身軽に暮らす、ということ。
僕は昔からモノの多い生活が得意じゃない。
僕の生活範囲にあるモノにはそれぞれの決まった定位置があり、
それらが数ミリでもずれてしまうと、心が乱れ、落ち着かない。
過度な几帳面さは僕を生きづらくさせる。
我が家にはテレビがない。
テレビのある暮らしをしていた頃、
朝食時にふいに流れたニュースに一日心を掴まれて、沈んでしまうことが良くあった。
必要な情報は自分で選ぶ。
スマホ一つあれば大抵の情報は手に入るから、
テレビが無くて困ることは少ない。
僕はきっと不器用な人間だ。
大切なものを見落として、傷つけて、
たくさん後悔をしてきた。
それ故なのか、暮らしも心も整えていたいのだ。
何一つ、見落とさないように。
それは、僕の手の届く狭く小さな世界かもしれない。
でもそれでいい。
それが僕の全てなのだ。
僕は今日も身軽に暮らす。
目を背けながら。
隣で恋人はアニメを見る。
グラスの中の氷が涼しい音を立てる。
こんな夜を守りたいと思う。
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