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日記:変動
怒涛の一週間だった。怒涛、怒涛、どとう。
『回遊』第三号が到着して、編集長にも神戸からわざわざ京都まで来てもらって開封式をした。
落丁等データミスはなく、無事に紙に印刷されて届いてくれて本当に良かった。
実はかなりでかいミスがあるのだが、おそらく気付く人はそうおらず、編集部員も気付かないだろうから黙っておく。創刊号、第二号を持っている人なら、並べて読んだ時に、あれっと思うかもしれない。完全にデザイン面のミスなので、全て私に責任がある。
以前大学で同窓会的なものがあった際に、大学のロゴの入った食器が格安で販売されていたのを、編集長に買ってほしいと頼んでいたので、編集長はでっかいトートバッグに大量の食器を詰めてやってきて、そして代わりに『回遊』を詰め込んで帰っていった。
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ノリタケの食器で勝手も良い。私が入学した直後、6年ほど前はこの食器でなにやら食べ物が提供されていたのだがいつの間にやらプラ食器に代わっていた。
上記がこの月曜のこと。
火曜は仕事終わりに、先日買った本の出版社の方と著者の方と夜ご飯に行った。
京都というのは本当に不思議なところで、何故だかわからないけれど、本を買うとすぐに著者に会える。だからずっと私は急いで本を読んでいて、本を読むことに追われている。
次から次へと読書会の予定も立つものだから、その本を読まないといけないし、新刊書を買うと著者やらその周辺の人やらと会う予定がいつの間にか生じているからそれまでに読む必要もある。もちろん趣味のSF小説だって読みたいし、買いためている古本たちも読んでいて、勉強のために読まないといけない本もある。ずっとずーっと本を読んでいる。
とんでもなく幸せな生活だと思う。田舎に暮らしていた時のあの孤独感を思い出して、過去の私を抱きしめたくなる。過去の私はいくら本を読んでもずっと孤独だった。少し都会に出るだけで出会いの数がこれほど増えるなら、もうちょっと移動に好意的であればよかった。
水曜も似たような形で、素敵な人たちと素敵なお店に行った。
下鴨神社の近くにあるyugue(ユーゲ)。看板もなんにもなくて、なんだか暗いし、ひとりで通りかかっても入れない、というか気付きもしないと思う。
メニューは手書きで値段が書いていない。「スパゲッティ」と書いてあっても何スパゲッティなのかはわからない。頼んでみたら、よくわからなかったけどめちゃくちゃ美味いスパゲッティが出てきた。
飲み物もどれも美味しくて、あまりの聞き覚えのなさに名前を忘れてしまったけど温かいハーブのドリンクがあって、これも好きだった。一度連れてってもらうことで以降(不必要な勇気の準備なく)入れることになるお店。また行きたい。
木曜日は『回遊』の販売に京大ルネと午睡書架へ。ルネでも散々長居して、午睡書架でも随分長居した。
午睡でもまた知らない人と会って、ペラペラお喋りに興じる。午睡で誰かと出会わなかったことなんて一度もないし、お喋りしなかったこともない。不思議空間。
このまちではマッチングアプリとか不必要だろうなと思う。京都の出会い率は尋常じゃない。まだ京都にやってきて4か月なのに、これほどたくさんの人と出会えるなんて!
6人の法則とか言って、どこにいるどんな人でも人を6人通じたらつながる、と言うけれど、京都は3人の法則で動いている。
そして金曜日はブックスヘリングへ。雨が降っていたけど、とことこ歩いて廃墟と見間違う暗闇へと足を延ばした。
閉店間際だったけれど、店主のルパンさんは快く迎え入れてくれて、お酒まで出してくれてお喋りを楽しんだ。
『回遊』第三号では林大地さんという京大のアーレント研究者が京都の古本屋をほぼ網羅するような記事を書いていて、以前ヘリングで撮らせてもらった写真を載せているのでそのお礼を伝えることが一番の目的だった。
記事を読んでいただいたらわかるのだけれど、林さんはヘリングのことを(莫大な愛を込めて)汚いだとかゴキブリの死骸がどうだとか、仙人のような店主だとか書いたせいで、「自分で持っていくのは恥ずかしい、怒られたらどうしよう」などと抜かすものだから、私が持って行ったのである。
ヘリングの見た目のこともあって、我々は店主ルパンさんのことをちょっぴり怖がっていたのだけれど、全くの杞憂だった。気がよく、優しく、お喋りなおじいちゃんという感じで、元々ヘリングのことが大好きだったけれどさらに好きになった。
土曜日は、本当は知恩寺の古本まつりに行くつもりだったのだけれど雨足が強く、断念。月曜から毎晩帰りが終電間際で毎朝9時から仕事に行っていたものだから疲れもあり爆睡していた。11時くらいにのっそり起きて、翌日の読書会のためにローティ『偶然性・アイロニー・連帯』を読む。
日曜は少しだけ古本まつりを見てからその読書会へ。京大近くのカフェコレクションで美味しいトーストサンドを食べながら、ローティの話ではなく古本まつりの話ばかりしたものだから、結局みんな揃って再度古本まつりへ。1時間ほど楽しんだのち、後ろ髪を引かれながら去る。
読書会が終わってから時間に余裕のあるメンバーでガチ中華へ行く。
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つい最近まで存在すら知らなかったみんなと一緒にテーブルを囲んでご飯を食べている事実に、ちょっとウケてしまう。みんな若くて学生で哲学を専攻している。私だけなんだか変じゃないかなあとも思うのだけれど、私が楽しいのでOKです。
大学を出てしまったらそれでおしまいだ、と思っていたような節があったが、全くそんなことは無くてむしろ、より拡がっている。付き合ってくれる全ての人に心から感謝している。そして私の幸運さにも。
月曜日はそれまでの雨が全てを洗い流したような快晴で古本日和。知恩寺最終日、竹岡書店は恒例の8冊500円というトンデモ価格。竹岡書店のタケちゃんが快活な笑顔で「なんか買うてよ~!」と言ってお茶をくれた。前述の林さんに協力を仰ぎ、2人で8冊買おうとしてたはずが、気付くと2人で16冊買っていた。
ほかにもいろいろ買って、友達にあげたい本と合わせて計18冊。ほくほく。
このあともまたヘリングに行ってお喋りしたり、また知恩寺に戻って院生時代の友人に会ったりした。
密度500%で過ぎていった1週間、毎日が変動している。