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大西洋と太平洋を渡る黒髪の美しさのイメージについて
昨日は、芸大の毛利嘉孝氏のゼミにいる高橋聡太さんという研究者の人と会合。 デニーズのマンゴーホットケーキを食べる。マンゴーの酸味が効いているのと、なぜか小豆を煮たのが入っており、かなり楽しめる。 それはさておき、海外での日本の音楽の聞かれ方についての話になり、何故かバクチクが人気があるということを教わった。もちろんラルクや安室や宇多田ヒカルのほうが人気なんですが。 バクチクの人気は、しかし『るろうに剣心』のアニソンタイアップで認知度が向上したラルクのようにわかりやすいものではない。キャリアの長さと大御所的ポジションもさることながら、ラルクのhydeさんと同様、一見してわかるボーカルの美貌が人気の秘訣なのではないかという話に発展。 そこから、黒髪美形の系譜について語り合うことに。キーワードは「民族性の消費」エスノオリエンタリズムで、ヨーロッパの周辺地域の民族性やジプシー(ロマ)と異教性の組み合わさったイメージが、魔女やファンタジーにおけるエルフの図像に流れ込んだあと、ロックやゴスといったカウンターカルチャーのなかでもとりわけ神秘的な要素として黒髪が支持されたのではないかと。ちなみにチャールズ・マンソンの取り巻き(チャーリーズ・エンジェル)は皆黒髪。 もうひとつ気がついたのは、戦後の高度経済成長期の日本というサイバーパンクと相性の良いイメージが、レプリカントやガイロイドの黒髪に結びついたのではないかと思われる。 山口小夜子とか藤田嗣治、草間彌生、由比正雪(佐々木小次郎や天草四郎時貞も)それからジュリエット・グレコ、DEAD OR ALIVEのピート・バーンズ、NINのトレント・レズナーやブラック・メタルの人たちのことなども話題になったのですが、残念ながら具体的な太い系譜は描けず仕舞い。そういえば『パタリロ!』のバンコランもだ!とたくさん具体例は挙がり、だいたいセクシーなのもエキゾチックなのも神秘的なのも共通しているのですが。 ちなみにバンコランのモデルは、ジョン・ディクスン・カーの小説に登場するフランス人探偵。興味深いことに彼はアメリカに留学してからフランスの警察に入ったという設定になっている。つまり『パタリロ!』のバンコランは、アメリカ人作家がアメリカで青春を送ったフランス人探偵として描いたキャラを元に日本で作られたのである。このヨーロッパ・アメリカ・日本という、大西洋と太平洋を飛び越えるイメージの連鎖については、今後もいろいろと調べていきたいと思っている。 あー、そうだ。ちなみにブラジルでは黒髪直毛長髪の男性が一番モテるらしい。実際にブラジルに住んでいた親戚から聞いた話なので、信ぴょう性の有無については一概には言えないのだけれど。
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