港町の泊まれるパブ 「The Grapes Pub」にて
今回は、サウサンプトンで見つけた泊まれるパブ「The Grapes Pub」についてご紹介します!
港町のパブ兼宿屋「The Grapes Pub」
さて、いい旅に欠かせないのは、いい宿!Booking.comにはいつもお世話になり、Geniusプログラムも最高レベルになっています。
今回サウサンプトンに泊まるにあたっても、いつも通りBooking.comを見ていました。ユニークなホテルがあるではないですか。
その名も、「The Grapes Pub」
サウサンプトンの駅から、港に向かって徒歩約20分。数軒のパブが立ち並ぶ通りにあるパブ。・・・パブ!?
「ああ、パブって名前のホテルなん?」
いえいえ、ホテルではなく、パブなんです。そうそう、お酒が飲める、あのパブ。
外観も、イギリスやアイルランドでよく見る感じの普通のパブです。
えー、パブというと怪しい気もするけど、パブの上の階が宿になってるってことね。友人に会う予定だった港からも近いし、周辺エリアの中では比較的安い。しかも評価8.4で、悪くなさそう!しかもシャワー・トイレ付きのシングルルーム!!!
ヨーロッパに来てからは、旅行代節約のために毎回安いホステルに泊まっていたため、大人数の部屋で、横のベッドにどこの国の人が寝ているかもよくわからないような二段ベッドで毎回寝ていました。たまには安心して、シングルの部屋で寝たい…!!!
こうして、大きな期待を胸に、わたしはパブの一部屋を予約したのでした。
「酒場と客室のハイブリット」というイギリスの伝統
さて、ここからはパブのお話。
イギリス、そして私が現在住んでいるアイルランドには、よく「〜イン」という名前のパブが見られます。(「東横イン」みたいなニュアンスね!)それは、パブの歴史に大きく関係しているのです。
パブとは、「パブリック・ハウス」の略称であり、ただの飲み屋というよりもそこで地元の友人と話したり、一緒にスポーツ観戦をしたり、昼には食事を楽しめることもできるような、社交場のような場所のこと。
しかし、パブという名前が使われるようになってきたのは1800年代後半からとのこと。その前は、「イン」と呼ばれる宿が、パブの前身として流行していたと言います。
つまり、元々旅行者向けに存在していた宿泊施設「イン」に併設されていた飲食スペースが、パブの原型だということ。
また、その後ローマ時代から「タヴァン」という飲食の場が誕生し、近隣の住民が集まって食事を楽しむ場所ができ、「エールハウス」という主にビールを提供するお店が誕生しました。これらが全て原型となって、現在「パブ」と呼ばれる業態が発生したといいます。
宿泊もできて、人が集まり、共に食事を楽しみ、お酒を飲んで、時にはビリヤードを楽しんで、喧嘩が起こって、、、そんな地域のコミュニティとしての要素が強まっていった結果、「パブリック・ハウス」という独自の形になりました。
つまり、「泊まれるパブ」という表現は少し間違っていたということですね!宿泊施設が元になっているから、「お酒飲めるホテル」の方が表現的には正しいかもしれません。
The Grapes Pubも、1855年創業だとのこと。お客さんに宿とお酒を提供するというスタイルは、昔からの歴史があるようです。
サウサンプトン最古のパブ「The Red Lion」
さて、かくかくしかじかで、無事にサウサンプトンに到着しました。
天候は小雨、でも空は青く晴れている。傘をさしている人もほとんどいない。・・・イギリスっぽい!
友人と合流して、港の方へと向かいます。
サウサンプトン中央駅から徒歩で20分ほど南に向かったところに佇む、「The Red Lion」という名前のパブ。駅からThe Grapes pubに向かう途中にあります。
友人からの情報によると、サウサンプトン最古のパブで、人気があるとか。チェックインの前にここで一杯、引っ掛けていくことに。
調べてみると、どうやらこの建物はイギリスの指定建造物となっているようで、国から保護されている特別な建物だということ。
この木骨造りの建物は、過去には裁判が行われる裁判所だったらしく、1415年には「サウサンプトン陰謀事件」の裁判が行われたとの伝説が残るらしいです。
あとからWikipediaを見て知りましたが、60代で膝上しか見えないバーテンダーの幽霊が出てきて、バーのエリアを漂っているとか。そんなこと言われたら怖くて行けなくなる…!
くーーーーーーーっ!!!!!
やっぱり移動後のビール、うまいなあ!!!!!最高!!!!!
店内には、地元の常連客と思しきおじさんたちが、ビール片手にバーに群がり盛り上がっていました。
お店もお姉さん二人組が切り盛りしているようで、雰囲気素敵💕
The Grapes Pubとタイタニック
よし、お酒も入れたことだし、チェックインを済ませますかー!ということで歩くこと約10分。客船が入港するフェリー乗り場からもほど近く、少し歩けば海というところに、でたーーーーーパブの集まる通り!!!!!
