9/10 東京大学による「授業料のあり方に関する検討状況」に関する記者会見 発言全文

9月10日18時頃から学費値上げ案に関する記者会見が開かれました。その記者会見における発言全文です。
なお、これは参加者のソースに基づき私たちが作成した非公式の資料であり、固有名詞等不正確な部分もございますので、その点ご留意ください。

また、この会見に前後して、会見が行われた本郷キャンパス本部棟前において学費値上げに反対する学生による抗議行動、及びイスラエルのヘブライ大学との提携更新に反対する学生による抗議行動が行われたことを付記いたします。

今回の値上げ案に関する私たちの見解(抗議声明)については、下記をご覧ください。


冒頭

河村:
お忙しいところたくさんお集まりいただきましてありがとうございます。これより、本学における授業料のあり方に関する検討状況について、記者の皆様にご説明させていただきます。
初めに登壇者をご紹介いたします。最初に、藤井輝夫東京大学総長です。森山工理事副学長教育情報担当です。藤垣裕子理事副学長学生支援入試高大接続評価研究倫理担当です。菅野暁理事財務資産活用担当です。角田喜彦理事事務組織人事労務コンプライアンス担当です。佐藤健二執行役教育長学長資産活用戦略担当です。私は本日、司会進行を務めさせていただきます、執行役副学長の河村知彦と申します。コミュニケーション戦略推進担当です。よろしくお願いいたします。
それでは、最初に藤井総長から授業料のあり方に関する検討状況についてご説明いただきます。総長よろしくお願いします。

藤井:
ただいまご紹介がありました東京大学総長藤井輝夫でございます。本日は多数お集まりいただきましてありがとうございます。本日ですね、授業料改定と、それからそれと併せて行います学生支援の拡充について、これから全学の諸会議に諮る案がまとまりましたので、これは皆さんのご協力を得てまとまったということでございまして、ここで公表をいたしたいというふうに思います。
この間、UTokyoCompassというのが東京大学の基本方針なのありですが、これはこの中でいわゆる理想の教育学修の環境を整えていくということは、これは東京大学が未来の社会に対して果たすべき公共的な責務であるということで、その責務を果たすために何が必要かという中で、今回の授業料改定もその一環ということでの近年の大学の財務であるとか教育環境の改革の中で検討の俎上に上がってきたものであります。
この間、学内の諸会議、これは局長の皆さんとの会議も含めまして、さまざまな場で検討を進めてまいりました。各種懇談会、あるいは個別の会談なども含めてですね、教職員からも意見を聞き、それから学生の皆さんとは、これ皆さんご存じだと思いますが、6月の21日に総長対話というのを開催をいたしまして、それからその総長対話に対してのアンケート、自由回答形式のアンケートを行いまして、学生からの意見をいただいたということであります。
この意見に対しての、また私ども、具体的には私からの、レスポンスは8月23日に総長からのメッセージという形で、これは多く寄せられた質問とか疑問について一つ一つ丁寧に説明をしようという意図で、そうしたレスポンスのメッセージを出したところであります。そういう意味では、そのときに改善の方向性というのも含めてですね、いろいろな意見をいただいて、これを踏まえて今回の案を作ってきたというところがございます。
あの案の中身については、この後少しこのスライドを使ってご説明いたしますけれども、こうした形で発表、今日の段階で発表させていただくのは、これは5月の段階で検討中の案というのが既に報道されるというようなこともあって。そういう意味では、その後の検討プロセスでやや混乱が生じたということについては、これは学生の皆さんに対してもお詫びと私どもも反省をしているというようなことも伝えたところであります。
そういう意味で、そういった中でも学生や教職員の皆さんから多くのポジティブなご意見もいただいたということで、これについては大変感謝をしているところであります。さて、では具体的な中身について少しご説明申し上げたいと思います。

授業料改定案について概要

藤井:
まず、UTokyoCompassで行っております。誰も来たくなる大学ということで、東京大学に来た学生や教職員のだれもが東京大学に来てよかったと、そのように思える望ましい環境を実現するということで、この考え方は達成されるわけです。これは先程申しましたように、東京大学は未来の社会に対して創造的、公共的に貢献していくという、その基盤作りでもあるということであります。
国立大学法人化以降ですね、本学はもちろん運営費交付金の確保に向けた努力も含めてですね、財源の強化、多様化というのを通じて学びの環境の整備を進めてきたということではありますけれども、ご存じのように、高等教育におけるグローバルな競争というのが非常に激しさを増しているという状況もございます。
そういったことも考えますと、学生のための教育学習環境の改善というのはもう待ったなしであるというふうに考えているところであります。その中で、今回、この本学の教育学習環境を持続的に改善する基盤をしっかりと作り上げる、しかもそういった世界水準の教育というものをしっかり提供していくということを考える中で、2025年度の学士課程入学者から授業料をその法令の規定に基づいて64万2960円に改定をするというのが今回の案でございます。
その中でですね、この理由はですね、今申し上げましたように、待ったなしの状況の中で、東京大学の教育学習環境をこれは迅速に作り上げなくてはいけない、なるべく迅速に進められなくてはいけないということがございますので、これは法令に規定された範囲、これは上限が標準額の 120%ということですので、この法令の範囲内で改定をしようというものであります。
具体的には、2025年度からということでございますが、本来であれば在学生を含めた全ての学生に適用するというのが基本だと思いますけれども、これは激変緩和措置ということで、過渡的な形でですね、在学生には適用しないで、来年度の入学者からの年次進行で適用するという案でございます。
それからもう一つは、ここに修士課程は2029年度入学者からとありますけれども、修士課程については学部修士課程を、一貫した教育の総合性ということを考えますと、現在、東京大学で学んでいる学生の皆さん、学部学生の皆さんが学ぶ中で大学院を目指していくということで、ここは学士課程を標準的に卒業して修士課程を修了するまでの間ですね、現行の授業料のまま修学ができるようにということで、修士課程の授業料改定は学士課程の実施から4年後ということで、2029年度入学生から適用するというものであります。
それからもう一つ、博士の学生につきましては、ここでありますけれども、これは卓越した研究者の養成、まさにこれは東京大学において新しい学問を拓いていくという、そういった研究者としてのキャリアの出発点という意味合いも強いわけでありますので、博士課程については授業料を据え置くという案にしております。これは実は2005年度の時の改定と同じ考え方でございます。

