朱に交われば赤くなる、 と思って近づいた人のことを少し知った。 それは罌粟の花のような赤だった。 この墨染めの世界がしらけるほどの赤だった。
最近は湊かなえの『落日』を読んだ。 その小説では、映画、あるいは映画館が一つのキーワードになっている。 地元の昔の映画館の話を読んで、 実家の近くにあるぼろい映画館を思い出した。 ある日家族三人で行った。 なぜそうなったのかは覚えていない。 ただ、三人で映画を見に行くことは片手で数えられるのは確かである。 映画のタイトルもはっきりと覚えていない。 ただ、母親が帰り道に「隙間風が寒かった」とこぼした愚痴は覚えている。 でも、私はなぜかあのボロ映画館を気に入った
初めまして、Nutsです。 この名前は気に入っている。 親がつけてくれた名前も気に入っているが、こっちは気に入っているから自分で自分につけたものである。 簡単な英単語で、木の実を意味するのは一般的に知られているだろう。 でも、私が気に入ったのはその俗語的な意味である。 「狂人」、「変わり者」… 理由は正直わからない。 私が自分のことを狂人だと自称するほど自惚れているかもしれないし、狂人に憧れているかもしれない。 今は大学院の博士課程に入って和歌の研究をしている
知らないうちにこの人を傷つけたかもしれないと、 飲み会でのその人のさりげない一言を聞いて、私はそう思った。 申し訳ない気持ち、後悔する気持ちが、いつものように心の中に現れ、 あの日私が図々しい口調で言った自嘲めいた言葉を脳裏によみがえらせた。 こういうモヤモヤには慣れている。何をしなくても、自然と消えてくれる。 ささいな罪悪感はほろ苦いというより、むしろちょうどいいスパイスのような感じがする。 それをつまみに、久しぶりに酒を頼んだ。 お互いよく知らない同士だから