に応じて高音量のアラームが鳴り、コントローラ画面に問題内容と対処法が表示されます。病院のVAD医療チームが24時間電話・メールで対応してくれているので都度連絡を取ることができます。
息子は、元気にみえますが、特発性拡張型心筋症・重度心不全であり、補助人工心臓システムによって生き延びている・心臓移植待ちの状態です。17才の青春を楽しんでもらいつつ、心移植に向けて合併症が起きないように気をつけていきたいと思います。