no_myコラム【112】今『J-pop』を聞くべき理由その1〜国内事情編〜
みなさんこんにちは!
株式会社FAVORITE STEPS代表取締役/作曲家のno_my(ノーマイ )です。
僕の会社では、プロの音楽クリエイター志望の方や、既にプロとして活躍されている作家の皆さん等に向けて、さらなる勉強やスキルアップ、音楽仲間との交流のための場や、実際にお仕事をしていただく機会を提供していて、日々みんなで楽しく活動しています。
そして、ノーマイと一緒に仕事をしたいと思ってくれた音楽クリエイターのみなさんに向けて、僕が持っている知識や技術、仕事に対する考え方、プロとして仕事をする上で理解しておかないといけないマインド等について、様々な形で共有するようにしています。
この投稿は、そんな中で僕がFAVORITE STEPSの作家向けに定期的に配信している「no_myコラム」という一連の投稿の中の1つになります。
このコラムも気づけばなんだかんだで100本以上も書いておりまして、我ながらよく書いてるもんだなと思うわけですが、今回はFAVORITE STEPSがどんな会社か興味を持ってくださっている方に向けて、最近書いた記事をnoteで一般公開しちゃいます。
今回の記事は、直接に仕事活かせるとか、作家としてのレベルアップにつながるとか、そういった内要ではないのですが、僕は良いクリエイターであるためには視野の広さや教養も大事だと思っている人間なので、こういった情報も積極的に共有するようにしています。
何となくでもウチの会社の雰囲気が伝わったら嬉しいなーと思っていますので、興味のある方は是非読んでみてもらえたら幸いです。
ということでここから以下がコラム本文になります!
#no_myコラム
【112】今『J-pop』を聞くべき理由その1〜国内事情編〜
(この記事は2024年7月17日に投稿されました)
みなさんおつです!
あっという間に7月も中旬になりましたが、いかがお過ごしでしょうか。
最近は雨の日は結構涼しく、晴れの日はめっちゃ暑いってな感じで、なかなか気候が安定しませんね。
とはいえ、梅雨が完全に明けたら、あとはただひたすら猛暑日が続くだけなので、今のうちに少しでも涼しさを満喫しておきたいものです😂
僕はといえば6月にやりたかった細々とした事が思うようにできなかったので、改めて営業資料を更新したりと地味ーに過ごしています。
会社的には今結構暇な時期なのですが、将来に向けての打ち合わせや、新しい取引先とのご挨拶などもあり、種まきは良い感じに色々できていると思います。
またしばらくしたら超絶忙しいターンがやってくることは目に見えているので、こういう余裕のある時にこそ将来に備えて心身ともに準備しておきたいものですね。
さて、そんなこんなこんなありつつ、今回のコラムは「今『J-pop』を聞くべき理由」です。
個人的には音楽の歴史の教科書があったら、載せて欲しいくらいの内容を書いたつもりです笑
是非最後まで読んでくれよな!
(注:あくまでノーマイ個人の私見ですので、違う解釈や意見などある方は遠慮なく教えてくださいな)
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世界で躍進する日本のカルチャー
皆さんが普段見るテレビのニュースやSNSなどで、なんとなーく今世界的に日本文化が熱い、というようなイメージを持っている人は多いのではないでしょうか。
実際問題、日本のカルチャーは主にアニメを中心に世界でシェアをめちゃくちゃ伸ばしていて、それは様々なデータに現れています。
■【2024年展望】世界が欲する日本アニメ、市場10年で2倍も人手不足がリスクに
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/78668
「日本国内のアニメ市場も堅調だが、伸びが大きいのが日本以外の「海外」である。 日本動画協会の調査では、2012年の海外市場は2408億円だったが、2022年は1兆4592億円と実に6倍に拡大した。」
僕の肌感覚としても、昔に比べてYouTubeで日本のコンテンツの動画に対して、英語圏を初めとした海外からのコメントの割合が、どんどん増えているように感じますし、日本の音楽アーティストの動画での海外勢のコメントも全く珍しいものでは無くなってきました。
アニメソングの海外ファンは今やかなりの数になりますし、ONE OK ROCKや新しい学校のリーダーズ、YOASOBI、BABY METALなどなど、ひと昔前では考えられなかったくらい、世界で活躍する日本のアーティストが増えてきました。
(この動画にも海外ニキのコメントがたくさん)
なぜ今このような状況になってきたのか?と言うことを音楽的な側面から考える際、僕としてはやはり一つの大きなテーマが「2010年代からの変化」だと思います。
2010年代からの音楽業界の変化
百聞は一件にしかずと言うことで、まずはこのオリコンチャートをご覧ください。