学生支援の拡充案について概要

藤井:
ということで。あわせてですね、やはり大事なことは、この学生支援拡充と言っていますけれども、私どもがしっかりと考えなくてはいけないことは、経済的には貧しくとも優秀であれば東京大学で学べるという伝統を引き続き重視したいということで、授業料改定に合わせて授業料免除の枠を拡大するということ。
それから、この後のスライドで、具体的に申しますけれども、それからですね、この間いろいろな声を聞く中で、やはり、そういう意味では個別の事情がいろいろあるということがございます。それで、例えば生計を支えているものが親ではなく本人であるというようなケースも、これは特にこれは博士課程において多いかもしれませんけれども、そういったこともございます。
そういった意味で、これは個別の事情にいろいろな配慮ができるような支援というのを、これは全学的に検討したいということで、拡充とあわせて個別事情に配慮できるような仕組みを整えようということを考えております。具具体的なものの一つとしては、例えば経済的問題の相談支援窓口というものの強化を、これを早急に進めたいというふうに考えております。
それからもう一つは、これはアンケートへのレスポンスでも書きましたのは、学生にかかわりのある事柄については今後、ともに考えていくような仕組みについても、これは少し丁寧に時間をかけて考えていきたい、作り込みたいというふうに考えているところであります。
整理をいたしますと、このような形になります。学士課程現行53万5800円のところを約20%ということで、64万2960円、2025年度入学者から年次進行で適用ということでございます。修士専門職学位課程53万5300円、同じく64万2960円ですが、これは来年度ということではありませんで、2029年度4月入学から適用ということでございます。それから、博士課程については52万800円ということでございます。
それからもう一つは、博士課程学生支援の拡充についてでありますけれども、こちらにつきましては免除枠を拡大します。具体的には、現行、現行は世帯収入400万円以下のその全額全額授業料免除というのをやっているわけですけれども、これについて2025年4月入学者から600万円以下、世帯収入600万円以下の日本人学生は全額授業料免除という形にしたいという案でございます。
それから、修士専門職学位課程については、29年4月入学者から世帯収入、これも同じく600万円以下の日本人学生は全額免除ということを考えています。現在は、家計の総所得金額を世帯人数ベースの家計基準と比較してというような少し複雑な基準での免除になっていますけれども、このような形にしたい。
さらに言いますと、一部免除についても考えたいということで、世帯年収600万円から900万円までの学生の皆さんについても、例えばこれも個別の事情で出身地が遠いところからいらっしゃっているとか、いろいろなそれぞれの事情があるということで、そちらも勘案して一部免除というのを実施したいというふうに考えております。

増収分の使途について

藤井:
さて、それで、こうやって授業料の増収が見込めるわけですが、これは何に使いたいか、どうやってよい学習、教育、学修環境をつくっていくのかということについてです。これが3枚目になりますけれども、基本的には全学として取り組むべき教育環境の改善というのは、今後想定される必要額が相当な金額になります。
ここにあるように、66億とか51億とか16億、7億、3億で、この中のおよそ、これは授業料改定の活用としては年額、これは毎年の金額ですが、このうちのこの部分、これぐらいの部分をおよそ10分の1ぐらいの部分をこれで何とかカバーしたいというふうに考えています。
具体的には、例えば学習情報の可視化、全学学修環境の整備といったことで言いますと、学生自身が一元的に自分の学びにかかわる情報を管理できるような先端的なキャンパスマネジメントシステムというのを導入したいというふうに考えています。これはそういう意味で、現在の自分の授業科目を含めて、さまざまな国際交流活動であるとか、オンキャンパスジョブであるとか、短期留学、社会貢献活動などなど、いろいろな活動を一元的にポートフォリオとして見ることができるような、そういったシステムをつくっていきたいというふうに考えておりまして。例えばそういったことに使いたい。
それからもう一つは、学修環境整備という観点で言いますと、やはりさまざまな情報サービス、あるいはネットワークの容量の大幅拡大というのはまだまだ必要でありまして、実はこの建物も若干接続が悪いことがあるかもしれませんけれども(笑)、まだまだ拡充が必要でございます。それからもう一つは、そういったネットワークの環境で、学内外どこからでも、セキュアに学内のネットワークに入ってしっかりと自分の必要な情報環境に到達できるようなシステムというのもぜひつくっていきたいですし、それから、御存じのように、昨今のいわゆる生成AIなどのサービスについてもですね、これもこういった技術を使った新しいサービスというのを広げていきたいというふうに考えているところです。それから、学修基盤の強化充実というところに関しては、例えばこれはこの1番目に書いてありますけれども、のティーチングアシスタントとしてをやってもらったときの単価、時間単価はなかなかよいものにはなっていないということで、これは全学的に引き上げをしたいというふうに考えています。
それから、例えば設備の施設設備に関しては、これは学生からも以前から声が上がっていたんですが、例えば一緒にグループワークなんかができるような、そういったアクティブな活動ができるようなスペースを用意してほしい。それからもう一つは、これはオンラインが広がる中で、オンラインで自分一人で入って、例えばオンラインで会議ができるといったようなブースをつくってほしいという声も非常に多くございます。
そういったものを充実していく。それから、そもそもキャンパス内での電源が足りていないというような話がありまして、これは電源を増設するというのももちろんありますが、やはりモバイルバッテリーをより広く貸し出しできるようなシステムをつくろうということもございます。
それから。図書館機能についてですが、3番目ですね。図書館というのは、実は図書館の開館時間というのが若干縮小している状況でありますが、これをコロナ前の水準に回復させるということがまず第1点で、やはり24時間何とか開館できないんですかというような声もありますので、これは学生の要望も聞きながら、今後何をどういう形にできるかというのを考えていきたいというふうに思っております。
それからもう一つ、先ほどもちょっと申しましたが、ここにありますように、インクルーシブキャンパスの実現という中で、経済的相談機能強化ということで、これはやはり学生の皆さんの経済的な状況についていろいろ相談に乗って、どうやったら安心して修学が進められるかということをしっかりアドバイスできるような体制を整えたいということで、例えば奨学金制度に精通するような、いわゆるファイナンシャルプランナーのような専門家ですね、そういう方にぜひ来ていただいて、そういった対応ができるようにしたいということでございますが、何よりも繰り返しになりますが、個別の事情に対応できるような、これはまずは窓口、それからアンケート調査も含めて学生の意見を集めて一緒に考えていくということも、これは少し具体化するのに時間がかかるかもしれませんが、そういった体制を目指していきたいというふうに考えております。
それからもう1点は、グローバル体験につきましては、失礼、その前にバリアフリーがございます。バリアフリーも実はバリアフリーマップというのがあるんですけれども、いわゆるマップ地図はあるんですけれども、やはりこれもまず更新のタイミングが適時になっていないということで、しばらくして様子が変わっていくと、そこを通れなくなってしまうというようなことが起こっているという声はずっと上がっております。ここを改善したいということと、それから、いわゆるマップですと、視覚障害のユーザーの方はなかなかそれではどこが通れる、通れないというのを知ることはできませんので、今度はテキスト版をしっかりつくって、これもそういう意味では施設の変更が生じた場合には適時反映できるような、そういったことを考えたいということでございます。
それからもう一つは、こういったキャンパスのハード面につきましては、今、実を言いますと、この間、いわゆるSOGI多様性に関する学生のための行動ガイドラインというのが、ちょうど今年の2月ですかね、今リリースしたところですが、それもそういったことも含めて、いわゆるジェンダー中立フロアを、宿舎において、バリアフリーもそうですけれども、ジェンダー中立というものもどうやって実現していくかということで、これは今、具体的に検討を進めているというところでありますので、これについてもぜひこの中で実現していきたいということでございます。
それから、先ほどちょっと言いかけましたグローバル体験ですけれども、こちらはいわゆる体験活動プログラムを含めてですね、海外留学に参加する学生の奨学費、これもなかなか手厚くできていないところなんですが、これを何とか手厚くして、学生個人の負担をできるだけ減らして、より多くの学生が参加しやすいという形をつくっていきたいというふうに考えております。
それから最後、グローバル教養科目、この一番下にありますが、これはグローバル教育センターでやっておりますジェンダーあるいはジェンダー、あるいはダイバーシティ、健康であるとか、それからSDGsを含めたClimateの関係などなどですね。いわゆるSDGSに広い意味で関係するようなテーマを英語で学ぶ少人数のクラスであります。
現在夏学期31科目、冬学期34科目というところまではふやしてきたんです。これは英語を学ぶのではなくて、英語で学ぶ科目ですけれども、これをさらに増設したいということで、これは当面増設しようと思いますと、そこの人の手当てが必要になってきますので、そういったところにもこの費用を充てていきたいということで、
これ全体が全て今回のことでカバーできるわけではありませんでですね、これは繰り返しになるかもしれませんが、いろいろな財源を、今、私たちは財源の多様化という中で考えて、こういったことを何とかやっていきたいということで進めているところでございます。その意味で、こういった取り組みを通して、東京大学の教育学修環境を、これ本当に世界に誇れるものにしていきたいという中での今回の事業であるという、そういった考え方でこの案をつくってきたということでございます。
もう大体これで説明も終わりなんですが、繰り返しになりますけれども、現在の学生、それから未来の学生のためにも、今申し上げました財源確保と取り組んでいて、教育、学修環境のさらなる改善、よりよいものにしていくという努力を不断に続けていきたいというふうに考えております。
この実現を目指す基盤整備施策の一つとして、今回、授業料改定、それから同時に学生支援の拡充というのを行おうとするものでございますので、皆様の御理解、御協力をお願いしたいということで、私の説明はここでおしまいにしたいと思います。御清聴ありがとうございました。

