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楽しき故郷滞在記Part4

「あぁやっと横浜に帰ることができる」
ということを未だに感じたことがない。
いつだって「あぁ…ついに帰る日か…」と思いながら宮崎空港のからくり時計を見つめてため息が出たり寂しくなってる。
2年前は4月に2週間、8月に3週間、9月に1週間と長期&コンスタントに帰省できたのであまり感じなかったけど今回は久しぶりにどよ〜んとしながら帰り支度をした。

ぼんやりと宮崎日日新聞に目を通すと
いつも通り数独とクロスワードが完成している。
テレビからはBSのメジャーリーグが流れている。
オカンは洗濯したり洗い物をしたりと忙しくしていて親父は車を磨いている。
いつも通りの平穏な生活を眺めているといつまでもこの日々が続いていてほしいと誰に祈るでもなく祈っていた。

庭に出て日光というか太陽光線を浴びながらタバコに火を付ける。
前は両親揃って「タバコはやめろ」と言ってきたけどようやく何も言わなくなった。
満開になっている足元のゼフィランサスをオカンは昔から「筆立て草」と呼ぶ。
たぶん間違ってるけど今さら記憶を書き換えるのも難しいだろうから我が家では今後も筆立て草とします。

ガンオタ故にゼフィランサスと聞くとGP-01とかコウ・ウラキが浮かんでくる…

今日のミッションは「ガンジスカレー」を食べること。
宮崎空港に昔からある名物カレーなんだけど、
じわじわと人気が出て今は店舗も構えている。
その場所が宮交シティ。

宮交シティというのは宮崎交通のバスターミナルを兼ねた大型施設で昔はダイエーがあったり屋外プールがあった。
さらに屋内遊園地
(その名もゆめのくにチルチル)まであったので子どもの頃はよく遊びに来た場所。
ワンコインで乗れるパンダとかそういうのだけではなくてメリーゴーランドはもちろん、
赤トンボという高さ10mくらいのところをグルグル回る飛行機の乗り物もあったので、
けっこうしっかりしていたと思う。
(乗ってる写真が子どもの頃のアルバムにある)
夏になるとイベント(主にお化け屋敷)がありいつも賑わっていた。

あれから少しずつ宮交シティも変わっていった。
屋外プールもダイエーもゆめのくにチルチルも消えてしまった。
余談だけど青島にある「こどもの国」という遊園地も今は乗り物などが全て撤去されてキャンプ施設メインの公園になってしまった。
こうなってくると宮崎市で残っている遊園地はフェニックス自然動物園のみじゃないだろうか?
ちびっこが楽しめるあの可愛い遊園地をどうにか守ってほしいな…
余談終わり。

少子化、人口減少の波がゴリゴリと楽しかった場所を消していく。
みんなイオンモールがあればいいのかな。
そんなことを考えながら車窓を見ていた。

大淀川。よく祖父の車でも通った橋。

たぶん宮交シティに来たのは四半世紀ぶりくらいだと思う。
がらーんとしている。
少なくとも活気はない。
けれどイオンモールは車がないと行けない。
宮交シティは宮崎交通が誇るバスターミナルなので高速バスも来る(バスタ新宿みたいなもんです)
JRの南宮崎駅からも近いのでアクセスはとても良い。
なのにがらーんとしてるのはなんだかもったいない。
何となく作業所など福祉施設をここにまとめたら通所しやすいだろうな…とか考える悪いクセが頭をよぎった。
いかがでしょう?シネマコンプレックスならぬフクシコンプレックス。

たどり着いたガンジスカレーはとてもまろやかで美味しかった。
空港でレトルトを買って美味しいのは分かっていたけど、やはりお店のカレーは美味しい。
辛いものが苦手なのでおそるおそる普通のガンジスカレーにしたけど次からは大盛りにしようと拳を固めた。
こういうとき辛いのが得意なカミさんがうらやましくなる。
何でも選べるもん。
って…カツカレー行くんすね。ワイルドだな。
ガンジスカレーは空港でも食べられるのでオススメです。ぜひに。

さて…最終日のミッションが終わった。
あとはもう空港に行くだけだ。
ここでやってくるわけです。
「横浜に戻りたくねぇなぁ」が。
どこを見てもコンクリートのビル。
林立してるせいで見上げる空は多角形。
海はコンクリに囲まれてるし川は抹茶ラテみたいな色をしている横浜…というか大都会。
わしにとってストレスでしかなくなりつつある。
そこに戻らなきゃならない。
おそらくこの日、わしのため息はゴジラの熱線くらい青く長かったと思う。

