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日本を構成する14の文化圏

 アメリカには、11のネーションがある。そんな煽り文句で合衆国内部の文化のぶつかり合いを取り上げた本があった。この話を聞いて、多くの日本人は「アメリカは民族のサラダボウルって呼ばれてるし、国土も広いからそんなことになるんだろうなあ」と思うかもしれない。

 しかし、私が日本各地を旅行したり、各地の社会情勢を見ていくなかで、日本でも同様のことが起きているということを確信している。日本人の半分くらいは日本を狭い国だと思っているが、日本の国土面積は世界232ヶ国中第62位とそこそこに大きい国なのである。

 ならば、日本のなかにもアメリカのようにいくつかのネーションがあってもおかしくはない。そこで今回は、札幌出身東京在住の私の勝手な主観ではあるが、日本を14の文化圏(ネーション)に分けたので紹介していきたいと思う。是非、故郷のことを考えながらこの文章を読んで、ここが違うなどの感想を頂きたい。

日本を構成する14の文化圏マップ

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東日本大文化圏(①~⑦)

① 北方文化圏(②、③を除く)

 もっとも歴史の浅い文化圏である。文化圏としての特色もなく、都市部のける学力もたいして高くはない。ありのままの自然のなかに要塞のように小都市が乱立する地域であり、大陸的な気風が漂っている。自民党、社会党系という党派性よりも名望政治家の割合が多い(ムネオとか武部とか)。本来は樺太南部も含めることで完成する予定だった地域である。

② 三陸文化圏(宮城県北部沿岸~十勝地方)

 戦国時代に確立し、江戸時代から北海道開拓時代にかけて北方に拡大した。漁師町の荒々しい気風と農村部の飢饉の記憶から来る閉そく性と協調精神がどこか暗く優しい雰囲気を醸成している。自民党が都市部においても伝統的に強い地域。石川啄木が「日本」や「内地」と呼び、忌み嫌った彼の故郷。

③ 廻船文化圏(富山東部~北海道石狩管内)

 江戸時代に確立し、明治・大正時代に絶頂に達した(つまり、今は衰退している)。廻船寄港地の開放的な気風と農村部の穏やかな閉鎖性が特徴的。政治的には、都市部下層住民の社会党系支持と農村部の自民党支持が拮抗している(札幌における町村vs横路、新潟における田中vs稲村)。東日本で「裏日本」と呼ばれる地域そのもの。中心都市は福井→新潟→小樽→札幌とどんどん北方に移動している。筆者が「故地」と呼ぶところ。富山に行ったときの「ここ、札幌近郊じゃね」感は凄まじかった。飯の味といい、海の色といいすべてが体にフィットする。

④ 東国文化圏(北関東~宮城県北部内陸)

 古代から存在し、中世にかけてアインディンティティを獲得した。戦国時代の気風をどこか残すバサラでアナーキーだが、非常に保守的なところ。西日本人が抱く東日本のイメージはここ。北方にしては比較的温暖な気候は強靭でしなやかな「耐える」風土を形成した。戦後自民党の本流を形成してきた地域でもあり、派閥政治が非常に熾烈だった地域(茨城の中村vs丹羽、群馬の福田vs中曽根vs小渕とか)。

⑤ 首都文化圏(東京都、埼玉県(⑦を除く)、茨城県南部、千葉県、神奈川県、静岡県伊豆地方)

 江戸時代から全国各地から流入した人々によって形成された文化圏。非常にリベラルで個人主義的ながらも権威主義的な「戦後民主主義(戦前における自由主義)」を体現したような地域(美濃部都政、飛鳥田市政)。身勝手なアホ息子、アホ娘たちの楽園ともいえる。全国的にも珍しい全般的にリベラルとネオリベラルが非常に強い。

⑥ 東海文化圏(静岡県駿河地方~愛知県三河地方、伊豆諸島)

