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041『元型論』(01)
ユング心理学を学ぶということは何が特異かというと、心の構造を体験できるということだと思う。心理学は他にもあるじゃないか、なんでユングなのかというところであるが、他の多くの心理学はユングの言うところの「個人的無意識」にとどまるという。
すなくともフロイトとアードラーは「個人的無意識」から踏み出ていないとユングは『元型論』の中で指摘している。種族、民族など共有・共通の無意識と言われる「集合的無意識」というのがあることはユング心理学をかじった方はご存じだろうが、ここに私は興味がある。
「集合的無意識」なんて知って何の役に立つのという功利的な疑問に対しては、「個人的無意識」の探査では解決できない心的な不都合とか、集団での異常行動の遠因がそこにあるらしいからだ。集団ヒステリーとか空飛ぶ円盤を見たとかとか。これから詳しく調べたい領域である。
で、「集合的無意識」に個人で入っていく手法は、『元型論』には『能動的創造』というキーワードが紹介されているが、これはユングが『赤の書』に記した自分の心の中との対話手法のようである。しかし、これは相当危険! 自我を「血の津波」に持っていかれるような対話なので迂闊にやらない方がいい。
ナンチャってM B T Iレベルで止まる人は関わらない方がいい!
それから『黄金の花の秘密』に紹介されるようなトランス状態に入っていく瞑想方法。まだ、本格的には試していない。これは一部のユング学派の人には役に立たないと烙印を押されているが、試してみないことには真偽判定はしたくないところ。
実際、どんな夢とかイメージが降りてくるのか、紹介する。日本の記録であることから日本人のみた夢の記録と思われる。過食嘔吐、抑うつなどの症状を何とかしないという状況の若い女性の例とのことであるがそれ以上は伏せられている。
5月24日
真っ暗なところ。多分実家のあたり。この辺にいる。とにかく真っ暗。星?畑(田?)の中にたくさんの鳥がいる。私はそれを“出す”仕事をするらしい。方法は、“指を鳴らす”こと。パチンと指を鳴らすと、誰もいない夜空に奇妙に反響する。がらんどうのホールで手を叩くような感じ。その音が響く。鳥が舞い立つ。とにかく誰もいない。
5月26日
首を動かして。右上〜背後、左の方と見る。鳥がそういうふうに舞い立つので。バサバサと羽音が響いていて、弧を描いて飛んでいく、2、3羽づつ、連れ立っていく感じ。先に飛んで行ったほうも、まだ上空を舞っている。闇より暗いシルエットが見えるのでわかる。まだまだ鳥はいるのだろうが、今はこれくらいでいい。三回くらいかな。柏手を打つような音の響き方。自分は何でこんなことをしているんだろうか?
<この間省略>
6月27日
––しばらく行くと、不思議なものを見つけた。天井が緑色に光っている。よおく目を凝らしてみると、中には魚が泳いでいる。⁈ 水槽を下から見ている感じ。赤や青に光る魚たち。まるで熱帯魚だ。またしばらく進むと、それを見つけた。なかでは戦争をしていた。まるで戦いのただ中にいるようだ。何なんだろう・・・。わからない。何だか神様のお腹の中にいるみたい、と思う。
そこを離れて先に進んだ。あたりはさっきより暗い。暗闇が黒い。血だ。血が流れている。壁から、天井から、いったいどこから流れてくるのか、岩肌に血が流れ出した。「やめて、こんなに血を流してたら死んでしまう!」。思わず叫んだ。血の流れ出す場所を見極めようと、壁を見て回る。暗い。よく見えない。私の身体は、見る見る血まみれになってきた。「やめて、もうやめて!」私は壁にしがみついた。ケル[犬]が私のズボンを引っ張った。そうだ、こうしている場合ではない。見つけるんだ。我にかえってよろよろと歩き出す。洞窟の中は血の匂いでいっぱいだ。走れない。とにかく先へ。ケルは私を励ますように、少し先を、振り返りながら急ぐ。ポタポタと降り注ぐ雫はまるで雨のようだ。いつしか青い光はなく、赤黒い光の中を私は進んでいる、目を瞑ってはいけない。自分の進む道は自分で見極めるのだ。血が古くなる。においでわかる。そして、突然やんだ。