https://amigo.lovepop.jp/yearly/ranking.cgi?year=2010
清々しいまでにAKBとジャニーズ、あとたまにEXILEとK-popってな感じですね笑
一方こちらは2023年。
今はもうオリコンチャートは人気の指標にならないので、Billboard top 100をご紹介。
https://www.billboard-japan.com/charts/detail?a=hot100_year&year=2023
YOASOBI、髭ダン、Vaundy、米津さん、10-FEETにAdoと、実に多様性に富んだチャートですよね。
音楽の好みは人それぞれなので、どちらの方が優れているとかそういった事を言うつもりは全くないのですが、双方を見比べたときにどちらの方が「世界に向けて胸を張って発信できるカルチャー」かといえば、多くの人が2023年現在だと思うのではないでしょうか。
もちろん、僕は2010年頃の日本の音楽がダメだった、などとは思っていません。
むしろ、この頃のAKBやジャニーズは、非常に良質でキャッチーなポップスを大量生産しており、大好きな曲がたくさんありますし、今も曲作りの際に参考にすることも多いです。
(個人的にはBruno Marsが2024年の東京ドーム公演でAKB48の「ヘビーローテーション」を突然カバーした時、改めて「本当に素晴らしいポップナンバーだなー」と感じました)
一方で、握手券商法と揶揄される運営方針だったり、ドラマや映画のタイアップでメディア露出を増やしたり、バラエティ番組に積極的に出演したりと、音楽性やパフォーマンスのレベルの高さそのものではない部分で、アーティスト人気が左右される傾向が強かったのも事実です。
そんな2010年代の音楽業界を一言で表すと、こうなると僕は思います。
「アーティスト=テレビタレント」だった時代。
つまり、2024年現在と比べて、アーティストの人気がどれだけ地上波のテレビに出ていたかに依存しており「テレビには全く出ないけどインターネットを中心に絶大な人気を誇るアーティスト」ってのは、まだあまり多くなかったんです。
何しろYouTubeのサービス開始が2005年で、まだインターネットで音楽を聴く文化そのものが(特に日本では)未発達だったわけですから、これはある意味当然ですよね。
またクリエイター視点で見ると、アーティストがリリーするする楽曲をコンペで集めて決めるケースが一気に増え、「大コンペ時代」などと言われるようになったのものこの頃だと思います。
僕はコンペがあったおかげで作家としてのキャリアを積むきっかけを得られたので、コンペに対して特に悪いイメージは持っていないのですが、僕より前から音楽業界にいた先輩方の中で、こうした傾向をあまりよく思わない方がいたことは十分理解できます。
(ちなみに、一応参考資料として貼っておくと、2010年頃はビルボード100もAKBとジャニーズの独壇場です。これはこれで本当に凄いことですよ笑)
https://www.billboard-japan.com/charts/detail?a=hot100_year&year=2010
奇跡のマッチング
さて、そんな国内の音楽事情を見て、本当に自分たちが好きな音楽を作りたい、自分が良いと思う音楽を自由に発表したい、売れるかどうか、お金になるかなんてのはどうでもいい、そう考える人たちが現れ始めました。
そして、まるで狙ったかのように、奇跡的なタイミングで現れたのが、皆さんご存知「初音ミク」です。(初音ミク初版のリリースは2007年)
さらにさらに、2010年代と言えばニコニコ動画の絶頂期。
グーグル検索で「ニコニコ動画 全盛期」などと調べると、概ね2008〜2009年くらいが一番盛り上がっていたようですが、いずれにしても2010年頃は今と比べものにならないくらいニコニコ動画に勢いがあり、たくさんのユーザーがいたわけです。(僕も毎日のように見てました笑)
(元動画を貼れないこの悲しさよ😭)
そんな活気あるニコニコ動画に自分が作った楽曲を投稿すれば、たくさんのユーザーが聞いて、コメントで盛り上げてくれる。
そこにはプロもアマチュアも関係ない、DTMソフトとVocaloidさえあれば誰でも作曲家になれる「本当に音楽を愛するクリエイターとリスナーにとっての楽園」があったのです。
だからこそ、ボカロ音楽はどれも赤裸々で感情的で『音楽の初期衝動』にあふれていましたし、テレビの中の音楽に魅力を感じない人たちの心を掴みました。
そしてそんな曲を当たり前に聞いて、歌って、演奏してきた人たちが、そこから10年経ち、今音楽業界の中心にいるのです。
だから、今のJ-popには『本当にクリエイターが作りたい/アーティストが歌いたい曲』で溢れているように思いますし、大学生の頃にAKB全盛期を見ていた僕からすると、今活躍しているアーティストはみんな歌が異常に上手く、クリエイターはみんな天才にしか見えないです笑
