本記事は、前々回と前回から続くシリーズの3回目です。
1回目は上のリンクから。最初の記事では、 従業員による会社評価サイト、Glassdoorで得られる洞察の概要を紹介しました。総合評価、CEO支持率、ポジションと経験年数ごとの平均給与、実体験に基づく面接の口コミまで、転職を検討する人が必要とする情報がすべて揃っています。
2回目は上のリンクから。非常に詳細なAmazonの面接口コミを取り上げるために、第2回目ではAmazonのソリューションアーキテクト職について、JD(職務記述書)から、どのような候補者が求められているのか詳細に検討してみました。
面接の概要と回数、形式
3回目となる本記事では、2020年7月にソリューションアーキテクト職でAmazonの面接を受け、オファーを得たものの受諾しなかった候補者がGlassdoorに投稿した非常に詳細な面接口コミを紹介してみます。
Glassdoorでは自分で口コミを書かないと他人の投稿も見れない仕組みなっているため、直接のリンクは避けます。自分でコンテンツを閲覧できる方は、"Most Popular"で上位に表示される投稿を見ればすぐに見つかります。
順に訳していきます。
*ループ面接は、1次選考を突破した候補者が臨む最終選考で、1日に6-7人の面接官との面接が行われます。ループ面接を突破するとオファーが出されるようです。
**Amazonのリーダーシッププリンシプルは以下のページで広く公開されています。面接の質問に対する回答を通じて、候補者は自分にリーダーシッププリンシプルが備わっていることを証明する必要があります。
***STAR形式とは、以下の4要素が簡潔に分かるような回答を行う方法論です。
Situation / 状況
TASK / 課題
Action / 行動
Result / 結果
実際に訊かれる質問
私はAmazonで働いたことがないため、面接内容の評価方法は知りませんが、恐らくはこれらの質問に対する候補者の回答の中身から、先に挙げたリーダーシッププリンシプルに記載された16項目を全て(あるいは多くを)満たしているかどうかを、採点していくのではないかと思われます。
例えばリーダーシッププリンシプルの1つに以下の項目があります。
先程の質問の1つに「時間の猶予がない場面で、計算に基づいて冒したリスクの例を教えてください。どのような状況で、どのように対処しましたか?」というものがありました。
やり直しても問題がないような事項については過度な確認を待たずに行動を取ったと同時に、本当に取り返しがつかないような事項については、無闇に行動せず、きちんと確かめたことを証明できるような回答をすれば、この質問が求める内容をきちんと回答できると思われます。
質問を1つ1つパスできるかどうかを気にするのではなく、回答の総体として16ヵ条のプリンシプルを漏れなく満たしているとアピールすることをゴールに据えて臨むのが良いかも知れません。
面接対策コンサルによる模範回答例
Amazonの規模になると面接を受ける候補者も膨大な数に及ぶため、インターネット上にもさまざまな実例や対策を掲載したサイトや投稿が見つかります。
こちらのインタビューコーチングサービスのサイトに模範回答例があったので、翻訳を掲載します。
模範回答例を記載しているサイトによれば、16個あるプリンシプルの全てに対して最低で2つの解答例を準備して臨むべきと述べています。
Amazon自身もプリンシプルを広く公開し、リクルータも候補者に対して積極的に共有して準備を促すことから、候補者は誰もが時間と労力をかけて準備をすることが期待されているのでしょう。
一方で、要綱を全て満たす有能な候補者であっても、準備を怠れば面接を通過できないのではないかと予想されます。
この記事で紹介した以外でもAmazonの面接対策は多くの情報が流通しているので、実際に選考を受ける方は、入念なリサーチをされることをお勧めします。