人是物非
最近は湊かなえの『落日』を読んだ。
その小説では、映画、あるいは映画館が一つのキーワードになっている。
地元の昔の映画館の話を読んで、
実家の近くにあるぼろい映画館を思い出した。
ある日家族三人で行った。
なぜそうなったのかは覚えていない。
ただ、三人で映画を見に行くことは片手で数えられるのは確かである。
映画のタイトルもはっきりと覚えていない。
ただ、母親が帰り道に「隙間風が寒かった」とこぼした愚痴は覚えている。
でも、私はなぜかあのボロ映画館を気に入った。
また来ようと思っていた。
結局それっきりだった。
一人で行きたかった。