降り積もった雪はまるで…
年明けすぐの三連休。山形県の蔵王温泉スキー場に行くことが恒例になっていた頃の話。
金曜日、残業もそこそこに逃げるように帰宅する。
タイヤをスタッドタイヤに交換し、翌日からの天気予報を参考にしてホットワックスの種類を決めて塗りつける。これはスキーに行くための儀式。
朝から目一杯滑るために、荷物を車に積み込み早々に出発する。『私をスキーに連れてって』ならカーステレオにテープを押し込むが、僕はCDを飲み込ませる。曲は槇原敬之の『STRIPE!』。その歌詞に、明日からの自分を重ねて弥立つ。
東北自動車道を北上する。降る雪は、こちらに向かって飛んでくるように錯覚する。
道路に落ちた雪が少しずつ降り積もる。スタッドレスタイヤの僅かなロードノイズが耳に響く。
目的地に到着して深呼吸する。吐く息が氷る程凍てついた空気が気持ちいい。
空気が照明の灯りに反射してキラキラと輝く。降り積もった雪の結晶が創る雪面はまるで白い星空のようだった。