世界一わかりやすい英文法の授業 感想
本記事について
関先生といえばこれと言われるほど代表作になっている、世界一わかりやすい英文法の授業についての感想を述べた記事です。記憶が正しければこの参考書は、関先生がはじめて大々的に売れた参考書だったはずです。大学受験の方だとポラリスやザルールズの方が印象に残っているかもしれません。
今回は世界一わかりやすい英文法の授業についての感想だけではなく、学び直しやTOEICなども視野に入れながら書いていきます。
内容
主に基礎事項に絞り体系性を意識した上で高校の英文法語法を総ざらいする内容になっています。
全体は8Partプラス付録からなっています。
1.本質を捉えると時制がリアルにわかる
→時制
2.仮定法助動詞で英語の気持ちを読み取る
→仮定法、助動詞
3.不定詞動名詞分詞のイメージを理解する
→不定詞、動名詞、分詞
4.見落としがちな重要事項も丸暗記なしで理解する
→頭韻、倒置、受動態、比較
5.文型の重要性
→文型
6.動詞の使い方を理解する
→語法
7.重要品詞もリアルにイメージできる
→冠詞、名詞、形容詞、副詞
8.英文の構造を理解する
→接続詞、関係詞
〈付録〉
・進行形にできない動詞
・従属接統詞
・完了形
・仮定法の公式
・" I wish"のあとに続く形
・後ろにto~がくる動詞
・“be to〜”の細かい判別
・後ろに動名詞をとる動詞
・単語の頭で韻を踏む
・notを使った熟語
・品詞の考え方
・節とは何か?
・SV人物の形をとる動詞
・robの語法
・感情を表す動詞
・自動詞と間違えやすい他動詞
・複合関係詞のまとめ
付録は最後に予備校のテキストにあるような補足付きの詳しめのものです。
英文法Partの基本構成は
名言
↓
見出し
↓
本文
↓
まとめ
↓
Did you know?
になっています。
見出しは読み飛ばされがちですが、大事な情報が結構含まれているのでしっかり読んで欲しいです。本文中の電球マークで補足や注意点、Did you know?では、このレベルにしてはやや発展的な内容や本文に対する補足を扱っています。連続していることもあります。
本文中で重要箇所は太字で、さらに重要箇所の所は太字とマーカーのスタイルになっています。対応関係や区別がわかりやすいように下線を引いている場所があります。
問題は含まれていないので、他の本や授業などに含まれる解法的な話はないです。例を挙げると感情他動詞や関係詞あたりです。
内容の切れ目にあるコラムでよく先生が授業中に雑談として話す話題が扱われています。先生の本は授業をすでに見ている方からすると馴染みのあるものばかりです。
内容的に繋がりがある場合は、関先生の類書(真英文法大全以外)にのっていない発展的な内容も取り扱っています。一部英単語や英文解釈の授業の内容も含まれています。
強み
*理屈や背景まで意識した内容になっている
→英文法の本というと、ただ機械的に説明していくもの、羅列しているもの、とりあえず丸暗記させようとしてくるもの(東進の有名な某先生のもの)が多いですが、本書は完全に別方向の参考書になっています。理屈や背景を意識し、紛らわしい所はしっかりと区別や整理を意識した内容になっているので、納得しながら進めやすく苦手な方でも取り組みやすくなっています。
*一つのくくりごとに最後にまとめがある
→関先生の本でよくあるチェックポイントに似たものです。ただのまとめではなく、そこで学んだ内容が使いやすい形(こういう時はこうする)でまとめてあるので、チェックポイントよりこっちのほうが学習者にとってありがたいと思います。類書と比べてもかなりいいです。復習の時にまとめだけ一気に通読するという使い方もできます。
*一つのあたりの説明が類書に比べて丁寧
→内容を削っている分、一つの文法事項についての具体例の数、背景や理屈の説明、前提知識の説明が手厚く、イラストも使われていてかなり丁寧に説明されています。無味乾燥ではないので面白さを感じやすいと思います。所々ふざけていてクスッとできることが書かれていたりします。一番授業に近い参考書といっても過言ではないです。 このことに加えて、一ページあたりの文字も少ないのでかなり読みやすくなっていて終わらそうと思えば全然1日でも読み通せる内容になっています。
大前提授業が一番手厚いのですが、真英文法大全や入門英文法の核心のような参考書を使っていて理解できない所を参照するという使い方もできます。
※理屈は背景に関しては先生の類書ではかっとされている内容もかなり含まれています。
※関係詞など中学レベルから扱っている内容もあります。扱っている難易度幅は関係詞が一番広いです。
※所々昔の方が説明がうまい所があります。
*語法まで扱っている