質疑応答

川村:
それでは、質疑応答に移りたいと思います。最初にお断りしておきますが、本日、授業料のあり方に関する検討に関する説明会ですので、それにかかわりのない質問はお控えいただきますようにお願いいたします。質問を希望される方は、私が質問に指名してマイクを渡しますので、マイクを受け取られましたら、最初に社名とお名前をおっしゃっていただいた上でご質問お願いいたします。

時事通信:
時事通信の茶谷といいます。今後の手続きについてなんですけれども、今後は学内の会議に諮った上で正式決定されるということでしょうか。時期の見込みなどあれば教えてください。

藤井:
ちょうど本日、いわゆる部局長会議というのがあって、この承認を得てまとまったというところでありまして、今後この決定プロセスが学内外で幾つかありますので、これを順次諮っていくということで、できるだけ速やかに決定したいんですけれども、これがまたその会議によって、会議において特段問題なく了承されればですけれども、されれば今月中には決定する見込みでございます。

読売:
読売新聞の古郡と申します。よろしくお願いいたします。今後のプロセスについても少し今回のいわゆる第2次の案件という形だと思うんですが、こちらについても学生向けの、また総長対話のようなものを行うのでしょうか。行う場合には、その時期や方法を教えていただければと思います。行わない場合はその理由についても改めて教えていただければと思います。よろしくお願いします。

藤井:
ありがとうございます。今後、この会議で、この改正案に対する総長対話というやり方そのものは予定はしておりません。この会見は、総長対話やその後に実施した総長対話を受けての学生アンケート、これは約1000名からのいろいろな意見をいただいていますので、これを踏まえた作ってきたということでございます。
ただ、そうは言っても、何らかの形で、これはやはり説明して丁寧に理解をしてもらう、深めていただくということが必要かと思っておりますので、そういう意味では、そういった機会というのは今後何らかの形で考えられるということと、それから、先ほども申しましたけれども、このアンケートを通じてやりとりも含めて踏まえて、やはり学生から現在の修学の状況であるとか意見を聞くという仕組み、特にこの学生支援に関しては、早急にこの仕組みについては整理をしたいというのが一点ですね。それから少し長期的には学生に関わりある経済的支援以外のことについても一緒に考えていくような仕組みをつくっていければということで、それらもあわせていろいろな形で意見を聞きながらやっているということでございます。

読売:
1点だけ補足で、そうすると、今月中に順調にいけば決定できる見込みということで、総長対話のような形で予定していないです。今日、科所長会議があったんだとすれば、具体的にどのプロセスが終わった、会議が終わると決定しているのか。役員協議会とかその辺になるのかなと思うのですが、改めてお願いいたします。

総長:
最終的には役員会の議を経て総長が決定するということになっています。デュープロセスとしてはそういうことになります。とございます。

東京新聞:
東京新聞榎本と申しますと、学生支援の部分について教えてください。まず、600万円以下というふうに、こういうのをどこで線引くかというのは難しいとは思うのですけれども、案としては、何かこの基準にした根拠のようなものはおありでしょうか。また、そのほかの一部免除の実施について、出身地と個別の状況とありましたが、他の個別の状況についてはどのようなものがあるか、また、今まだ具体的にないとしたら、それを一番学生、受験生等が一番関心のあるところだと思うんですけれども、その辺の内容はいつごろ決めて明らかになる予定でしょうか。

藤井:
ありがとうございます。まず、600万円が本当にこうなっていますかを境目に、家計がどうかということを一概にはおっしゃるように決められないとは思うんですけれども、やはり今400万円であるものを何らかの方法で何らかの形で拡大をしたいという中で、600万円という数字が浮かび上がってきたというものであります。
もうちょっと具体的に言いますと、年収600万円未満の、これは総務省の統計ですけれども、600万円未満の夫婦と子供からなる世帯というのは、全国で見ますとおよそ3割ということがわかっております。で、そういう意味で、これぐらいの方々については、まず私たちとしてもカバーをしようというのが、第一点目のお答えになるかと思います。
それからもう1点は、そうですね、そういう意味では、地方から来られている方は、より東京で生活するより多くのコストがかかるんですとか、それから、これは政府の方でも最近出てきますけれども、いわゆる多子世帯とかですね。それから、これは本当に個別の事情としては、学生の皆さんから出ていたんですけれども、そもそも学部の学生であっても親御さんに頼れない、いろんな事情によって頼れないという方はいるんだということを聞きましたので、そういう事情も含めてですね、そういう意味では、親の収入はあるけれども親に頼れないという事情はもちろんあり得るわけで、そういったことにもきめ細かく対応できるというようなことをぜひ考えていきたい。これについてはどういうやり方があり得るのかというのは、やはり少し学生の皆さんの意見を聞きながら作り込む必要があるのかなと考えております。

東京新聞:
この点については、9月の決定の段階である程度具体的にわかるでしょうか。それとももう少し時間がかかりますか。

藤井:
もう少しこの今の案が通って動き出すまでには何とか。
一つ、済みません、全体の説明が一つちょっと申し忘れたんですけれども、実を言いますと、今ですね、この授業料免除とか奨学金がもらえるかもらえないかを判断するのがすごく難しいんですね。私自身も、実は奨学金の当該の奨学金のページを見てみましたけれども、自分が本当に一体これで免除になるのか、ならないのかというのは、すごくやっぱりよくよく見てみないとわからないというようなことがございます。それからもう一つ、学生からの声としてあったのは、入ってみてから免除になるかならないかがわかる、入る前にわからないと困るという意見もありますので、一つはそういった仕組みをもう少しわかりやすく、例えばシミュレーションができるような、これはJASSOで一部そういうようなものやっていると聞いていますけれども、そういったシミュレーションができるようにするとか、それから、入る前にも自分が適用の範囲内なのかどうなのかというようなことがわかるような。
そういう意味では、親切な情報提供というのができるようにと考えております。これはちょっと最初の説明に漏れましたけれども、以上。

東京大学新聞社:
東京大学新聞社の岡と申します。よろしくお願いいたします。私からは二点ほど御質問をさせていただきたく存じます。まず一点目についてですが、今回、報道という形ではありましたけれども、5月の15ぐらいのあたりに報道によって学生側に周知が行われたという形になってしまったと思うんですが、例えば現在、鹿児島大学ですと、1年以上前に前もって学生に学費改定に関しては周知するというような対応をしているような大学もございます。そういった中で、東京大学として、今回、短時間という形で、本来であれば7月ごろに改定の発表があるという話も一部報道ではありますが、そういった形で短い期間という指摘もあるかと思います。そうした中で、今回、その11月という中でも、やはり延期になったとはいえ、依然として短いという意見もあるとは思うのですが、そういった点に関してちょっとどのようにお考えかという点をお聞きしたいと思います。