空港の駐車場がえらく混んでいたので端っこに止めて荷物を取り出す。
キャリーケースを預けたらあとは保安検査場を抜けるだけ。
前はここでお土産を買ってお茶でもして見送ってもらったけど最近はこのあたりで別れる。
やはり負担は減らしたいし疲れてるだろうから。
「じゃあまた来るから。それまで元気で」
とかそんなありきたりの言葉を交わして別れたらとりあえず喫煙所で一服。
二人は気づいてないけど喫煙所から車に向かう姿が見えたから見えなくなるまで見送った。

今年の宮崎は地震と台風でかなり被害を受けた。
(ちなみに竜巻が実家のすぐ近くを通ってちょっと危なかったみたい)
特に観光は大打撃を受けたので空港でお土産を選んでお金を落としておく。
職場へのおみやげや親友へのおみやげ。
ついでに自分のものも買う。
お気に入りのお菓子は「マンゴーのたまご」
ANAFestaでしか売ってないので大きいサイズを買ってから宮崎のゆるキャラ「宮崎犬」のハンドタオルとピンバッジに「どんげね?」と書いてあるハニワのハンドタオルを買った。
昔は変なオブジェとか買っていたけどライヴグッズ同様に今は実用品(笑)

保安検査場を一発で抜けて(なぜかよくひっかかる)
ゲートの前で目の前に広がる滑走路を見つめる。
時おり航空大学の練習機が飛んでいく。
いろんな人がいろんな想いを胸にフライトまでの時間を過ごしている。
そういえば2019年に横浜へ戻るときスターウォーズジェットに乗れたんだよな。
スターウォーズオタクだから本当に嬉しかったな…あれは。
ヘッドレストのカバーやサービスドリンクの紙コップがC3POだったから持って帰っていいか聞いたら余ってるのをたくさん持ってきてくれてポストカードまでいただいた。
さらにヨーダとの記念写真も撮ってくれてCAさん全員でおもてなししてくれてとても嬉しかったな。
そんなことを思い出しながら喫煙室でタバコに火を付けた。
聞こえてくる宮崎訛りもしばらくお預け。
(両親は標準語)
そしてカミさんと飛行機に乗り込む。
窓側に座りずっと外を見ていた…ら。
羽田空港がトラフィックしているらしく、
しばらく離陸待機。
15分くらい待たされてようやくタキシング。
主翼のすぐ後ろなのでフラップの確認が見える。メカ好きなのでいつもこの席を選んでいる。
エンジン出力が全開になるとあっという間に景色が流れ始めてすっと飛び立った。
今回は北側の景色が見えていた。
実家の方向だ。見えないけど。
行ってきます。仕事のために。
未来のために。2人のために。
そんな想いで遠ざかっていく宮崎が見えなくなるまでずっと窓にへばりついていた(たぶん20分くらい)

みんな元気で。必ず戻ります。

空しか見えなくなったので写真を撮りつつカミさんもわしも事前に落としたアマプラの映画を見始めた。
飛行機は東に向かって飛ぶ。
沈む太陽から逃げるように夜に向かっていく。

なんか宇宙旅行みたいだ

静岡のあたりで富士山が見えてくる。
美しい赤富士だ。
シャッター切るけどいつもうまく撮れない…

最大望遠。綺麗に撮りたかった…


夕焼けを背に夜に向かって飛ぶ

少しずつ地上の光が増えて羽田が近づいてくる。
今回の帰省で親父の心配事が増えた。やはり早めに移住したい。そんなことを考えて窓の外を見たら月が笑っていた。どうかまたカミさんと帰省できますように。それまで両親が健康でいますように…自然とそんなことを考える月だった

月は最大望遠で撮れる。我ながら良い写真だ

羽田に着陸するとわしは嫌でも戦闘モードに切り替わる。真面目だなぁ。
でもちょっとめんどくさいので空弁を買って新横浜行きのバスに乗り込む。
明日はカミさんの誕生日だから横浜までケーキを買いに行こう…とか考えながら自宅にたどり着いた。


これを書いているのは10月4日。
ちょうど1ヶ月後。
すでに土地薬は薄れていて…というより足りなかった。
最近、辛く悲しいことが続いたからなぁ…。
でもわしにはまだこっちでやることがある。
まず今週末はこんなイベントが待っている。
つーことで告知です。

大阪に行ったのはバリバラ収録のためでした

はい、実はバリバラに出ます。
それを記念してイベントを組みました。
当日はゆる〜く裏話などをお届けますので気軽にいらしてください。
わしはレモンの被り物をして皆さんをお待ちしています。
放送は10月10日の20時からEテレです。
公式が情報解禁したら告知も兼ねてまたお知らせします。
告知おしまい。

やることがある
それはとても大切なことだ。
だからもうちょっとこっちでやることやってから宮崎に行こう。
なので皆さんどうか心の中でこっそりひっそり応援していてくださいね。

ではでは…アディオース!

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