いやはや、本当にすごい時代になったものです。
アートVSエンタメ
そんなわけで2020年代は、本当に実力のあるクリエイターが評価されるいい時代になったと同時に、誤魔化しが一切効かない、本当の意味で実力主義の残酷な世界になったとも言えます。
こういう2010年代から2020年代にかけての変化って、歴史を振り返ると1980年代〜1990年代の世界的な変化に非常に似てます。
■参考 : ノーマイコラム【58】ものすごく大雑把なポピュラー音楽史
(これはFAVORITE STEPSの作家のみ見ることができる記事です)
歴史的を振り返ると、音楽が『エンタメに全振りの商業主義』に走った時代というのが何度かありました。
そういった商業主義時代の音楽は基本的に「キャチーだけどダサい」感じになりがちで、コアな音楽好きの人たちからは基本的に嫌われるんですが、一方でめちゃくちゃ良質なポップがたくさん生まれた時代でもあって、後から再評価されることがすんごく多いです。
(見よ、これが1980年代だ!ちなみに僕はこの曲大好きです笑)
こんな感じで商業エンタメ音楽がポップさを追求し、どんどんダサくなっていくのが極まると、10年後くらいにその反動で『商業主義を否定したアートな音楽』が生まれてくるもんなんです。
そうやって生まれた、商業主義を否定するアーティスティックな音楽がウケる時代って、どれもカッコよくて最高なんですけど
(これが1990年代の音楽。80年代との温度差で風邪ひくわ!)
こういう音楽って、だんだんと思想や音楽性が先鋭化されすぎて、やたらと小難しい頭でっかちな音楽や、退廃的なばかりが生まれるようになってしまい、それはそれで息苦しくなってきたりするんですよね。
(上記の動画NIRVANAのボーカル、カート・コバーンはある日思い詰めてショットガン自殺しちゃいました😢)
だからその後にはまた必ず「いいからもっとみんな肩の力抜こうよ〜」って感じで、くだらないアホでポップな音楽が流行ると。
何事にもいい側面と悪い側面があるもので、2010年頃を思い返して「あの頃はよかった」と言う音楽家がいたとしても、僕はそれはそれで否定する気持ちにはなれないですね。
(ちなみに2010年は海外もこんな感じ)
恐らく『ヘビーローテーション』みたいな呑気で愉快な楽曲が大ヒットするなんて時代は、当分は来ないでしょうが、10〜20年後くらいには必ず「2010年代J-popリバイバルブーム」が来るでしょう。
とまあそんな感じでアートとエンタメの間で、歴史ってのは行ったり来たりを繰り返すものなんです。
まるでジェダイとシスの戦いみたいですね!😎(唐突なSTAR WARSネタ)
最後に
ということで今回は『今『J-pop』を聞くべき理由その1〜国内事情』と題して、2010年頃の日本の音楽業界がどんな状況だったのか、そこからどのように変化したのかについて書いてみました。
音楽のトレンドってのは常に変化し続けるものです。
いずれにしても大切なのは、その時代の空気感をしっかり把握し、何故そうなっているのかを理解した上で、自分がちゃんとそこに対応していく柔軟さと向上心かなと思っています。
ちなみに余談ですが、2010年代のノーマイはというと、絶賛『プロを目指して頑張ってるアマチュア』でした。
ニコニコ動画に投稿するくらいならコンペに参加して早く仕事が欲しいと思ってましたし、一方でプロの世界にちゃんと足を踏み入れられてもいなかったので、当時の音楽業界の嫌な部分を直接見ることもあまりありませんでした。
どちらの時代にも染まり切っていない僕は、やっぱり何かにどっぷり傾倒するのではなく、物事を俯瞰して見る方が性格的に合ってるように思いますし、おそらくもう死ぬまでずっとそんな感じなんだろうと思います。
だから、経営者という立場の方が、向いているということですね!(Q.E.D)
ということで今回もここまで読んでいただきありがとうございました!
次回は『今『J-pop』を聞くべき理由その2〜世界編〜』の予定です。
と言うわけで
こんな感じで株式会社FAVORITE STEPSでは、プロの音楽クリエイター志望の方や、既に程度プロとして活躍されている作家の皆さん等に、ノーマイ が持っている知識や技術のシェアしたり、音楽家同士で交流する機会を作ったり、勉強会を開催したりといったような事をやっています。
FAVORITE STEPSに関わりたいと思ってくださった方、FAVORITE STEPSの事をもっと知りたい方、もっと勉強したい方、音楽仲間を増やしたい方など、いらっしゃいましたら是非弊社公式XアカウントへDMからご連絡くださいませ!
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ここまで読んでいただきありがとうございました!!!
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