藤井:
ありがとうございます。そういう意味では、11月か4月という意味ではちょっと短い、鹿児島大学の例からすると短いかもしれませんが、むしろ私たちはそういう意味で、この5月にいろいろな報道がなされてから、これは学生の皆さんの総長対話あるいはアンケートも含めて、それからその後の個別の、これも学校の教員の皆さんと個別にさまざま相談をする議論をしましたけれども、そういうプロセスをしっかり経て、むしろ案を作るのにしっかりと時間をかけてきたと。そういう意味で、もともと総長対話のときですかね、11月には。これはまた入試にかかわる発表とありますので、ぎりぎりやはりそのときまでにははっきりとさせたいというようなことを申し上げていたと思うんですけれども、そういう意味で、むしろ案をつくるのにしっかりと時間をかけてきたというふうに御理解いただければというふうに思います。

東京大学新聞:
ありがとうございます。続いて、2点目に関して質問させていただきたいと思います。今回、年次進行という形で、在学生に関しては、特に改定後の授業料に関しては適用されないという扱いになるかと思いますが、そういった点に関しては、現在、在学生の中で反対意見がかなり出ているという状況下で、ある意味で見方によっては分断工作なんじゃないかとか、いろいろそういった考え方もあるかもしれないと思うんです。そういった中で、激変緩和措置としては、例えば段階的に最初は5万円、次の年は10万円という形での緩和措置等も考えられるかと思いますが、そういった中で、今回、年次移行という形をとられた理由に関して、何か具体的にあれば御説明いただきたいと思います。

藤井:
これについては、やはり個々人の学生の皆さんが自分の将来の進路を考えるときに、これも随分議論をしたんですけれども。やはり今もう既に在学している人で、やはり大学院に進学したいなというふうに考えている方が、実際ここで大学院の学費を上げてしまうということになると、そこで急に話が変わるというようなことが起こりますので、そういうことがないようにしようという発想で、これはやはりちゃんと今いる皆さんについては、今学内で学んでいる中で、大学院に行こうとすでに考えていらっしゃるだろうという、あと、実際に大学院進学を考えているんですけどというふうな発言も聞いたことがありますので、そういう皆さんへの配慮というのも含めて、これはやはり段階的にといっても、金額的に段階というよりは、むしろそのタイミングとしてしっかり段階を踏んで、個々人の学生の皆さんが自分の進路というのをしっかり考えた上で、このことについて捉えていただけるようにという配慮から、このようなこのような経過措置にさせていただいたということです。

東京大学新聞:
はい、ありがとうございます。そうなりますと、次の2点ほど補足で質問させていただきたいんですが、学部への進学を考えられている方も、ある意味でその数カ月という間で激変的とも言えるかもしれませんが、10万円の値上げというところでは、大学院への進学と学部への進学という、どちらも急激度は変わらないという考え方もあるかと思うんですけれども、その点に関しては、その選択においてそこに質的な差があるという感じにはなるのでしょうか。

藤井:
それについては、今、現に東京大学にいて学んでおられる方が大学院に行こうとしているのに、急に大学院の授業料が上がってしまう、それを避けたいという、そういうことでございまして、当然新しく入ってくる方からは適用になるわけですけれども、その方々については、もちろんこれは今在学の皆さんと同時に、これは先ほどお示ししたような、よりよい学修環境で学んでいただきたいということも含めて、新しい方々についてはそういったことで新たに入っていらっしゃるタイミングでこの授業料改定の金額でお願いをしたいということですが、少なくとも今在学していて大学に行こうかなというふうに考えておられる方々については、そういう意味では、急に授業料が上がらないようにという配慮から、このような提案をするに至ったというところでございます。ありがとうございます。

毎日:
毎日新聞の西本と申します。今回の案なんですけれども、学生さんたちにはどのようにお示しして、説明なり理解をいただくのかという、ちょっと具体的な手法についてお尋ねしたいのと、今回、この9月上旬での記者説明会で、今後のスケジュールの見込みについては今月末にも決定する見通しもあるというお話もございましたけれども、学生さん、ちょっと夏休み期間中ということもございまして、そういった総長対話の中でも、もう少しその双方向的に意見を聞いてほしいだとか、もう一度総長対話のような機会より、ちゃんと話を聞いてもらえる環境で開いてほしいという声もあったと思うんですけれども、ちょっとそのあたり、この時期でのこの案を示しているところのちょっと意図をお聞かせ願えますでしょうかと。

藤井:
その意味では、私たちは必ずしも夏休み期間だからということで、ここで発表したということではございませんで、そういう意味では、私たちの諸会議のタイミングとして、これはもちろん9月から動き出すんですけれども、きょうそういった会議があって、案がまとまったというタイミングでお示ししたということでありまして、まずその学生の皆さんへの通知はもうきょう既にしております。ですから、これは学生の皆さんが日常的に見るシステム上で皆さんにお伝えをしていますし、私自身のメッセージと合わせて通知をしたということでございます。
あの、おっしゃるお話は、この学生の皆さんからはそういう声があるというのは承知していますけれども、そういう意味では、先ほどちょっと繰り返しになりますが、総長は前回の総長を受けてのアンケートでは、約1000名からの、これも本当に非常に多様な意見をいただいています。それへの回答も私から8月の示しているというところもありまして、その辺を十分に勘案して今回の案をつくったということでございます。それからもう一つは、この授業料を改定する、しないにかかわらず、今回よく理解できたことは、本当にここは私たちの至らなかったところもあると思うんですけれども、先ほど来御質問いただいていますように、さまざまやっぱり個別の事情があるというようなこと、それから学生の皆さんも学生にかかわることについてはいろいろな面で一緒に考えたいんだというようなことをずいぶんおっしゃっていただきまして、その辺についても、今回はまず、まずはこの経済支援のところから急いで対応しますけれども、もう少し丁寧につくり込みをして、学生の今と関係する事柄について一緒に考えるような、そういったコミュニケーションの回路をしっかり整備をしていきたいというふうにも考えていますので、そういった中で、この新しい改定案についても、あるいは学生支援の拡充の取り組みについても、よりよいものにしていければというふうに考えているところです。

NHK:
NHKの齋藤と申します。この改正案については、今後、早ければ今月に決まるということなんですけれども、受験生に対してはどのような形で来年度以降の授業料の決定というのが知らされることになるのか、通常どおりのプロセスなのか、そのあたりをきかせて教えてください。

藤垣:
入試担当理事の藤垣でございます。受験生に対しましては、11月に別途記者発表の機会がございますので、その場で説明することになります。

NHK:
それは募集要項を公表する際に、その募集要項の中で盛り込んで、それを発表するという意味合いでしょうか。

藤垣:
はい。そのようでございます。

NHK:
もう1点、追加でお伺いしたいんですが、総長にお伺いしたいんですけれども、この授業料の教育学修環境の改善は待ったなしというようなお話がありましたけれども、これは待ったなしとするその危機感といいますか、その辺をもう少し具体的に総長の言葉で聞きたいんですけれども。

