幾何分布には2種類あった
統計検定準1級の参考書である「統計学実践ワークブック」を読み進めていて、おやっ?と立ち止まった箇所があります。
幾何分布のところです。
ワークブックには期待値$${E[x]=\frac{1-p}{p}}$$とありました。
えっ?、幾何分布の期待値は$${E[X]=\frac{1}{p}}$$ではないのか?
結論から言うと、幾何分布には2種類あることが分かりました。
違いは、成功するまでの何の回数を見るのか?にあります。
幾何分布 その1
成功確率$${p}$$のベルヌーイ試行を繰り返し、はじめて成功するまでに起こる失敗回数Xが従う分布
こちらが、統計学実践ワークブックに記載されている幾何分布です。
失敗回数Xが従う分布になります。
この時の確率関数、期待値、分散は以下の通りです。
$$
確率関数 P(X=x) =p(1-p)^x
$$
$$
期待値 E[X] =\frac{1-p}{p}
$$
$$
分散 V[X] = \frac{1-p}{p^2}
$$
幾何分布 その2
成功確率$${p}$$のベルヌーイ試行を繰り返し、はじめて成功するまで要した試行回数Yが従う分布
こちらは、統計学入門(いわゆる赤本)に記載されている幾何分布です。
馴染みのあるのもこちらでした。
その1が失敗回数Xであるのに対し、その2は試行回数Yが従う分布になります。
別名ファーストサクセス分布とも呼ばれ、厳密に言うと幾何分布とは区別する流派もあるようです。
この時の確率関数、期待値、分散は以下の通りです。
$$
確率関数 P(Y=y) =p(1-p)^y
$$
$$
期待値 E[Y] =\frac{1}{p}
$$
$$
分散 V[Y] = \frac{1-p}{p^2}
$$
ちなみに$${X+1=Y}$$の関係が成り立ちます。
先ほどの期待値で考えると
$$
E[Y] =E[X +1 ] = \frac{1-p}{p} +1 = \frac{1}{p}
$$
になります
分散は以下の通り、①と②で変わりません
$$
V[Y] =V[X +1 ] = V[X] = \frac{1-p}{p^2}
$$
ちなみに、グーグルで「幾何分布 期待値」と検索ワードに入れて、調べてみましたが、ほとんどの記事でその2でした。