『背徳の西洋美術史』 - 池上英洋,青野尚子
Kindleで半額になっていたにしては良い本だった。(あまり売れない本しかセール対象にならないことに最近気付いた。)
「背徳」を前面に押し出してはいるがまず最初に下ネタで小学生の心をがっつり掴みにいった『うんこ漢字ドリル』なんかと同様の戦略なのかも知れない。大人になるとうんこには飽きるけどちんこまんこばっかりになりますからね。
内容は絵画の背景や題材を解説する割と真面目なもの。もっと下世話な話を期待していると逆に期待外れかも知れない。中世の絵画は大抵聖書やギリシャ神話を材に取っているので必然その辺りの話が多い。
簡潔で読みやすく教養に富み、最高の入門書かも知れないと思った。
ただ断定的な言い方がやや気になる箇所もあった。諸説ある中の一説のみを紹介してすっぱり終わりにしてしまうのは単純化というよりは短絡化なのでやや危険な気がする。しかしこれは簡潔さとのトレードオフだろうか。