藤井:
これは、きょうもお示ししましたように、一つはやはり学生の皆さんに、私たち世界の誰もが来たくなる大学をつくろうということで努力をしているところでありまして、世界の大学と比べても劣らないような、見劣りしないようなしっかりとした教育を、もちろん今現在もそれをやっているという自負はあるわけですけれども、やはりさまざまなテクノロジーとかツールとかがどんどん新しく出てきているということで、これは特にデジタルの分野ではそれが大きいわけですが、それから、このコロナを経て、いろいろな皆さんのツールの使い方も変わってきたということもありまして、まずは、例えばそういうものへの対応というのは非常にある意味待ったなしだということで。例えばきょうも少しお示ししましたけれども、例えば先進的なシステムを導入しようとすると、かなりの費用がここにもありますけれども、かなりの費用がかかってくるわけです。これはそういう意味で、授業料だけで全く賄えるものではないんですけれども、やはり毎年毎年にかけていかなくてはいけない費用ということを考えると、私たちもいろいろな財源をこれまで用意をしてやってきてはいるわけですが、こうやって安定的に教育の環境改善に充てられる費用というのはどうしても必要で、それを授業料の改定を通じてこういう、例えばキャンパスマネジメントシステム、これは学生一人一人が自分の履修活動をマネージできるような仕組みですけれども、そういうものも整えていきたい。それからもう一つは、グローバル化のお話をしましたけれども、今、やはりこれも世界の大学ではですね、学生のグローバルな体験というのをどこまで広げられるかというのは、グローバルな体験と言いますと、実はキャンパス外での体験というのも今非常に世界的には重要なファクターになってきています。東京大学もそういう意味で、私自身は学びを社会と結び直すというふうに言っていますけれども、学外での体験、これは代表的なものは体験活動プログラムというのがありますが、それからフィールドスタディー型政策共同プログラムというのもあって、これはどちらかというと地域の自治体に学生に行ってもらうプログラムなんですが、そういった各種プログラムがあるわけですが、これもやはりできるだけ学生へのサポートを手厚く手厚くして、広く多くの学生が参加できるような、そういった形にしていきたいというのもございまして、こういった幾つかのグローバルに見たときに重要になってくる学びの環境づくりというのがあってですね、これについては東京大学としてもどんどんやっていかないと、なかなかそういう意味で教育あるいは学修の環境として世界と世界に伍しているというふうに言えるような形に、これは一旦こういう努力を止めてしまうと、どんどん置いていかれてしまいますので、その意味でも非常に私たちとしても危機感があって、何とか今これをやっていかというふうに考えている、そういうところでございます。

ジャパンタイムズ:
英字新聞、ジャパンタイムズのタンともうします。二点お伺いしたいと思いますけれども、一点目は、外国籍の学生に対してついて。事実確認でして大変失礼ですけれども。日本の永住権を有するそういう外国籍の学生は、今回の案の支援の中で、日本人学生に該当しますか、留学生に該当しますか。

事務:
定住権のある外国籍の方については日本人の扱いとしております。

ジャパンタイムズ:
ありがとうございます。外国人留学生に対する免除の判定を従来通りの扱いとすると書いてありますけれども、今、現行の基準について、もし簡単に教えていただければと思います。

藤井:
現行は同じですね。これですね、400万円でいいかとか、これはちょっと難しいんですが、家計の所得金額をというような基準で行われていますので、留学生の皆さんはこのままこのとおりです。これからもこのとおりで進んでいくということになります。

ジャパンタイムズ:
2点目は、最近、今回の値上げを受けて、東大の学生さんたちは近年にない反対運動がつながっているというふうに承知しておりますけれども、大学生としての。そういう反対の声をどういう受けとめというか分析していらっしゃいますでしょうか。

藤井:
先ほども御質問がありましたけれども、やはりちょっとその当初の周知の段階で、かなり唐突な形でこの案というのは報道されたということはあったために、私たちとしても少し学生の皆さんとのコミュニケーションの回路をうまく持つことができなかったという点で、ここは本当に私たちも反省をしているところでありまして、その意味で、今後は少しそういったことを丁寧にやりとりができるようにしていこうということを考えているということです。

共同通信:
共同通信の池谷と言いますけれども、一部免除というのが600万円から900万円にたとき、従来の国立大学での半額免除というのはあったかと思うんですけれども、これどれぐらいを考えていらっしゃるのかということを。それから、国立大学協会では運営費交付金が大分少なくなってきて、これはどうなんだということで、国がもっと出してくれないとというようなことを訴えているわけですけれども、東京大学としてはどうなのかという話。それから、地方への波及ということも、東大の値上げということでいうと影響があろうかと思うんですが、その点についてどうお考えかということができればと思います。

藤井:
まず最初は、半額、あるいは4分の1、そういったことがあるんじゃないかというふうに考えております。それが1点目ですね。
それから、2点目は、国大協はもちろん運営費を、あるいは国の方でもうちょっと何とかしてほしいということを言っていて、私自身も当然国大協のメンバーですので、そういう議論には参加をして、常にそこは運営費交付金自体の増額も含めて、これは国へのお願いというのはし続けるということになるんですが、ただ、やはり私はここにお示しもしましたけれども、これは必ずしもそれだけで全部カバーできるということではありませんで、やはり財源、さまざまに多様化をして、何とか、例えば一例を申し上げますと、最近私自身が申しているのは、いわゆるエンダウメントということを申しているんですが、エンダウメントでいわゆる目的が特定されないような寄付というのをしっかり積み上げていって、これは欧米、特にアメリカの大学ではそういう非常に大きいエンダウメントがあって、そこからのリターンで大学の運営自体にかなり大きく寄与しているというのがあるわけですけれども、いきなりそこまでは行けないのでですね、私たちとしてもそういうことができるようになればいいなというのも当然考えておりますし、そういう意味で、国大協として運営費のことをあるいは国へお願いするのはもちろんですし、この授業料の改定もやりますし、寄附金についてもやります。そういった意味で、さまざまな財源をしっかり用意して、やはりこの教育の環境をよくしていかなくてはいけない。
それから、もちろん研究の環境も私たちはよくしていかなきゃいけませんので、そういう意味では大学としてはそういった財源の多様化というのをどうやって図っていくかというのが一番大きな課題になっているというふうに御理解をいただければと思います。
あとは、地方の。ただ、地方大学の件はそうおっしゃっていただくんですけれども、その意味では、これはそれぞれ授業料は標準額がありまして、そのプラマイ20というのはそれぞれの大学の裁量でといいますか、判断で設定すべきものということになっていますので、これが私たちが上げたから、誰々が上げたから私たちも上げますという話には私としてはならないだろうというふうに思いますし、そういう意味では、私たちが上げたことが直接的にそういったことにつながっていくというふうには今のところは考えておりません。実際、原理的にもそれぞれの大学ごとに、財務、財源、財務の状況というのもあるでしょうし、それから目的とする、例えば環境の改善といったようなことについてもそれぞれ違うと思いますので、これについてはそれぞれの大学がその事情に合わせてということご判断いただくということではないかなというふうに考えております。

東京大学新聞社:
ありがとうございます。東京大学新聞社の岡と申します。当面の間取り組む事項としまして、学修情報の可視化、全学の学習環境の整備というものが挙げられておりました。この中に学修履歴、在学時の活動履歴の可視化という項目がございますが、これは総長がUTokyoCompassの中で挙げられているユーティーワン(UTONE)とお呼びすればいいのかわかりませんが、そういったもので間違いないんでしょうか

藤井:
ユートンと呼んでおります。キャンパスマネジメントシステムというふうに言うUTokyoCompassの中に入っていると思うんですけれども、

東京大学新聞社:
ありがとうございます。では、UTONEに関しまして、なぜ値上げをしてまで必要だと考えているか。また、もともと24年度に導入するということがUTokyoCompassにも書かれていたと記憶しておりますが、そういった点で、今回の値上げの時期、24年度というという、UTONEの導入時期、24年度というところは何らかの関係があるのでしょうか。その点についてお聞かせください。

