『理科室まがった②』(毎週ショートショートnote)

「さぁ次は音楽室だ！」
校内放送から放送部の実況が叫ぶ。
各教室では生徒の目はモニターに釘付け。
「おっと！いつもは壁に飾られた作曲家たちが
なんとドミノに変わっています！
バッハ、シューベルト、モーツァルト、ベートーベン、、、
すべてドミノです！そして一気に！」
全ての肖像画を形作るドミノが倒れる様は圧巻。
教室からの歓声が学校中に響き渡った。

カタカタカタカタ・・・
音楽室のイベントを終えてドミノはさらに行進を続ける。
「次は視聴覚室。ここでは何を見せてくれるのか？」
ドミノが真っ暗な視聴覚室に入っていく。
すると突然スクリーンに映像が映し出された。
「え？」
スクリーンに映し出されたのは
椅子に縛りつけられた３人の男子学生。
その横のモニターには僕に対して暴力を振るう３人の姿。
３人の足元にはガソリンがまかれている。

このドミノは僕一人で並べた。
ドミノはすでに理科室をまがって３人のいる理科準備室へ。
ゴールには火のついたジッポーが待っている。
(410文字)

＜あとがき＞
学園祭で僕のクラスはドミノをやることに決まりました。
しかしドミノを並べるのは僕だけだということは
最初から分かっていました。
学校中を駆け巡るドミノを僕ひとりで並べるのは
大変な作業でしたが
その後のことを思うと
ひとつも苦ではありませんでした、、、。