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キャラのプロポーションを徹底的に修正する方法!【AIイラスト・チューニング_004】

以前、AIが生成するイラストは「指や腕など細部が崩壊していることが多い」という記事(AIイラスト・チューニング_002:「絵の不整合性」を修正する)を書きましたが、実は細部以前にキャラのプロポーションそのものが崩壊しているという場合もけっこうあります。 

▶バラバラに刻んでアスペクト比を調整

今回、作例に挙げるのはこの元稿です。

ロリ系のキャラとしてそこそこかわいく見えますが、よく見ると頭の大きさと体のバランスがよくない感じがします。さらに腕は長めだし足は短めですね。全体のバランスがとても悪い出来です。
これだけバランスが狂っていると、プロポーション補正にはかなりの大手術が必要になります。
プロポーションを修正する場合には加筆修正ではなくコラージュ方式でやっていくのが自分流です。
元稿のキャラを切り抜いてからバラバラに分割し、それぞれのパーツのアスペクト比を変形させてから再合体させて修正します。今回の場合は体を頭部から5つのパーツに分割しました。

キャラだけをキレイに切り抜き、必要に合わせて分割(今回は5分割)する。それぞれのパーツの縦方向の長さを調整することで腕の長さや足の長さを理想的に変える。ちなみにキャラの切り抜きはAIマジックワンド的なツールとかでやあるとかなりテキトーになるので、面倒でも手動でやらないとキレイに切り抜けない。このへんは面倒でもきちんとやりたい。

それぞれのパーツごとに変形させ、縦方向の長さを調節してプロポーションのバランスを取ります(具体的にはphotoshopの自由変形を使い、それぞれのパーツを縦方向に引き伸ばしています)。
頭を小さく、腕を短く、足は長く。変形の比率はパーツごとに異なり、下の図のような感じで変形させました。

わかりやすくするため、ここでは5分割と説明しているが、実際には10パーツぐらいまで細かく刻み繊細に微調整を加えてプロポーションのバランスを再構築している。

🅰️のラインのみが水平で、この肩のラインを起点に変形させたパーツを組み上げてプロポーションを作っていきます。組み上げる際には整合性を取るために個別に加筆・修正を加える場合もありますが、横方向の変形をしていなければ、だいたいの場合そのままでもパーツごとの整合性は問題ありません。

▶ほかにもいろいろ調整

絶b体のバランスを調整したあと、左足の表現が気に入らなかったので、右足をコピーして左足を作ったり、伸びた身長に合わせるように石段を調節したりしています。調整の結果、石段は6段から5段になっていますね。
キャラクターの頭身やバランスを変えたあとはそれに合わせて背景も大改造するのはよくあることです。

調子に乗って背景に地紋の透かしを入れたが、これ関してはあまり効果的ではなかったな、とちょっと反省している。

こんな感じで元稿を活かしながらキャラ絵をパーツ分けしてプロポーション調整する修正法、実は黒猫さんはかなり頻繁に使っており、黒猫流イラスト魔改造の核心的な加工法ともいえるTipsです。
微修正的なものも含めれば3枚に1枚ぐらいのイラストはアスペクト比が魔改造されています。

過去作でわかりやすい作例をふたつ。

胴の長さ、腕の長さを調節。眼鏡の娘の方の首の長さも調整している。あとは余白をキレイに見えるように大きさを調整している。眼鏡の娘の右手側は背景の机にも加筆修正が入っている。
胴を短くし、それに合わせて足の長さのバランスをいじっている。動の短縮に合わせてリュックがちいさくなり、隠れていた部分が見えるようになったので背景の猫も調整。リュックのあたりの猫をコピペで増やしている。よく見ると隣の猫と同じ。このへんは完全に手抜きで、お金を取る仕事だった場合、増やした猫にも手を入れて別猫になるよう加工するが、今回は放置。

魔改造の夜

いかがだったでしょうか。これまで紹介してきた修正法に比べると、ちょっと難易度の高い修正かもしれません。難易度が高いというよりかなり面倒くさい作業なんですが、黒猫さんは本業のデザイナー業務でこういった魔改造を飽きるぐらいやってきているので、あまり苦労は感じませんが、けっこう時間は掛かってしまいます。今回ぐらいの大改造だと、作業時間は2時間前後になります。

イラスト魔改造の技術はまだまだありますので、今後もいろいろご紹介していければ、と思っております。


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