真実の盗撮事件簿 第1章 五 伝説の盗撮師和歌山アクション倶楽部

五 伝説の盗撮師
それは伝説の盗撮グループとして有名な和歌山アクション倶楽部こと「W・A・C」「和歌山AC」(以下、「和歌山AC」という。)という盗撮組織の存在だった。

 盗撮に少しでも興味を持った者なら一度は聞いたことがあると思うのだが、盗撮マニアには絶大な人気を誇る伝説の盗撮グループである。

 ご当地和歌山という地名を看板に、元祖浴場盗撮のカリスマ的な存在として一部の盗撮専門誌などで崇められている。

 私達はこの件に必ず絡んでいるであろう和歌山ACの情報についても、情報を収集することにした。

 過去の和歌山ACの情報を集める為、古本屋を回り盗撮関係の雑誌を買い集めると共に、多くのセルビデオ販売店での情報収集やインターネット上の書き込みなどを徹底的に調べた結果、少しずつベールに包まれた組織について様々な情報を得る事ができた。和歌山ACは、通称「亀さん」と呼ばれている男性とその妻とが趣味で撮影した盗撮映像を、覗きマニア向けの雑誌に投稿し、賞金をもらったことをきっかけに盗撮ビデオの制作販売を思いつき、妻にビデオカメラを忍ばせたかばんを持たせて和歌山近郊をもとより、全国各地の温泉地で盗撮巡業を繰り返し販売した。

 その結果、爆発的な大ヒットを生み、平成3年6月「全国の温泉で女性の裸を隠し撮りしていた」として夫婦で大阪府警に逮捕されていることがわかった。また、同社のオリジナル盗撮映像は、一般のセルビデオ店などでは一切販売されておらず、既存の顧客に重点をおき、通信販売を主流とした直販をしていることなどが分かった。代表作品として、「合宿シリーズ」「女風呂シリーズ」浴場施設の脱衣所で撮影したもの、望遠レンズを使用して撮影した「露天風呂シリーズ」、そして全国の温泉施設にて撮影した「♨シリーズ」、脱衣所から浴室内まで追い掛けて撮影した「湯船の中まで」、仮想ミスコンをでっち上げ撮影したとされる「ミスコンシリーズ」などをシリーズ化して販売していることが判明していたのだが、先にも書いたとおり、既存顧客を中心とした流通をしているため、なかば諦めていた時、ある方の紹介で中部地方に住む盗撮マニアの方を紹介して頂けることとなった。

 知人の話では、その男性はかなりのアクションカメラマニアで盗撮にも精通しており、和歌山ACの話を持ち掛けたところ、「和歌山ACなら数本セットでなら取れるよ。」との返事を頂き、初期の作品を含めお願いしたところ、快く承諾してくれたのでした。

 そして商品の受け渡しの日、指定された東海地方の某パーキングエリアでその方からの連絡を待っていると、紺色のセダン車が横に駐車された。

 車から降りてきた男性は、私の車の窓をノックし「平松さんですか?●●です。(仮名)」と声を掛けてきた。
一見普通のサラリーマンといった感じの男性は、愛想も良く「先日頼まれた和歌山ACのビデオです。」と6本のビデオと過去の販売資料の束を手渡され、商品代金の4万8千円と手数料を支払った。

 資料の中身はビデオの盗撮シーンをキャプチャーした写真を色画用紙の上に貼り付け、手書きの汚い文字で書かれており広告というにはほど遠いものだった。そして白色のビデオケースに入ったビデオテープだった。

 また本体側の背の部分(ラベルを貼る部分)にネームシールに「合宿」や「♨シリーズ」とスタンプを押し、貼っているだけで「これが本当に和歌山ACの作品なのか?」と疑問を持ってもおかしくない代物でした。

 そのきな臭いテープを受け取り、高速を和歌山へ向かう車内からスタッフといつも協力してくれる友人に向けメールを送った。
「和歌山ACのビデオ入手」……その後の反応は早く、私が事務所に到着する頃には全員が事務所の駐車場で待ち構えている状態だった。

 「本当に和歌山ACが入手出来たの?」と疑いながらも、メンバーは伝説的に祀られている噂の盗撮グループ和歌山ACの盗撮ビデオからどんな情報が得られるのかと期待していた。

 このビデオになにが写し出されるのかとドキドキしながら再生ボタンを押した。他の盗撮映像と比べて告知等は一切なく、いきなり被写体となる女性が映し出されている。

 ビデオの再生ボタンを押して10分ぐらい経った頃、「なにが伝説の盗撮師?」「ただのピンホールで撮影しているだけ」「でもエグイ(えげつない)」という言葉がメンバーの口から出た感想だった。

 N書店などが販売している盗撮ビデオは、セルビデオ店などをターゲットとして販売されているためか、子供などが映ったシーンなどは必ずモザイク処理を施していたが、和歌山ACの盗撮映像は一切モザイク処理されておらず、年齢に関係なく子供からお年寄りまで、ごった返した脱衣所のシーンは隠されることなく収められている。

 また盗撮現場を特定する装備品関係が映った映像もすべて処理されることなく映されていた。 ※加筆「そして和歌山に昔あったユートピア・本町湯(現在廃業)など知っている施設以外和歌山周辺の施設でほぼ全滅状態。無修正だから特定がすぐ出来たのだった」
 探偵の私から言うと「伝説と言うより、本当に盗撮したマスターテープを少し加工し販売しているだけのお粗末なものだった。」
「これが伝説?」それが感想だった。

※追記
現在で和歌山アクション倶楽部に関する映像は数百本以上あるが、私達がテレビ朝日さんの番組で取材したことがある。
和歌山の中堅クラスの某企業の寮が事務所の一室としてあり、振込口座はきのくに信用金庫楠見支店に指定口座があり、仕事柄あらゆる手を尽くし追跡した結果、その企業の関連施設が和歌山市と寝屋川あることも判明した。
この亀さんと呼ばれている方は死去しているとのことだが、その真意まで確認はしていないが、和歌山ACの映像は、嫁がピンフォールカメラで撮影した映像を旦那が編集しファンに対しダイレクトメールを送り直売で販売していた。その映像を購入したものが、コスリ(ダビングや複写)し、DVDとして流通しているのが実態で、まあ今でいう撮り子の何ら変わりがない。

本物の和歌山アクション倶楽部のジャケットは手書き・シール・番号だけ。   
ダイレクト発送のチラシも100枚以上あるが文字は同じ筆跡で書かれており。それをコスった海賊版も沢山ありますが、もともと犯罪ものに著作権もないことから、やりたい放題だった・
和歌山アクション倶楽部は伝説でも何でもない。
探偵業をしていた私達からしたら、素人がハンディーカムにピンホールレンズをつけて仕込んだカバンで置き撮りをしていた程度のもの。 ただ男性が入れない女湯に嫁が侵入して撮影しただけのものだけど、許せないのは幼児から老婆までノンモザイクで販売していたのだから警察が真剣に対応していたら検挙し重い罪に問えたはずだ。




 

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