の中記録 22
私の部屋は隣とかなり繋がっている。
たぶん元々の仕様と思うが、料理も煙草も、換気扇の下で発生するあらゆる香りが共有される。
家には寝に帰るタイプの人間なので、私から共有するものはあまり無い。
でもたまに、私が死ぬほど強烈ないい香りのする料理を作ったら、お隣はどう感じるんだろうな、とは思う。
香りだけでなく音も共有される。
毎朝決まった時間にベランダに出て、体調大丈夫?と思うような咳払いをするお隣がいる。
引越し当初からずっと続いていて、毎朝心配になるが、最近はありがたみを感じてきた。
朝起きてもまだ暗い秋冬はどうしても二度寝したくなりがちだが、お隣の規則正しい咳払いによって寝坊の難を逃れている。
一人暮らしの生活で発生する自分以外の物音は相当な恐怖ものだが、その恐さが私を一発で起こす。
ありがとう咳払い。
それが健康に問題の無いものであることを祈りつつ、これからも毎日続けてくれることを切に願う。