→関先生の英文法の本は語法を扱っていないことが多いです。たとえば入門英文法の核心や真英文法大全などです。英文法の本なので扱っていないのはおかしくはないのですが、授業や参考書でも扱っているものがあり、先生の醍醐味の一つでもあるので扱って欲しいという方は多いです。この本は薄くレベルを落としているにもかかわらずしっかりと扱われています。語法もとても教え方がわかりやすく、内容を知っている方で載っていない本を見るとなんでのってないんだ!となりがちなので、扱ってくれてよかったと感じる方は多いと思います。
今ではよく使われている核心がこの本で使われていなかったのが少し気になりました。
所々氷解というワードが使われていますが北予備時代の講座や以下の本の名残りだと思われます。
※あまり知られていないかなりマイナーな本だと思います。本屋さんで見ていた時になんだこれ?となってたまたま見つけました。
弱み
*扱っている内容が少ない
→かなり内容がけずられているので、学び直しや趣味の学習なら大丈夫ですが、資格試験や大学受験の場合は不足分を補うために追加で学習していく必要があります。
少し気になる所についてコメントしておきます。
先生の授業にも言えますが偉人や作品の名言をよく引用して説明があります。当時このスタイルが売れていたため、この形式を採用したそうですが意訳が激しい所があったり、学習者に訳しにくい所(特にこの本を使うレベルでは)があったり、するので普通の英文の方がいいのではないかとずっと思っています。大人向けということを考えればこちらの方が、ただの勉強という感じがせず刺さるのかもしれません。
注意点
大学受験のコーナーにないことも多いです。お求め際はご注意ください。
例文にも目を通して使われ方を確認することも忘れないでください。説明ばかり読んでよく飛ばしていることが多いです。
オススメの使い方
社会人の学び直しや、TOEICや大学受験を考えている人が、英文法の幹を作りつつ全体像をつかむために利用するのがオススメです。先生の教え方が自分にあっているかのお試し版として使うのもオススメです。
英文法はだらだらするものではないですし、この本の構成もはやく終わらせやすくなっているので、短期間で集中的にしたほうがいいです。
スタンダード英文法の復習に通読するのもオススメです。内容の順番が異なるので、対応させるより授業を一通り受け終わってから通読するのがオススメです。
スタンダード英文法を検討する方は以下の記事も見てみてください。
※今回の記事を書くにあたって加筆修正を行いました。
学び直しの方は英単語の方も併用して欲しいです。かなり英単語暗記の概念が変わると思います。
TOEICを受けるつもりで関先生のものを使いたい方もいると思います。そんな方はここで紹介した本と、今紹介した単語もした上で以下の本もし対策本にうつって欲しいです。以下の本で精読の練習をしておくことでかなり問題が解きやすくなります。
対策本について軽く説明しようと思いましたが、書き出したらかなり長くなってしまったので、ここでは軽くだけ触れておきます。はじめて受ける方は以下の本がオススメです。
※後日別記事で詳しく説明をします。
この本に取り組んだ時の状況によってこれからの勉強の仕方が決まります。
関先生の英文法について
関先生の英文法のというと賛否両論あるものというイメージがあるかもしれません(これを書く際指導ささせてもらっている高校生浪人生大学生社会人の何人かに聞いたのですがそうですか?みたいなリアクションをされたのでもしかしたら勝手な思い込みかもしれません)。おそらく、それは教える際にマーケティングの時によく使われる比較対象をもってきて、欠点を指摘しよくない印象を持たせ、自分の優位性を示すスタイルをとっているからだと思います。従来の英文法→核心の流れです。この批判するスタイル自体が賛否を呼んでいる面もありますし、批判している内容がすでに予備校では殆ど教えられていない内容(学校では今尚とんでもない内容が教えられています)なので、批判するためにわざわざおかしな教え方を引っ張り出しているように見えるからだと思います。まわりからされることは、自分が周りにしている事なので、この現状は仕方がない部分はあります。批判し、批判されの批判合戦が今尚続いています。
※初学者の多くが従来の英文法はと言われても、へぇーそんな考え方があるんだ ぐらいにしかならないと思います。
※ちなみに中学校の授業では先生が従来の英文法を教えて、それを否定した上で先生の教え方を入れ込むので、中学生が混乱しがちでかなり評価が低くなっています。
そもそも今予備校を見渡すと、かなりの割合の先生が関先生と同じ教え方ですし批判している先生も、かなり教え方が近かったり、殆ど同じ教え方をしている場合も多いです(教育業界あるあるです)。
