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【七峰】漫画「はっちぽっちぱんち」で、おれは社会の常識と非常識の止揚を見る

 おれは「はっちぽっちぱんち」既刊①②巻を買って読み、そのままの足でマガポケの最新話を追った。

 見出し画像にも掲げたこの一コマの正体を、もう少し追いかけたくなったからだ。

 下記の記事で①巻分に相当するおおまかなあらすじが辿れるので、おれはあらすじをダラダラ書きながら感想文を書くようなことはしない。

 しかしこの物語の主人公・キホの個性をより深く知るためには、単行本派の場合2024年10月08日発売予定の③巻を待たねばならないだろう。
 もっとも、より根本的な謎である彼女の宿命と人格形成にまつわる秘密の開示はとうぶん先になりそうだが。

 おれが思うに、この物語は「キホを殴ったり逆に殴られたら、その周りにいるヤツらの人生が変わる」というショートサーキット短い回路がぐるぐると回る、非常にパルプ推進力的なPOWERのあるマンガだ。

 第8話で目だけが光って以後「妖怪ナグッテイインダ」化がやや進みすぎている気もするが、原作のカツラギゲンキ先生曰く「この漫画のラスボスは希歩ちゃん」とのことで、つまり何もおかしくないということが完全に証明された。もう既に覇王化は始まっているということだからだ。

 REINACHILDREN構想およびそこに招集された少女たちと、柔道のバックボーンはあるが立ち技格闘技の素人であるキホとの間では格闘技に対するモチベーションからキャリアアップの動機まで何もかもが違いすぎる。

 他の面々が格闘技を通じて格闘家としての成功や社会奉仕などそれなりにまともなことを考えているにもかかわらず、キホは「人を殴ること」しか考えていない。

 おまえがこの意味を理解するならば、キホは現代にありふれた暴力ヒロインやその予備軍の頭上を飛び越す「狂気」──この一語も陳腐だが、言葉通りに無差別に人を殴る論理を突き詰めるならばこれ以上の形容はない──の境地を見せてくれるだろう。

 現状、少なくとも2巻までの時点では彼女の爆発的な暴力性は実力不足ゆえに制限されているが、それも「相手を殴れない」か「相手を殴っても試合に勝てない」だけだ。

 人間の味を覚えた獣が技術を手にした時にどうなるか、おれは残酷な期待を隠さない。

(了)

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