やる気のない自己紹介

 大学院に入ったとたん別人のようになってしまって、研究をやるのが億劫で趣味も面倒くさく、結句ひねもすだらだらと、時を過去へ、過去へと追いやっている自堕落な大学院生のブログを見たいという方はこちらへどうぞ。
 名前は「てむ」です。古文の時間に確述用法とかいってならった、あれです。〈テム〉でも〈テン〉でも、読み方はどうでもよろし。
 私の記事は、読んでもためにはならないので、noteでライフハックしたいと思っている人にはおすすめしません。創作のためのプラットフォームで、聞かれるあてのない独り言を書き連ねます。書きたいことは、たくさんあるような気もするし、そんなにないような気もする。あるいは「たくさんある」という表現が今ここで「書きたいこと」に対しあてがわれてしまったので、もう「書きたいこと」にかんしてはそれで十分であるような気もします。ここに書かれることは現実の、この文章をタイプする主体とは結び付けられずに受容されるので、なんでも臆せず自分の言いたいことを言って、言いっ放しに打っちゃって、それで済むであろうからこの状況は私にとってとても好都合です。そもそも偽名だし、性別すらしばらくは明かしませんのでそのつもりで。
 本来やったら友達なり恋人なりに何かのおり、例えば昼食、あるいはカフェでのやりとりで、なんということのない態度でスッと、こんな話ありますけど、なんや話題の尽きた一瞬間であることだし、何かのつなぎ、この複数人の集合を正当につなぎとめるための言い訳程度に、この話をば、いい感じに消費していいわよ、てな具合に取り上げてそれについてその場のみんなで適当に話し込むような、ここに書かれるのはそういう類のトピックに過ぎないけれども、私には友人と恋人の両方がいないし、というか長らくいないので、何かの機会を得て私のささやかなトピックを差し出すときにもそれは私の独り言、いびつなトーンとリズムで話題を差し出して、みんなの困惑した目が在って、ぜんぶこっちを向いていて、んで話し続けてもなんや要領を得ない感じでストローなんか咥えだして、全部言い終わらんうちに誰ともなく語尾を捉えて話題の転換、それはそれは巧妙な、ここしかない一瞬間どうしを縫い合わせる曲芸的な連係で私は黙る番になり、次も黙る番になり、終わりまでずっと黙ったままでいる。ここに書くのはそういう、独り言に最もふさわしい、むしろ独り言でなければならないものごとたちが、ある特殊な形式をもって開陳され、人目に晒され、そして現実いるこの「わたし」とは一切関係がないふりをする、そういう一連の、強烈に私であり続ける言語たちであります。ここで私が何かにしゃべりかけているとすれば、それはとりもなおさず「白い画面に」であるけれど、ネット上において、画面にしゃべりかけるということは、そのままあなたにしゃべりかけていることになるのであって、そのことがどんなに奇妙でも、また話される内容がどんなにワヤであっても、電脳空間ゆえ、唾が飛んであなたの一張羅にかかったりはしないので、そこんとこ、勘弁いただきたく。

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