藤井:
多分、今は導入しようとしていて、実は一部導入していますが、私たちが本当に描いているような完全な形ではなかなか実は導入できていなくて、そのためにはやはりかなり費用をかけなきゃいけないということもあって、今は試行的に導入をしているという状況です。将来的に、やはり学生の皆さんが今もう皆さんほとんどスマホを使っておられると思うのですけれども、スマホ上でのさまざまな学習の、あるいは履修の関係、あるいはいろいろな活動の関係を全部把握し、それから、例えば自分の興味関心に応じてどんな活動やメニューがありますよといったようなことを、例えばサジェストしてくれるような機能も含めて、やはり学生の皆さんが自身の学びを進める上で有用な、有用な情報がそこから得られるということも含めて、一元的に自分の手元で管理できるようにできたらいいな、というのが一つあります。将来的には、これは多分あちこち言ってることは言ってると思うんですが(笑)、そういうものが例えば卒業した後の、今度は学生さんとのつながりみたいなことにもつながっていければいいなというふうにも考えていまして、卒業してから必ずしも履修のマネジメントが必要ないわけですけれども、また違った形でこのシステムとつながってもらうようなことができると、今度は卒業生の皆さんと在学生の皆さんがつながっていくこともできますし、といったら、非常にある意味、今の後半の話は、そういう意味では、今回のこの話からちょっとそれるかもしれませんけど、非常に大きな構想の中でのこのキャンパスマネジメントシステムを、まずはここに書いてあるような、規模感で整えたいということであります。そのことがUTokyoCompassに一部書かれているというふうに考えております。

東京大学新聞社:
はい、ありがとうございます。そのUTONEに関しては、25年度あるいは24年度からの全学的な開始という感じにはなるんでしょうか。

藤井:
すみません。ここは余りちゃんと説明しなかったんですが、授業料改定の増収額がフルに23.5億円になるのは28年度末ぐらいなんですね、そこまでの財務状況を含めて。なんか御説明ありますかね。キャンパスマネジメントシステムについて、やはり財務の状況、立ち上がりの状況を含めて見きわめなくてはいけないと思っていますので、では教育担当の森山理事から。

森山:
森山と申します。UTONEについては、既に部分的に試行段階で今総長が申し上げたとおりですが、行っております。で、実際に使っている学生さんたちの反応等を見ますと、まだまだ改善の余地がある。我々のもくろみとしては、入学時から墓場までという自分の履歴をトレースできる、大学と卒業した大学とつながって、そういうシステムをつくりたいのですが、キャンパスマネジメントシステムとしては、その中で自分の履修状況を閲覧できる、自分の成績を閲覧する、自分の課外活動をそこで集約できる。正課外活動を含めてですね、そういったシステムで、今、これも総長が申し上げましたとおり、あなたへのおすすめみたいなですね、こういう科目をチェックしている人にはこういうおすすめが出てくるみたいな、そういうある種の生成AI等の活用も含んだ新たなシステムをつくりたい。それが今、試行段階で学生の反応があまり芳しくないと申し上げましたので、これを大幅に今改善するというプロジェクトも行っています。それがまず実現したら、前期の学生3100から6300人にそれを展開する。さらには後期課程あるいはもちろん大学に墓場まで行くわけですから、というところにまで展開していくというのが最終目標で、そこに至るには申しわけありませんが、まだかなり時間がかかるかなというふうに思っているところでございます。

朝日:
朝日新聞の加納と申します。報道規制について伺いたいんですけれども、きょうの御案内いただいたときに、安田講堂前を含め、構内の他の場所での取材、撮影は禁じますと。ルールを遵守していただけない場合は、今後一切の取材をお断りしますというふうに書いていただいたんですけれども、皆さん方、学内でさまざまな学生の反対運動を目にされたかと思うんですけれども、これはその学生の抗議運動を取材したらできるということなのでしょうか。それとも違う意味でとらえた方がいいんでしょうか。

小澤:
広報課長の小澤と申します。記者の皆様には常に事前に取材の申し込みをしていただいております。それによって、私どもが教育研究活動に差し支えないと判断できるものに関しまして、事前に許可といいますか、お願い、取材をお願いするような形になっておりますので、皆様それを遵守していただいておりますので、常日ごろそれをお願いしている状況でございます。

朝日:
つまり、学生の抗議活動も皆さん方に事前に申請すればオーケーということですかね。

小澤:
それは中身次第でございます。

朝日:
つまり、皆さん方が許可して、この学生たちの活動については取材してほしくないというふうに許可されない場合は取材ができないということですか。

小澤:
取材がしてほしくないというよりも、取材していただく場合に、危機管理面で安全かどうか、教育研究活動に差し支えないか、近隣の皆様への影響がないか、そういった多面的に判断しまして許可を出しております。

朝日:
今回のこの記述は、構内の他の場所で一切の取材は禁じると、した場合は出禁というふうに読めるんですけれども、これはこの日限りの話なのか、それとも今後申請をした場合は取材することを認めることもあるというな理解でいいのか、どちらでしょうか。

小澤:
その都度申請をしていただきまして、その都度判断させていただいております。

朝日:
わかりました。天下の東京大学が報道規制によって学生の特定の言論を封殺するというようなことがないようにお願いしたいと思います。ありがとうございます。

藤井:
そういう意図ではないということです。

朝日:
朝日新聞の松谷です。きょうの科所長会議ですか、これは議論があると思うんですけれども、全員賛成というか、満場一致というか、あるいは反対意見は何か、こういう意見があったという御説明は可能でしょうか。

藤井:
この改善された案について、幾つかコメントがありましたけれども、基本的には承認されたということでございます。

朝日:
意見としては、可能な範囲でどういう意見なのか。

藤井:
これはもともとですね、例えば大学院における授業料改定への懸念の意見とかですね、そういうことはもともとあったんですね。教員の皆さんからもありましたので、そういうことへの配慮というのは、ある意味皆さん方も相当いろいろ意見が出ていましたので、そういう意見も踏まえて今回の案をつくりましたので、そういうことへの配慮はちゃんとされていますねというようなコメントをいただいたというところです。

朝日:
最後は多数決などできめたというとこですか。

藤井:
基本的に決をとるというようなことはしておりません。

朝日:
あと、もともとこの前の学生への説明では、当初授業料で増収されるのが、29億円とおっしゃていたとおもうんですが、13.5億円で、これは単に適用される学生の数が減ったという、それだけなんでしょうか。

菅野:
前回とかわりまして、学部生については同じですけれども,大学院生については4年後から年次進行、それから博士課程については白紙に戻したということで、その分だけ減ってます。それで29億が13億5000万になったと。

朝日:
先ほど別の方から質問あったと思いますが、東大が上げればほかの大学も上げやすくなると、これは総長はそうはっしゃいますけれども、多分他の大学も東大を見ていると。これは自覚して、いろいろな御判断を入試も含めてやられてきていると思うのですが、そういう意味でも慎重に検討されたと思うんですけれども。実際その辺はということを含めて考えたというふうに思うんですが、いかがでしょうか。

藤井:
国立大学のそういう意味では、このもちろん東京大学がどうしたかということをごらんになっているか、あるとは思いますけれども、ただ、やはり基本は国立大学法人としてそれぞれ独立した判断の中で、ですから、そういう意味では、もう既に上げていらっしゃる大学もあるわけでございまして、必ずしもそれが大学ごとにすでに上げている大学もあれば、今回もいろいろアンケート、多分報道各社のアンケートとかもされていて、考えていないというふうにおっしゃる大学もあったと思うんですよね。ですから、それはそれぞれの大学が法人としてしっかりお考えいただくということなのではないかなというふうに思います。私たちとしては、何度も繰り返しになるんですけれども、授業料改定だけの話ではなくて、やはりこれは国立大学全体として考えていいと思うんですが、日本の高等教育、あるいは国立大学における学びの環境をいかによいものにしていくかという中での授業料改定もあり、運営費交付金をより手厚いものにしていただくということをお願いしていくということもあり、それから、さまざま財源獲得の手段もあるわけですから、それを東京大学としてもいろいろなやり方を試みて、それを、それはもちろんそれで、共有して広げていくということになると思いますが、今回の件については、これは本当に標準額から20%の範囲内ということについては、これは各法人の判断でお考えいただくべきことなのではないかなというふうに考えています。

