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『2次会デミグラスソース』(毎週ショートショートnote)
久しぶりの新年会は、ここ数年分の鬱憤を
この場ですべて晴らしてしまおうと
全員で示し合わせたかのように
乾杯の挨拶もそこそこにスタートから盛り上がり、
一時はイッキ飲みしようものなら
店員が飛んできたものだが
今夜は水を差す者もおらず気持ちよく酔えた。
やがて楽しい時間は瞬く間に過ぎ
幹事からお開きの声が掛かっても
まだ興奮冷めやらぬ者たちが
わあわあと騒がしく2次会へと繰り出す中、
俺のコートの袖をくいくいっと引く感触があり
振り返ると普段はおとなしい後輩が立っていた。
「あの、、、近くに美味しいお店があるんですが
よかったら行きませんか?」
赤く染まった顔から精一杯の勇気が見て取れる。
「何のお店?」
「ハンバーグです。デミグラスソースが絶品で」
彼女はさらに顔を赤らめながら満面の笑みを見せた。
その笑顔に心を鷲掴みにされた俺は
「俺、さっきあんまり食べれなくて
けっこう腹へってんだよね」と言うと
彼女に気づかれないようにベルトの穴をひとつ緩めた。
(410文字)
<あとがき>
デミグラスソースといえばハンバーグ。
なんのひねりもなくド定番です。
※本日いろいろと忙しくて即日投稿に2分
間に合いませんでした。
記録ストップです。