ONE PIECEの名言を振り返る「彼らはこれから出会い、、、考えるのですから!!!」
今回は、「憎しみの連鎖」について考えさせられる名言です。
あらすじ
魚人島編にてついにアーロンとの決別やナミに降りかかった不幸の全てを明かすために、ジンベエがルフィ達に魚人島の歴史を語り継ぐ回想シーンの一部です。ここでは、人間と魚人族の溝を埋めようとしていた二人が主に出てきます。一人は、今までの魚人族の犠牲を水に流してでも「和解」によって解決を求めていた”オトヒメ王妃”。もう一人は、目の前にいる命を「対立」によって解決を求めた”奴隷解放の英雄フィッシャー・タイガー”。この二人は全く違うアプローチを取っていますが、最終的に達成したい目的は一緒であり、「魚人族の人権を確立すること」。
このシーンは、自分達の奴隷を回収するために魚人島に行き着く途中、
事故に遭い、瀕死状態の天竜人が魚人島に漂流してきたシーンです。
ONE PIECEを読んでいる方は、ほとんどの方が「なぜ殺してはいけないのか?こいつを生かしたところで、何の意味がある?」と心の中で叫んだのではないでしょうか。
少なくとも個人的に、初めてホーディと意見が一致した瞬間でした笑
しかし、オトヒメ王妃は違いました。見殺しをするどころか、住民が発砲した銃弾を自ら受け、天龍人を庇うのです。
血を流しながら彼女が発した言葉が今回の名言です。
「人間たちへの怒りを...!!憎しみを!!」
「子供達に植えつけないで...!!」
当たり前ですが、子供は大人を見て、真似て、育っていくのです。
その大人が、「人間はクソだ!」と叫んでいれば、子供は躊躇いなく受け入れてしまう。
そして、今回のような悪い人間(天竜人)に会ってしまえば、ゲームオーバーです。次世代の魚人もまた人間を嫌い、理解しようとしなくなります。
そして特に刺さったのは、下記の文です。
「彼らはここから出会い...!!考えるのですから!!!」
特に注目していただきたいのは、「考える」というところ。
オリヒメは、人間の考え方を改めろと改めろと言っている訳ではなく、子供達に、考えさせる機会を絶対に奪ってはいけないと言っているのです。
まさにそうです。
子供達はまだ「人間」がどのような存在か知らない。
彼らには、各自が実際に「出会い」、交流していくことで自分たちなりの人間像を築き上げることが必要なのです。人間に会ったことがある一部の人間の話を聞くだけでは「人間」を理解したとは言えないのです。そして何よりも、人間に対する意見は人それぞれ違うはずなのです。
また、個人的には「出会い」「考える」という順序も大切だと思います。なぜなら、「考える」が先に来ることによる厄介なことがあります。
「先入観」です。
相手の何も知らずにただ強い感情だけを植えつけられてしまうと、人間はどんな事象も自分の感情に都合の良い解釈をしてしまいます。その結果、生まれるのは増幅した憎しみや怒りだけです。
皆さんは、このシーンを覚えているでしょうか。ホーディのあまりにもの憎しみの強さから、フカホシが問いた質問に対する答えです。
正解は、
そもそも外の世界に出ていないことから、人間という存在を知らないにも関わらず、人間を殺すことが自分の使命だと信じきっていたのです。
なぜこうなってしまったのでしょうか?原因は一体なんだったのか?
それはアーロンが語り継げていた人間という存在の一部です。ホーディとその仲間たちはマスメディアとアーロンという人間嫌いの魚人の言葉のみを信じて
人間=悪
と決めつけていたのです。人間との「出会い」を与えられず、環境が与え続けてきた情報を受動的に受け取った副産物こそがホーディ・ジョーンズだったのです。
実際の漫画ではこの一コマで軽く触れられているだけです。ただ、あえて軽くしか触れていないのだと思います。マスコミや人の偏見によって生まれる更なる偏りは小さなところから生まれるということが伝えたいのかなぁと思わせてくれます。大きな問題こそ、無数の小さな発言から生じるのかもしれないですね。
実は、
似たような話が、私たちの住む現実世界でも2016年に起きています。
ご存知の方が多いかと思いますが、2016年6月にイギリスで「EUの離脱」に関して国民投票が行われました。結果は、投票者の51.9%がEUを離脱することを選択したことによって「Brexit」と言われる英国のEU離脱が決定しました。
グローバリゼーションという言葉が当たり前になり、人やモノの行き来が国境をまたぐことが当たり前になったこの世界で、ナショナリズムという動きがこの事件によって強まりました。これは、まさに時代の変化を告げるような事件でした。
では、なぜこのようなことが起きたのでしょうか。様々な原因があるとされている中でも、大きく起因しているとされているのが、
「移民」
です。
そして、何より世界に驚きを与えたのは地理別投票結果を表したグラフ。
英国の南にEU離脱希望者が多いことが見れます。実は、南のエリアに行けば行くほど移民の数は
少ないのです!
つまり、移民の移住を拒んでいる多くの人が「移民を知らない人」たちなのです。にも関わらず、「移民」の流入を嫌い、EU離脱を希望したのです。
ONE PIECEの世界だろうと、日本だろうと、イギリスだろうと変わりません。マスメディアによる移民の犯罪の情報発信、「出会い」が生まれない環境では、人は部分的な解釈をしてしまい、知らないものを嫌う。
オリヒメ王妃に会うことなく、一部の報道で知るアーロンのような悪党が全てだと思い込んでしまうのです。
この世の中にも、ホーディ・ジョーンズは存在します。
そして、ホーディ・ジョーンズの誕生を断ち切る唯一の方法は、
「出会い、考える」ことなのだと思います。
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