朝日:
今、標準額は53万5800円です。今、中教審の特別部会中で今後どうするかという議論、あるいは新しくできた国立大学の会議でもその辺のことも話し合う可能性がありますけれども、標準額を上げるべきだとかという議論は藤井総長以下がご覧になられますか。

藤井:
これについては、今のところは特段その議論をしようというということではありませんで、少なくとも今現時点で私たちが法令上やれる範囲というのを授業料の改定をしようということです。

朝日:
この標準額を上げるべきだというようなお考えはないでしょうか。

藤井:
いまのところは。

共同通信:
共同通信の池田と申します。先ほど来からその財源の多様化という話が藤井総長からありまして、その中での授業料値上げいうことだと思うんですけれども、とはいえ、東大は20年近く値上げをしてこなかったわけでして、今回の決定というのは、総長として検討を重ねた上での苦渋の決断といいますか、できれば上げたくないけれども致し方ないというものだったのか、それとも先ほど来から説明あるように、世界と競争していく中では截然というものだったのか、ちょっとニュアンスの部分にはなるんですけれども、もう少し伺えないかなと。

藤井:
はい、両方です。そういう意味であれば、おっしゃっていただいた。まさにこれ、要するに1年間で見ればこの13。5億なんですけれども、毎年13.5億なんですね。毎年これだけの違いというのは、やはり例えば20年を考えると、これは実は総長対話のときにもちょっとお話ししたんですけれども、20年を考えると、相当にその間にさまざま、例えばこの13.5億を毎年教育環境の改善に費やしていけば、相当な改善ができるわけです。これはもっと言えば、例えば、先ほどちょっとエンダウメントの話をしましたが、エンダウメントでいえば、かなり大きなエンダウメントを持っているということと、同じような、直接それが一対一に対応するわけではありませんけれども、毎年これだけ変わっていくということは、やはり大きな変化。これがある意味20年間はずっと据え置かれてきたということでありまして、そういう意味では、今始めないと、これが毎年この後投資ができなく、教育環境改善への投資がしていけなくなるということなので、そういう意味で、先ほども待ったなしと申しましたけれども、そういう意味では一刻も早く始めるべきであるという、そういう思いはあって、とはいえ、やはりいろいろな御意見がありますので、そこは苦渋の決断というところもあってありますけれども、ただ、やはり私たちがよりよい学びの環境をしっかり用意していくという観点から見ると、今始めるべきだろうということで、今回このような形になったということです。

朝日:
朝日新聞の島崎と申します。2点あるんですけれども、すみません、先ほどちょっと退席していた時間がありまして、既に出てた質問であったら申しわけないんですが、この授業料の改定に伴って活用額というものが示されていると思います。これが13.5億円、2028年度末ですけれども、これに対して今後想定される必要額というのが140億円を超えている額だと思うんですが、この間に非常に開きがあり、さらにはこれから授業料の全額免除の方たちをふやしていく、拡充していくということなので、この13.5億から実質的にはまた減っていくのかなというふうに思うんですが、この辺の実効性といいますか、この額の開きと、これからその授業料免除の人たちがふえていくというのを見たときに、そこの実効性をどのように考えられているのか教えてください。

藤井:
そこはいろいろな、そういう意味で、私たちとして財務的にいろいろな努力をして、何とかこれを進めていきたいということで、今、財務担当から説明申し上げて説明します。

菅野:
確かに今後予想される必要額143億円、それに対して授業料の増加が最終年度2028年度末で13.5億。では、このギャップはどうするのかということ。これはまさに多様な財源、まずは交付金、研究費の...(不明瞭)ところを使って。それから資金の大学基金運用のところからも充てる。大学債を発行する。この中で特に設備とか施設については大学債から外れるということですので、そういったさまざまな財源を使ってこの部分については対応していく。その中で多様な財源の一つとして学費についても増えると言う形で、何か一方に偏ることなく全体的に負担をしていくことを可能な形での教育学修環境の改善をやっていきたいという考え方で。もう一つ、授業料免除のところで、この43億に対して2.4億円ですね。これが実際にはかかるということになります。

朝日:
ありがとうございます。あともう1点、今回その経済的困難にある人をどういうふうに、そういう人たちの教育機会を奪わないように、どういうふうにするかが一番ポイントの部分だと思っているんですが、その中で、この資料にあります経済的問題の相談支援窓口の強化を早急に進めるとあるんですけれども、これはつまり在学生ではなくて、これから東大に入りたいって思う学生についての相談窓口としても機能するんでしょうか。むしろそっちの方が重要なのかなと思うんですけれども。

藤井:
当初は、今、今御指摘でちょっと気が付いたこともありますが、当初はやはりこれは授業料を改定する、しないにかかわらず、今いる在学生の皆さんからの声としても、いろんな意味で不安があるんだという声が非常に多かったんです。その意味で、さらに授業料が改定、もしされれば、彼らにとってみれば、要するに、自分が例えば学校に通い続けられなくなっちゃうかもしれないという、そういう不安を抱えているんですという声が多かったので、そういう意味で学生の皆さんがそこの心配をできるだけ取り除けるような、こういうやり方で、例えば奨学金を獲得していくであるとか、授業料免除申請していくとか、そういうやり方をやっていくと、これで安心して通えますよというようなことをしっかり相談できるような、そういう体制をつくろうというのがまず第1点ですね。今お話いただいて、確かにそうだなと思ったんですが、これから入ってくる学生の皆さんについても、さっきちょっと追加して御説明いたしましたけれども、やはり経済的支援とか授業料免除とか、どういうものが得られるのかというのが往々にして入ってからでないとわからないとか、奨学金も最近予約採用というのは出てきていますけれども、やはり一般的なイメージとしては、入ってしばらくしてから申請をして、ある程度、例えば1年終わった後にならないと、それが実際適用されるのかされないのかわからみたいな、そういう仕組みが多いので、それをできるだけ事前に把握できるような、そういう仕組みを何とか整えたいということで、今のところは経済的な相談機能強化というのは、主として学内で今在学されている方のことを考えていまして、むしろこれから入ってくる皆さんについては、その皆さんがそういったことを、予見可能性を高めるような仕組みですね、先ほどちょっとシミュレーションとかという話をしたんですけれども、そういうことができるような、そういう仕組みを整えて、あらかじめ自分がもしも東京大学に入ったらどれぐらいの経済的支援が得られるのかみたいなことをある程度わかるようにできるといいなというふうに考えているところであります。

矢島:
教育学生支援部長の矢島でございます。総長からお話があったように、その予見可能性があるというような仕組みで、今、日本学生支援機構の方では、自分の家の所得を入れて、きょうだいが何人いてみたいなことだと、該当するのかということなので、東大行こうが、京大行こうが該当するということはわかるんですけれども、東大の中でも、東大独自の奨学金で、そういうことが具現化できたらいいな、総長からもありましたけれども、その機会だけではなくて、人に対して相談できるというようなことで、そのハードの部分とソフトの部分でそういうようなことができたらいいなというふうな形で構想しています。以上です。

朝日:
なので、基本的には在校生でこれから入る人たちについては検討、検討というか、むしろそっちの人たちの方がどういう仕組みなのかとか、どういう減免が受けられるのかとか、わからない人が多いと思います。