 アインディンティティとしては古代から、正式に確立したのは戦国時代。日本でもいちばん温暖な地域のため、温暖で穏やかな気風が成立しており、長年の激戦地。現代においても産業集積地であり、農耕地帯でもある。海外の人が想像する「ジャパン」のイメージにもっとも近い地域。当然、自民党がとても強い。

⑦ 中央高地文化圏(埼玉県秩父地方~岐阜県飛騨地方)

 古代には「スワ」という小粒ながらも強力な小国があり、中世には小国が乱立していた地域。日本でほぼ唯一の山国であり、山谷ごとの独自性が強いが、おおむね保守的で理論的な気風。自民党も強いが、筋の通らない候補はじゃんじゃか落とされる。

西日本文化圏(⑧~⑬)

⑧ 大和文化圏(愛知県尾張地方、岐阜県美濃地方、近畿地方(⑨、⑩、⑪除く)、徳島県)

 ヤマト王権の直轄地であり、魏志倭人伝の邪馬台国そのもの。日本人がイメージする日本の祖型。天皇は本来、大和文化圏における豪族連合の君主でしかなく、それを明治時代と戦後に強制的に「日本全国の象徴」へと祭り上げた。都市も農村も開放的かつ組織的で気風の非常によい気風。カルト的なモノに非常に弱く、自民党が強いものの、天理、創価、共産、維新のような極端な勢力も台頭しやすい。

⑨ 出雲―古志文化圏(富山県西部~福井県~丹波地方~山口県長門地方)

 古代における出雲族が支配していた地域。歴史と文化の色濃い保守的な風土であり、西日本のイメージする裏日本。日本の複層的なイメージの大元は開放的なヤマトと保守的なイヅモで形成されている。自民党が当たり前のように強い。

⑩ 瀬戸内文化圏(兵庫県但馬地方、岡山県、香川県、広島県、愛媛県、山口県周防地方、関門、福岡県豊前地方、大分県)

 瀬戸内の海運で栄えた地域。どこまでも中途半端に田舎にして都会。都会的な開放性も有している「廻船文化圏」の住人からすると不思議な地域(廻船文化圏にとっては、廻船寄港地こそが都会であり、それ以外は田舎なのである)。異国そのもの。自民党が強く、東国文化圏とともに戦後自民党を形成してきた文化圏の一つ。同時に第二軍としての社会党もとても強い。

⑪ 黒潮文化圏(三重県熊野地方、和歌山県、高知県、宮崎県(⑬除く))

 黒潮がすべてを運び、すべてをもたらす文化圏。漁師町特有の荒々しい気風と非常に深い信仰心が特徴的。益荒男という言葉が似合う男をよく生み出す。田舎なので自民党がとても強い。

⑫ 西国文化圏(福岡県(⑩除く)、佐賀県、長崎県)

 古代から異国との交流が深い地域のため、開放的で苛烈な気質が育成されている。物静かだが強情な男か、口が軽いが芯の強い男が多い。女の気性はとても激しい、びっくりするくらい。伝統的に自民党が強いが、すごい分派が生まれやすい地域(福岡県の麻生vs武田とかさ……)。社会党や共産党はテロリズムチックな扇動しかできなかった。

⑬ 南国文化圏(熊本県、宮崎県都城地方、鹿児島県)

 素朴で粗野な文化圏。古代からの血生臭い狩猟民族としての気質がとても色濃い地域。頭に血の昇りやすい人が多く、酒も強い。伝統的に自民党が強い。ここも自民党が強い。

琉球大文化圏(⑭)

 沖縄県そのもの。最速で5世紀、最遅で10世紀からまったく異なる歴史をたどった地域。ノンビリした気風で、悪く言うと時間にとてもルーズ。1時間も飲み会に遅刻され、店で待たされたときは、瀬戸内文化圏の人がとても心配していた。廻船文化圏の私は呵々大笑していた。政治的には非常に難しい地域、琉球ナショナリズムを扱いきれるかで自民党にも社会党系にもどちらにも振れる。

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