血まみれの私はがっくりと座り込んだ。光も消えた。私は真っ暗な中にいるケルの目と、ゆらめく水面だけを感じる。––
こんな感じで、何らかの象徴やイメージが色々と出てくる。光は新しい意識とか、星は運命、鳥は霊魂の象徴とかを意味するそうだ。ただし、機械的に解釈できるものでもない難しさをはらむ。他にも、黒い犬は地獄の門番の名前、泉の声、老人、水銀、鉛、銅、鉄、金、瑪瑙、それらを使った楽器・弓作り、16、7歳の少女、自分の尾を咥えた蛇、小鳥、老女の化けた魔女、魔女殺し、機織り、宝石の出現など。
ユングのいう“錬金術”も含まれている。これらを自分のこととして解釈する作業は個人に任されている。もちろんセラピストとかカウンセラーが支援はしていると思う。そして、予備知識なしでこれだけの象徴やイメージが夢に現れるのかと感心してしまう。私など1つぐらいしか見たことがない。
というわけで夢に現れる象徴やイメージは一般的にも何を意味しているか知らないと変な夢見たで終わってしまうことになる。
繰り返すと、比喩や抽象的なシンボルがたくさん出てくる。その中には元型にあたるものも結構あるようだ。これらが何を意味しているのかは、その人のライフヒストリーに照らし合わせて読み解いていく必要がある。本人が主体的、自立的かつ自律的に「無意識」からもらったイメージを解釈することが肝心となる。他人にわかるはずがない!
という訳で、現れるイメージのおおよその意味を取れなければ変な夢を見たで終わってしまう。だから、『元型論』をこれから読んでいこうと思う。合わせて「夢の辞典」も欲しいが、適当な価格の「夢辞典」が見つからない。適当な値段の出物があれば入手したいともふと感じる。
ユングは、広く自分の心理学をわかってもらうつもりはなく特に錬金術あたりからは露骨である。MBTI®︎のベースとなった初期の『タイプ論』でも解説書を読まないと、いや解説書を書いた弟子ですらも混乱するほど分かりにくい。
とはいうものの解説から読んだ方がいいので、『元型論』の翻訳者解説から読んでいく。
それにしても、ユングの『赤の書』に出てくる夢やセラピーの記録はまるで、神話のようであり、小説のようであり、ロールプレーイングゲームやアニメのようでもある。作家、クリエーターも集合的無意識の領域に意図せずして入っているのかもしれない。
今回はここまで。
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参考文献[9]心と身体のあいだ 老松克博。
参考文献[8] 『ユング心理学入門』https://amzn.asia/d/0gCq7JP9
参考文献[7] <ミヒャエル・エンデ『モモ』 2020年8月 (NHK100分de名著) ムック – 2020/7/22>https://amzn.asia/d/0cuD1g7M
参考文献[6]『ユング――魂の現実性(リアリティー) (岩波現代文庫)』https://amzn.asia/d/cUEvxPS
参考文献[5] 『元型論』https://amzn.asia/d/eyGjgdX
参考文献[4] ユングのタイプ論に関する研究: 「こころの羅針盤」としての現代的意義 (箱庭療法学モノグラフ第21巻) https://amzn.asia/d/aAROzTI
参考文献[3] 『タイプ論』https://amzn.asia/d/2t5symt
参考文献[2] MBTIタイプ入門 タイプダイナミクスとタイプ発達編https://amzn.asia/d/70n8tG2
参考文献[1] MBTIタイプ入門(第6版)https://amzn.asia/d/gYIF9uL
背景画像:原案:経営を語るユング研究者 小河節生。
作画:ChatGTP4o。
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こころざし創研 代表
「コーチやめました」
経営を語るユング研究者 小河節生
E-mail: info@teal-coach.com
URL: 工事中
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