矢島:
多分その新しく入学してくる人も在学してくる人も、基本的に免除とかは一緒なので、そこは切り分けてというのは最初どちらが多いのかみたいな、どのくらいニーズがあるのかとかがわからないのであれですけれども、別にどっちかに特化をしてそうするということではなくて、東大に入学するであろう高校生、受験生もそうですし、在学生に対してもそういうようなことを広範囲でできるといいなというような考えで立案というか、計画していこうと思っています。

日経:
日本経済新聞の方も大本と申します。ちょっと今後の予定みたいなところの確認なんですけれども、役員会で値上げが決定しましたら、その時点でその発表ですとか、あるいは今日記者説明会と言ったんですけど、記者会見とかをするのか、あるいは先ほどの副学長がおっしゃっていたように、受験生向けの11月の記者会見までこういった場はないのかというのは、現状何か想定ございますか。

藤井:
そういう意味で、きょう皆さんに改定案というのは、お示しているところでありまして、その意味では最終的に決定ということがあっても、特に情報量としてはそんなに大きな変化はないんじゃないかなと考えていますので、先ほどちょっと申しましたように、いわゆる募集要項のところではしっかりとお伝えするというのが一つ発表のあり方かなというふうに思っていますけれども。

日経:
受験生向けは結構社会の関心も非常に高いので、きょう一応その案という段階ですから、案がとれた段階で何かしら公にホームページなりマスコミ向けなりした方がよいのかなと感じます。ありがとうございます。

藤井:
そこはちょっと検討させていただきます。

日経:
あと、すいません、先ほどの方にも質問があった標準額について、今のところ総長としては上げるべきであるということをおっしゃったと思うんですけど、今省令で定められて上限20%について、30%とかあるほうがもっと裁量があるのになとか、検討段階で思ったりとか、そこは上げるべきじゃないかとか考えはありますか。

藤井:
標準額を上げるとか、20%の幅をとか、その議論は国全体の話として、この高等教育の中での財政負担をどういうふうに、どのようにすべきかということにほとんどかかわってくる議論なんですね。ですから、これは授業料でいくのか、交付金でいくのか、これ交付金であれば、やはりこれは税金に国民の税金ですから、そうすると、やはりこれは国民全体の議論が必要ですし、授業料というのは、そういう意味ではその部分のある一定程度はその学生の皆さんに負担していただくとという、そういう発想なわけですから、それが多いのがいいのか、少ないのがいいのかを含めてですね。ですから、それはなかなかそこだけにシングルイシューとして狭めて議論できることではなくて、むしろこれは私たち全体が日本の、例えば国立大学のあり方としてどういうふうな財政負担をしていくべきかという議論をしっかりやった上での決まり事と、そういうことになるんだろうと思います。
その意味では、現在のこの標準額というのは、法人化後に一旦ちょっとだけ上がったんですね、上がって、その後ずっと据え置かれてきたという状況ですので、今回は私たちが今現在の法令上許される範囲内での改定ということですので、それを全体をまた動かすということであれば、今お話ししたような大きな視点での議論というのが必要になってくるというふうに考えています。
その意味で、先ほどもちょっと申しましたが、現時点ですぐにこの標準額を上げる、下げるというような議論にはならないというのが私の現時点での考え方。

朝日:
朝日新聞の上田と申します。常々多様な学生をとりたいということをおっしゃっていまして、ただ、授業料の値上げという言葉は、逆行するというか、逆風のように、当然響くわけなんですけれども、女性、地方それから公立、そういったいろいろな学生をとりたい、来てほしいというメッセージとの整合性というか、そこをちょっと教えていただきたいます。

藤井:
そういうふうな声があるというのは理解しておりますが、ただ、やはりこの授業料の改定が必ずしも直接そういったダイバーシティを狭めるということにつながるかどうかというのは、なかなかそれはなかなかそう簡単な相関関係ではないというふうにも考えています。東京大学としてすべきことは、この授業料改定に伴って、先ほどお話ししましたような学びの環境をよりよいものにするということがまず第一ですね。その上で、できる限り経済的な理由で東京大学に進もうという学生の皆さんが諦めることがないように、いかにその支援の幅を広げていくかということですので、今回はその意味で、この学生の就活支援の拡充と、それから授業料改定というのは、あわせてお示しをしたということでありまして、いろいろな大学にもおっしゃっていただきましたように、地域とか女性とかいろいろなことがあって、女性の学生に関しても、女性の学生への特別な支援というのも幾つかやっておりますし、そういうメニューも今後も改善できるものは改善していって、これも続けて当然続けていきたいですし、それから、先ほど申しましたように、地域、地方からのかなりいらっしゃる方については、その個別の事情に配慮できるようなことも考えていきたいということも今は検討の枠内に入っていますので、そういう意味で直接的にそういうふうに逆行するということにもならないんじゃないか。むしろ、できるだけそういうふうにならないように私たちとしては努力をしたい、そういうふうに考えております。

東京大学新聞:
東京大学新聞社の平井といいます。お願いします。総長が先ほどから、これから新しく学生との今まで授業料改定の際はどうしてもディスコミュニケーションみたいなものが起きてしまったから、これからはもうちょっとよりよい感じのコミュニケーションの回路をつくりたいみたいなことをおっしゃっていたと思うんですけれども、もちろんまだ決まっていないんですけれども、これはどういうものになるのかっていうというのと、あと教養学部の自治会なんか交渉をしましょうみたいなことを言っているんですけれども、総長は先日のアンケートへのメッセージみたいなもので、例えば給料の交渉とは違うものだから、授業料の改定に際してそういうものはやらないなことをおっしゃっていたんですけど、一方で文学部を初めとして自治会を再建しようみたいな動きもある中で、どういうものを考えて、どういうような回路をつくっていこうかなと考えていらっしゃるのか、お聞きしたいです。お願いします。ありがとうございます。

藤井:
そうですね。まずはやはりこの繰り返しなんですが、学生支援、この経済的支援の部分について、相当にいろいろな事情があるというのがわかりましたので、皆さんの、要するに今の就学の状況で、例えば経済的な状況でなかなか学ぶ時間が持てないとか、そういうこともあり得るんだというような話を聞きましたので、そういう状況を、これはなかなか私たちも今のやり方ではお聞きすることができないので、そういうものを聞けるような仕組み、もちろんそういうアンケートみたいなことももちろんあると思うんですが、それも含めて直接聞けるような仕組みをまずは考えたいというのが1点。それから、もう一つの交渉という話がありましたけれども、というよりは、私たちの感覚ではやはり一緒に考えたいというふうにおっしゃる意見というのがすごく強かったようなイメージを持ちましたので、むしろ学生が関係する事柄については、今のような修学の状況みたいなことを直接聞かないとわからないことが結構多いですので、むしろそういう直接的に意見を聞きながら、こういうふうにやるのがいいんじゃないかというよう作り込みの仕方を私たちも考えていきたいというふうに思いますし、そのもう少し一般化した仕組みについては、そんなにすぐにこうやりますといって始めるというよりは、これも少し意見を学生の皆さんの御意見も聞きながら、どういう作り込みがいいのかということを少し、これは丁寧に時間をかけて立ち上げていきたいなということです。

東京大学新聞:
はい、ありがとうございます。1点だけなんですけど、これ、この先もし標準額が上がった場合は、東京大学として授業料をさらに値上げをするみたいな考えみたいなものってあるんでしょうか。今のところは考えていないです。ありがとうございます。

川村:
ありがとうございました。これをもちまして説明会を終了させていただきます。本日はお忙しいところをありがとうございました。

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