いざ肝心の中身はと言われるかもしれません。複合関係詞の説明や文型など所々明らかに間違っている所はあるのですが、それ以外は特段困る事はありませんし全体の質は圧倒的に高いです。研究者レベルでは分かりませんが、試験勉強、日常会話、ニュースを見たりなど、要するに大部分では問題は発生しません。もし発生していたら教えてほしいぐらいです。自分が成績が伸びなかった原因をスタディサプリや関先生のせいにしているの人が多すぎますし、まともに内容も見ずにノリで批判している人が多すぎます。東大をはじめ、英検一級やTOEIC900を突破した方は、私が直接関わっている方関わっていない方含めいくらでもいます。勉強は自分のできないことを一つずつ自分に対して修正していくことなので、できない原因をまわりになすりつけていては、一向に上達しません。文句を言っている大半の人は英語という科目を誤解している、まともに見ていない予備校の先生が言っていることを、まともに確認もせずに馬鹿正直に受け取りすぎている場合が多いです。
※英検一級やTOEIC900は別に難しくないと言われそうですが、目指す人向けに言っているのでその点はご了承ください。
関先生の英文法の特徴を軽く説明しておきます。
(i)いい点
・学習順序(仮定法を前にしたり、文型を後にしたり)の工夫
・理由理屈や背景を大切にする
・抽象化体系化が上手い
・内容の絞り方や緩急の付け方が上手い
(ii)悪い点
・助動詞や複合関係詞、文型、前置詞など一部説明が下手間違っている単元がある
※先生の長文でさえあれ?理屈が通ってないというシーンがあり、普通に普段教えていることを無視しているシーンがあります。
・単元によってスタートのレベルが異なる 特に受動態や比較
※ここがわかりにくさを生んでいる原因だと思いますレベルを変えることは悪いことではありませんが、変え方がよくないです。
類書との使い分け
基本的に大学受験であれぼ特別講座と真英文法大全の使い方がオススメです。
(i)英語が苦手すぎる、学び直し
※キャラ図鑑はかなり好みがわかれると思います。会話調に好き嫌いがあるのと同じで、マンガチックな所や独特ノリが苦手な方もいると思います。キャラ図鑑は世界一よりさらに内容を削って、漫画などを利用して読みやすくしています。世界一でも厳しいと言う時に、選択肢に入れてみて下さい。
(ii)高校英語ははじめてだけど受験で英語を使う
※英文読解の特別講座もですが先生が生徒に教えていた時に作ったもののため、とてもクオリティの高い参考になっています。
(iii)一通り学んだけど習得できていないので一から学んでつみあげていきたい
※実際に使っている人を見ていても、参考書について話し合っていても感じますが、以外と難しい本です。数学の技シリーズにも言えますが本屋さんでみた時の感触と、実際に取り組んでみた時の感触が結構ずれる参考書だと思います。
(iv)一通り学んで自分ではできているつもりだけど抜け漏れがないか心配内容を再整理したい
※このご時世にはぴったりの参考書です。
(v)知識を定着させたい使う練習がしたい
※四択は基本的に受験生のみで大丈夫です。ポラリス0は知識定着と英語ができるようになっていく感覚を掴んでいくために、四択がない方もはやめに取り組んでほしいです。0とそれ以外では特性が異なります。もし志望校で四択の文法が出る場合は学習の後半期に志望校レベルのポラリスだけしてください。ポラリスシリーズはあくまで演習用なので、初学者にとっては解説が足りないのでいきなり取り組まないようにしてください。
(vi)調べるのに使いたい、初学
※受験レベルで必要なことでも載っていない所、説明が弱い所、他の類書ではもっとわかりやすく説明されている所があるので基本的にジーニアス総合英語との併用が推奨です。大学生以上は総合英語は複数冊持っておいた方がいいです。
※レベル分けがされているので初学でも取り組めます。
※発展が大学入試に出ないといっている方がいますが普通に出ます。言い出すときりがありませんが、受動態の形をした完了形や、形容詞や名詞ではじまる分詞構文などよく見かけますよね。しかもこれらは知らなくて対応できるものでもないのであらかじめ勉強しておかなければなりません。本当に問題解いているのかなと思ってしまいます。
英文法は理解が大事でどうしても参考書だと、理解が浅くなりがちなので、できれば授業を受けた方がいいです。
与太話
昔英語界隈で参考文献について話題になったことがありました。書いていない参考書も多いのですが、なぜか関先生だけ書いていなかったことで集中砲火をうけていました。この本は昔の本なので書いてありますが、いつから書かなくなったのか少し気になります。
他の著者の著作物では、欠点に目をつむっていい所しか褒めないのに、関先生に関しては逆で、いい所には目を瞑って、がんばって粗探しをし悪い所をなんとか広めようとするのは英語界隈の状況は如何なものかと思っています。
受験生の参考になれば幸いです。