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[無料記事] Glassdoorの投稿に見る「Amazonの面接では何が訊かれるのか」-2:ソリューションアーキテクト職

本記事は、前々回と前回から続くシリーズの3回目です。

1回目は上のリンクから。最初の記事では、 従業員による会社評価サイト、Glassdoorで得られる洞察の概要を紹介しました。総合評価、CEO支持率、ポジションと経験年数ごとの平均給与、実体験に基づく面接の口コミまで、転職を検討する人が必要とする情報がすべて揃っています。

2回目は上のリンクから。非常に詳細なAmazonの面接口コミを取り上げるために、第2回目ではAmazonのソリューションアーキテクト職について、JD(職務記述書)から、どのような候補者が求められているのか詳細に検討してみました。


面接の概要と回数、形式

3回目となる本記事では、2020年7月にソリューションアーキテクト職でAmazonの面接を受け、オファーを得たものの受諾しなかった候補者がGlassdoorに投稿した非常に詳細な面接口コミを紹介してみます。

Glassdoorでは自分で口コミを書かないと他人の投稿も見れない仕組みなっているため、直接のリンクは避けます。自分でコンテンツを閲覧できる方は、"Most Popular"で上位に表示される投稿を見ればすぐに見つかります。

順に訳していきます。

募集について
大学を通じて応募しました。2020年7月にアマゾン(ニューヨーク州ニューヨーク市)で面接を受けました。

インタビューについて

オンラインで応募すると、採用担当者からメールが来ます。その後、ワークシミュレーション(リーダーシップのテスト)、技術的な素養や興味の自己評価、そして技術の試験を含むオンラインテストを受けます。

このテストでは、赤黄緑の3つで評価されます。赤ならアウト。黄色の場合は、Amazonで働くソリューションアーキテクトと電話で面談し、最後の「ループ面接」(*)に進むにふさわしいかどうかを技術試験で確認します。緑ならそのままループ面接に進みます。

ループ面接の前には、リクルーターから頻繁に連絡が来て、会社についての理解を深めるための資料が渡されます。また、主担当のリクルーターとの面談も設定されており、あらゆる質問に答えてループ面接に備えます。

ループ面接では、45分の面接セッションが6回行われます。そのうちの1つのセッションは、履歴書に書いた技術的素養を評価するための技術テストが行われます。

別のセッションでは、営業担当者と会って営業に関する質問をされます。

もう1つのセッションはプレゼンテーションで、あなたが技術的な専門知識を駆使して取り組んだ顧客との契約、課題/リスク、それらをどう解決したか、その結果、顧客への利益について話します。

残りの3つの45分のセッションは、アマゾンのリーダーシッププリンシプル(**)に基づいた内容です。あなたはSTAR形式で回答します(***)。面接から5日後に合否の電話がかかってきます。

*ループ面接は、1次選考を突破した候補者が臨む最終選考で、1日に6-7人の面接官との面接が行われます。ループ面接を突破するとオファーが出されるようです。

**Amazonのリーダーシッププリンシプルは以下のページで広く公開されています。面接の質問に対する回答を通じて、候補者は自分にリーダーシッププリンシプルが備わっていることを証明する必要があります。

***STAR形式とは、以下の4要素が簡潔に分かるような回答を行う方法論です。

  • Situation / 状況

  • TASK / 課題

  • Action / 行動

  • Result / 結果

実際に訊かれる質問

面接の質問

  • 自分の担当分野以外で重要なことを引き受けたとき、それがなぜ重要だったのか、教えてください。

  • 確約した目標を守れそうになかったときのことを教えてください。あなたはどのようにリスクを特定し、それを利害関係者/チーム/顧客に伝えましたか?

  • 重要なプロジェクトを厳しい納期で納品できたときの例を教えてください。この納期を守るために、何か犠牲を払う必要がありましたか?

  • プロジェクトを効果的に管理できず、何かが予定通りに完了しなかった経験について教えてください。

  • 目標を達成しただけでなく、期待を大きく上回ったときのことを教えてください。どのようにそれを実現したのですか?

  • なぜAWSなのですか?なぜこの面接に参加しようと思ったのでしょうか?

  • 顧客とのやりとりで困難が生じたときのことを教えてください。どのように対処しましたか?思い返してみて、もし今同じ状況に陥ったらどのように対応しますか?

  • お客様にフィードバックをお願いした例を教えてください。そのフィードバックをどのようにイノベーションや改善の原動力としましたか?

  • 顧客から無理難題を押し付けられることがありますが、あなたが自分の顧客から異議を唱えられた経験や、断られたときのことを教えてください。その要求に対して、あなたはどうしましたか?

