ONE PIECEの名言を振り返る「我々はこれから精一杯生きようと思う」
あらすじ
名言
「我々はこれから精一杯生きようと思う」
なぜこの当たり前のような言葉が刺さるか。
これまで物語を読み進めていくうちに、ココヤシ村の住人達は
どれだけ、
何があっても
生きる
ことを大切にしていることがわかる。
ゲンさんは武器の所持が見つかり、アーロンに殺されかける瞬間も街も住人に
「死んでしまっては全てが終わる!!!私が死んでも戦うことをやめるな!!!。。。」
と言っています。
生き延びることこそ戦うこと。
生きてこそ、見返すチャンスがある。死ぬことを選べば、次の世代もない。
アーロン海賊団に街を襲われてから、8年間もの間この思いを抱えて、街の人は生き続け、やっとルフィという希望が訪れた。
無事、アーロン海賊団を撃破し、平和が訪れる。
そこでゲンさんがベルメールに誓うのは、
「我々はこれから精一杯生きようと思う」
です。
このセリフは、生きる目的が変わった瞬間なのだと思います。そして、それはベルメールさんの名言が実現した瞬間を悟るセリフなんだと思います。
これからの生きるは、自分たちが自由に、生きるための「生きる」。
精一杯その自由を謳歌し、人生を全うする意味合いが込められている気がしますね。
アーロンの生きる意味との対立
これまでから、ナミやゲンさんにとっての生きること=8年間の苦労からの解放(自由になること)であることは明確になりました。
ではmアーロンにとっての生きることとは何でしょうか。
それは単純で、
支配すること
です。
彼にとっては憎き人間という下等生物を支配下に置くことこそが生きる価値であり、生きがいとなっています。
大切なのは、その背景です。
かなり後の話につながりますが、アーロンが人間を憎む理由は人間と魚人族との間にある深く、長い歴史にあります。
自分が尊敬していたフィッシャー・タイガーが人間の手によって殺されてしまいます。それまでも、身体的に劣っているはずの人間によって差別を受けていた魚人族としての歴史/時代背景が今の彼の生きる定義へと結びついています。
ここで大切なのが時代背景という言葉。
ベルメールさんは、死ぬ間際にのりことナミに最後の言葉の1つとして
こう残しています。
「何があっても生まれてきたこの時代を憎まないで。」
この時代とは、人間の差別によって生まれた
魚人族の逆襲の時代
運悪く訪れたこの時代には、ベルメールさんが理解しているように、憎しみの連鎖で生まれています。
これを断ち切る唯一の方法こそが、時代を憎まないこと。なぜならその時代は必ずその前の時代によって生まれているからです。
この時代に対する憎しみから生まれる「復讐」は必ずまた次の「復讐」を生む。このようなメッセージがベルメールさんの言葉には隠されていますね。
つまり、「復讐」を目的とした支配=生きることとは、絶対に終わらない負の連鎖でしかない。
ここが尾田さんのすごいなぁと思うところなのですが、必ず伏線を回収するところ。
正直、ストーリー上は、ハチを新世界直前でわざわざ再登場させる必要はなかったと思います。
でも、大切なメッセージを届かせるためには絶対に必要だった。
なぜなら、こここそが憎しみの連鎖が断ち切られるところだから。
自分が憎んでも憎みきれないアーロン海賊団の一味であったハチを許しはしなくても、それを理由に友達との約束は破らない。
「ハチは大丈夫」と言っていることから、魚人族全員に対して嫌悪感を持つのではなく、あくまでもアーロンという「復讐へ執着した生物」を憎んでいるだけであり、それ以上の憎しみを生まないように生きているナミが描写れています。
その後も、笑顔でその場を楽しもうとしている姿には私たちも学ぶことがある気がします。
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