なんかすごい既視感!そう、二年前に同じくイギリスの港町「ポーツマス」にも、パブが集まる小さい通りでありました。あそこ、めっちゃ好きだったなあ…。
ここは、「Oxford Street」という通りだそうで、かつてはあらゆる船に乗り組む船員たちが集まる場所だったとか。その中でもほぼ中心に位置するThe Grapes Pubは、なんとも重厚な本格パブという感じ。
そしてパブに向かう途中、友人からびっくりな情報が!
「そこ、タイタニックの舞台のパブらしいよ〜」
えー!!!そうなの!!!ジャックが!?!?ここに!?!?
そう、ジャックがポーカーで、タイタニックの乗船券を勝ち取ったシーン!あのシーンのモデルがここになっているそうです。激アツ!!!
公式ホームページを見てみると、こんな物語が。
映画タイタニックで、ポーカーに負けて殴り合いの喧嘩をしていた男たちのことを思い出しますね。このような歴史から、タイタニックの舞台となったパブとして有名だそです。
いざ、チェックイン
パブでビールを注文するノリで、チェックインをします。
若いお兄さんが笑顔で迎えてくれて、カジュアルにチェックイン。鍵を持って、お店を一度出ると、別の入り口から上の階へと続く階段を登り、部屋に到着!お兄さんが部屋まで案内してくれて、鍵を回すコツや、朝食におすすめのお店などを丁寧な英語で教えてくれました。
そして、「このカードキーを見せてくれたら、下でのビールは10%オフになるから!」そう笑顔で告げると、下の階へと降りていったのでした。キュン🫰
やはりタイタニックの舞台となったパブというだけあって、至るところにタイタニックの絵やらポスターやらが飾られています。
シャワー周りも綺麗で、アメニティがきちんと付いているのがありがたい!ドライヤーもあります😭💕
パブで一杯🍺
さて、チェックインが済んだら、もう一度下の階のパブに行ってみました。
奥の方には、ビリヤード台があり、明るい時間から船乗りたちがビリヤードを楽しんでいました。ゲーム台なども複数あり、パブらしい雰囲気が素晴らしい!
英国式モーニング!🍳
さて、翌朝を迎えて、モーニング!
小説家サマセット・モームが、「イギリスでおいしいものを食べるなら、1日に朝食を3回とるべきだ」と(皮肉を)言っているように、イギリスではそこまで食事に期待をしていなかったものの、モーニングだけは少しだけ楽しみにしていました。
The Grapesのお兄ちゃん曰く、ここでもルームキーを見せると10%オフになるということで、開店同時にお店に向かうことに。
夜は12時過ぎまでお酒を提供しているのに、朝は9時ごろからモーニングやってるのほんとすごい。憧れる。将来やりたい。
お昼ごはんの約束が控えていたこともあり、少し軽めの「エッグス ロイヤル」を注文。
え、美味しい!!!
期待以上に美味しい!!!!!
以前、アイルランドの中心地で同じ料理を食べたことがありましたが、観光地価格でかつ混雑も激しく、量も少なくがっかりした記憶があります。
それに比べると、スモークサーモンの量は半端ないし、ポーチドエッグの熟し具合は完璧だし、ソースも甘すぎずちょうどいい。めーーーっちゃ美味しい!!!イギリスで食べた中で最も美味しい!!!
あっという間に完食!「めっちゃ美味しかったです〜!」と店員さんに伝えてお会計。
すると、店員さんの方から、「あら、アイルランドから来たの?私もアイルランド出身なの!どこから来たの?」と。どうやらカード決済する時にアイルランドの銀行のカードを使っていたから、すぐにわかったとか。
「日本から来たの?」と言われることがあっても、「アイルランドから来たの?」と言われるのは初めてだったので、なんだか不思議な気持ちでした。そういえば私、アイルランド市民なのか〜!
やっぱり港町が好き💛
こうして、ゆったりと港町のパブを一泊満喫しきったわたし。
思うのは、やっぱり港町が好きだなぁということ。
横浜生まれで、っていうのも少なからずあるけれど、海が近くにあって、いろいろなものが港からやってきて、外から来た人にオープンで、少し風が強いけどそれが心地よくて、初めて来てもなんだか落ち着く。
わたしもいつか、そんな街で、たくさんの人が安心してお酒を飲んで、時間を楽しめるようなお店をしたい。地元の人が、なんとなく友達を連れて来たくなる店を。行ったら誰かと会話ができて、少しくつろいでいられる店を。初めての人でも、不思議と安心して、また来たいなと思えるような店を。そしてまた来てくれた時に、「おかえりー!お疲れさま!」と言えるような店を。港町で。