  • 時間の猶予がない場面で、計算に基づいて冒したリスクの例を教えてください。どのような状況で、どのように対処しましたか?

  • あなたが上司に相談せずにビジネス上の重要な決断をしたときのことを教えてください。どのような状況で、どのような結果になったのでしょうか?

  • この仕事の内容をよく理解していると感じますか?

  • あなたの技術的なバックグラウンドについて教えてください。

  • あなたが設計に携わったソフトウェアのアーキテクチャについて説明してください。

  • あなたは、仕事上で誤った決断をしたことがありますか?その決断はどのような影響を及ぼしましたか?何を学びましたか?

  • 十分なデータが不足している中で正しい決断を迫られた経験について思い浮かべることができますか?あなたは何をし、どのように問題を解決しましたか?

  • 私がある企業のCIOだと仮定して、AWSの価値提案をどのように説明しますか?

  • これまでのキャリアを振り返って、最も誇りに思うことは何でしょうか?

  • チームとの信頼関係を築くことは、時に難しいものです。あなたがどのように他者と信頼関係を築いたか、その例を教えてください。

  • あなたが独学で学んだことで、その後、仕事に生かし、さらに仕事のパフォーマンスを高める上で役立っている最も面白いことは何ですか?

  • 意見を異にする仲間の協力が必要だったときについて説明をしてください。その時はどのような状況で、どのように対処しましたか?

  • 私はAmazonで働いたことがないため、面接内容の評価方法は知りませんが、恐らくはこれらの質問に対する候補者の回答の中身から、先に挙げたリーダーシッププリンシプルに記載された16項目を全て(あるいは多くを)満たしているかどうかを、採点していくのではないかと思われます。

    例えばリーダーシッププリンシプルの1つに以下の項目があります。

    Bias for Action:ビジネスではスピードが重要です。多くの意思決定や行動はやり直すことができるため、過剰な調査や検討に時間をかける必要はありません。計算されたリスクを取ることに価値があります

    先程の質問の1つに「時間の猶予がない場面で、計算に基づいて冒したリスクの例を教えてください。どのような状況で、どのように対処しましたか?」というものがありました。

    やり直しても問題がないような事項については過度な確認を待たずに行動を取ったと同時に、本当に取り返しがつかないような事項については、無闇に行動せず、きちんと確かめたことを証明できるような回答をすれば、この質問が求める内容をきちんと回答できると思われます。

    質問を1つ1つパスできるかどうかを気にするのではなく、回答の総体として16ヵ条のプリンシプルを漏れなく満たしているとアピールすることをゴールに据えて臨むのが良いかも知れません。

    面接対策コンサルによる模範回答例

    Amazonの規模になると面接を受ける候補者も膨大な数に及ぶため、インターネット上にもさまざまな実例や対策を掲載したサイトや投稿が見つかります。

    こちらのインタビューコーチングサービスのサイトに模範回答例があったので、翻訳を掲載します。

    質問:限られた時間内で決断を迫られた時のことを教えてください。

    回答:私たちの長年の顧客に、北米最大手の保険会社の1社がありました。彼らは、UNIXブリッジ機能のために別のベンダーのソリューションを使用してきました。

     当社がUNIXブリッジングソリューションも提供していることを知ると、顧客はPOCを行いたいと言ってきました。私は顧客のチームと一緒に仕事をして信頼関係を築いていたので、私にPOC を行うよう依頼されました。

     POC を開始する前に、顧客の技術チームとワーキングセッションを行い、現在実装されている使用例を確認しました。その結果、重要な使用例のひとつが、私たちのソリューションではサポートされていないことがわかりました。

     そのユースケースをサポートするためには、既存の製品の機能を改修する必要があります。改修を行うかどうかは週次の開発会議で役員の承認を得る必要がありましたが、POC の重要性を考慮し、私は会議を待たずに社内でエンジニアリング・チームにお願いし、すぐにその機能を製品に追加することに取り組みました。

     技術チームが短期間でパッチを提供してくれたので、すべての使用例に対応したPOCを成功させることができました。

    模範回答例を記載しているサイトによれば、16個あるプリンシプルの全てに対して最低で2つの解答例を準備して臨むべきと述べています。

    Amazon自身もプリンシプルを広く公開し、リクルータも候補者に対して積極的に共有して準備を促すことから、候補者は誰もが時間と労力をかけて準備をすることが期待されているのでしょう。

    一方で、要綱を全て満たす有能な候補者であっても、準備を怠れば面接を通過できないのではないかと予想されます。

    この記事で紹介した以外でもAmazonの面接対策は多くの情報が流通しているので、実際に選考を受ける方は、入念なリサーチをされることをお勧めします。

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