熱い取材を受けた話(と、だべり)
タイトル絵:『トムソーヤの冒険』を読んだ後に描いたらくがき (2020.7)
4月下旬〜5月上旬に行なった展覧会 の最中にインタビュー取材を受けました。それもお二方に。お一人は公共スペースに設置したギャラリーのリーフレットに目がとまり、そこからご連絡頂いたライターの方。全くの初対面。もうお一人は昨年お会いした方で、年始頃に取材したいとお声がけいただいていたのですが、諸般の事情で中止していました。展示に合わせて改めてという形です。
お二方共に企業に属して書かれているわけではなく、個人のwebサイトに個人の興味の元、様々なアーティストに取材して掲載しています。こんな偶然はなかなかないですし、インタビュアーの視点の違いや話題の方向性含め、良い意味で比較になるかなと思い両者に許可を頂いた上で展示会期中にそれぞれのインタビューを引き受けました(URLは記事の最後に記載)。
先日取材を受けたものが両方まとまったため、ご紹介します。個人サイトとはいえ取材姿勢は本格的。掲載用の写真もふんだんに撮影。ゆえにどちらも読み応えたっぷりです。偉業を成し遂げたがごとくの掘り下げられっぷりは恥ずかしさ以上に贅沢すぎる体験です。
私自身、過去にローカルテレビや新聞の展示情報欄掲載に向けて取材を受けた経験はあります。......作家活動とは無関係な経緯から、テレビ局や新聞社などの報道陣に囲まれテレビ宛らの記者会見に立ち取材を受けるという経験もあったり(悪いことをして立たされたわけではありません。念のため。)。いずれにせよ凡の素地に「作家活動」という毛が生えた程度の人間に、ここまでの情報量を割かれ記事を書いていただく事はそうありません。
あまり謙遜してしまうのも声かけて下さったお二人に失礼かもしれないですが、まるで偉業を成し遂げたが如く掘り下げて下さっているのはそれはそれで面白いなと思いました。あれもこれもと手を出してあくせく動いちゃう私は、どうしても自分発で振り返って発信しようとすると伝えたい事がこんがらがってしまいます。今回インタビューという応答の形で自分自身を振り返れてだいぶ心の整理がついたのもありがたいです。短期間に2回は贅沢の極みですが。
目に見える形で偉業を成し遂げた人だけではなくて、取材をしながらその人の偉業(この場合、立派な仕事・生き様)を探るという行為は何より当人にとって価値がある事だなと思います。そんなインタビューもまた偉業足り得る。仕事:仕事という立場ではなかなか難しいかもしれません。
こんなにべちゃくちゃ喋り倒したのに、まだ話せていない(話したかった)事がたくさんある事にも気付きました(取材側に不備はありません。むしろ予定以上に話を聞きだしていただいたくらい......)。さも経験豊富な人生を歩んでいるようですが、そういうわけではなくて単純に「人生の整理不足」だと思います。怠惰。
今回の取材経験を踏まえ、もう少し自分の経験や考えを発していかねばなと思った次第です(なので久々にnoteを書きました)。そこには「私の凄さを知ってほしい!」という欲求はないものの、取材いただいたお二人もそうですが、私の格好つかない生き様や、珍妙な経験やひねくれた発想でも、誰かの"肥やし"にはなるかもしれない。私の中に抱えて消滅させないで、大手を振るって拡散しないけれども、誰かの目に触れるところに置いておく事は、社会に対する責務ではなかろうかという思いに至ったのです。
責務なんて大げさかもしれません。でも私自身も直接/間接的に多くの人の取るに足ったり足らなかったりする情報に触れ、それが肥やしになって生き長らえてきたわけです。誰かを変えたい・救いたい欲もない(というかそんな事は無・理)ですが、そういう押し付けがましくない情報にこそ突き動かされちゃうこともままあります。もし突き動かされる人がいたとしたら、良いか悪いかはさておき、私の技量ではなくその人の感受性の賜物という事です。
色々と書きましたがそれはそれとして、取材頂いたお二方の熱意に報いるような活動をしていかねばです。いくら熱心に我が体験を記そうが、それはだべりですので。制作という主軸があってこそ、だべりもだべりたらんと輝きを放つのです。にぶく。"にぶやか"なだべりを生み出すために、さあ制作に向き合いましょう。そうしましょう!
-インタビュー記事-
自他との対話から予定調和を超えるものを見つけたい 画家・小林大悟さんインタビュー
https://artlife78.hateblo.jp/entry/artist_kobayashi_daigo
インタビュアー:榊原 生織氏(ライター)
Interview/取材 小林大悟
https://auly-mosquito.com/blog/2021/05/27/kobayashidaigo/
インタビュアー:笹谷 創氏(アーティスト・総合芸術集団「Aulymosquito」主催)
お二方の熱心な取材に改めて御礼申し上げます。