さらばエアロスミス
先日、Rockのレジェンドバンドの一つであるエアロスミスがフェアウェルツアーを中止するという発表をした。
フェアウェル(Farewell)とはお別れとか送別という意味なので文字通り世界中のファンにバンドとして別れを告げるツアーだった。
けれど数年前からVoのスティーヴン・タイラーが喉を痛めてしまい回復するまで延期になっていた。
今回の決断はスティーヴンの快復が見込めないためでファンとしては実に悲しい。
KISSのように世界中のファンとともに燃え尽きたかっただろうなと思う。
わしは海外アーティストのライヴではエアロスミスが最多なので最後を見届けたかったなぁと思いながらSNSを見ていた。
わしが初めて買った洋楽がエアロスミスだった。
HEY×3だったかMステだったかに来日公演をしていたエアロスミスが登場して
「Falling in love」をバコーンとかまして心をバコーンと持っていかれた。
パフォーマンスはもちろんスティーヴンのどこか中性的な衣装やジョー・ペリーのギタリスト然としたスカした佇まいなど高校生だったわしにとってカッコよさの集合体みたいなバンドだった。
すぐに翌日、新星堂で「Nine lives」の『MD』を買った。
CDではなくMDである。
MDというとダビング用のイメージが強いと思うけど(というかもはや遺物なんだよな…)
まだMDが普及する前はブランクではないものもあったのである。
なぜMDにしたかというとダビングしなくて済むし、かさばらないので刑務所並みに所持品検査の厳しい学校において隠しやすいから。
あとは思春期ならではの最先端のメディアを持ってる俺フフン的なとこもあった。
余談だけど結局コンポで聴くためにCDを買ったバカです。
余談終わり。
この日からわしはずーっとエアロスミスを聴いていた。
学ランのポッケに忍ばせたエアロスミスは王道のハードロックから美しいメロディのバラードを繰り出していて飽きることがなかった。
当時のわしはミックスボイスで音域がかなり広かったこともあって湯船に浸かりながら
『ふぉりーんらーぶいずそーはーだんにー』とか歌っていた。
さてそんなエアロスミスの洗礼を受けた以上はライヴに行きたくなる。
しかし最新アルバムを引っさげてのツアーが今まさに行われていて見事に行きそびれた以上はリリースがない限り行くことができない。
そして数年に1枚というペースでリリースすることを考えるとしばらくは、それこそ21世紀になるまでお預けだろうなぁと思っていた。
と、幸い99年だったか2000年に突然リリースもなく来日公演することになったのである。
いわゆる出稼ぎだろうけど新参のファンにとってこういう機会はとてもありがたい。
何とかチケットを手に入れてバンド仲間と東京ドームへ繰り出した。
東京ドームはほぼ初めて。
野球ではなくてライヴというのが何だか不思議だったけど鼻息も荒く座席に着いた。
S席!だけどステージ遠い…いや遠いなんてもんじゃない。
スティーヴンもジョーもレゴの人形サイズ。
けれど始まってしまえばどうってことは…
あった。
東京ドームは空気で膨らんでいるので音が反響しまくって何を歌ってるのかよく分からない。
知らない曲も多いけど知ってる曲すら分からない時もあって最終的に周りの雰囲気と勢いに任せて「なんか分からんけど楽しい!」状態となりヘロヘロになりながら家路についた。
そんなエアロスミスは2001年にニューアルバム「Just push play」をリリースした。
そして日本も含めたワールドツアーが発表されたのでたまたま新聞の下に出ていたauのプレオーダーでチケットを2枚買った。
わしにとっては2度目。カミさんにとっては初めてのエアロスミス。
そのチケットはアリーナではなく何とスタンドでちょうど真ん中のあたりだった。
ここなら音が反響することもなくキレイに聴こえるかもね〜なんて話をしながら2人で東京ドームへ向かった。
そして2人で座席表を2度見…いや4回くらい見返した気がする。
エアロスミスはステージとは別にセンターステージを設けることが多い。
その真正面2列目!奇跡!
ファンクラブを通したわけでもなく新聞に出ていたチケット広告でこんな神席になるとは思っていなかったから何度もチケットを見直して間違ってるんじゃないか2人で不安になってしまった。
(もちろん間違ってません)
ショーが始まるや否や目の前にスティーヴンとジョーがいてキラーチューンを連発する。
目が合ったかも…ではなく目の前にいるので目が合う。
スティーヴンは思っていた以上にお口が大きい…たい焼きが横に入りそうだ…とか余計なことも考えちゃうくらい近かった。
ちなみにカミさんは初のエアロスミスが神席だったからすっかり大ファンになった。
その記念というか思い出にわしはツアーのTシャツをプレゼントしたんだけどライヴの感動が褪せてしまいそうだからと未だに袖を通していない。
どうかいつまでもそのままにしておいてほしい。
その後も来日のたびにカミさんと東京ドームでエアロスミスのライヴを観てきた。
残念ながら二度と近くで見ることはなかったけど両親と年が変わらないバンドメンバーのパワフルさにいつも驚かされた。
最後に観たのは2011年。
あれが最後になったと思うとフェアウェルツアーは行っておきたかったな。
わし世代にとってのレジェンドスターが少しずつ鬼籍に入り始めている。
当たり前なんだけどKISSみたいにきちんとお別れできるとファンは笑顔で見送ることができると思う。
わしがブルース好きになったのはエアロスミスの影響だし、
ボトルネック奏法を練習したのはジョーに憧れたから。
ブラッドさんの地味だけどバッキングに徹する職人魂は真似できるものではない。
だからエアロスミスとの出会いは本当に世界を広げてくれた。
最後にわしが一番好きな「Full circle」と共に
青春時代を彩ってくれたエアロスミスに心からの感謝を贈ります。
Thank you and good bye AEROSMITH🤘
んでは…アディオース!