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分人、ナイト君、ファントムペイン
作家・平野啓一郎氏の「分人」の考え方。
公認心理師・橋本翔太氏の「ナイト君の考え方」
そして、
「ファントムペイン」
↑
そう、みんな大好きガンダム。
なかった
。
カデール・アティアの映像作品『記憶を映して』は、ファントムペインをテーマにしています。
公認心理師の橋本翔太氏は、心の問題を解決するためには、心の防衛機能(著者はナイト君と呼んでいる)を見つけることが大切であることを述べていて、
心の防衛機能・ナイト君と対話すること、「ナイト君ワーク」を推奨しています。
橋本翔太著『わたしがわたしを助けに行こう』132、133貢
※ナイト君は心の傷の数だけ存在すると著者の橋本氏は述べています。
わたしの心をいつも守ってくれているナイト君を見つけてあげて、対話し、認めてあげられることが心の問題を解決するために大切であると。
橋本氏の『わたしが「わたし」を助けに行こう』は、1人ひとりが自分の心の傷と向き合うための、とても優しい、素敵な本で、
心の傷のぶんだけ、その傷を守ろうとする心の防衛機能・ナイト君は存在する、
特定の感情や出来事を引き金として、かつての心の傷から生じたナイト君が、その人の表に出てきて、
心の傷を守るために剣を振るう。
そのため、、、
時に様々な問題に繋がったり、
心の傷を深めてしまうこともある。
だから、ナイト君を見つけて、その孤独や役割を認めてあげる、
いつも自分を守ってくれていたナイト君と手を取り合う、
わたしが、わたし自身を助けに行く。
作家の平野啓一郎氏の「分人」の考え方も、
その対面する人や出来事で、生じてくる自分、それぞれの分人がいると考える。
親との関係の分人、友人との分人、見ず知らずの人との分人。
人間の自然な姿。
平野啓一郎氏は、誰に対しても同じ態度を取ることが裏表のない美徳のように語られることがあることへ疑問を投げ掛けていますが、
これは非常に納得するところで、
確かに、誰にたいしてもいっかんして同じ態度であるのは、実はかなり不親切で、不自然である場面が社会生活では多いかもしれません。
分人、対する人によって異なる自分に変化する、
その人や場面に合わせて変化する、
そうした自然な気遣い、親切、思いやり、
人間的な成長や、器の広がりは、
そうした分人的な成長にあるのかもしれないですね。
分人、ナイト君。
心の中の複数のわたし、場面毎のアバター、
自然な姿、あり方。
自分を知ることで、
わたし自身を助けることができる。
セルフケアというのは、本当に重要ですね。
失ったはずの身体の部位等に痛みを感じる
ファントムペイン(幻肢痛)。これは、文化や心の問題等にも応用して考えられて、
トラウマ、喪失感、失ったものに感じる痛み等のケアにも関連して研究されているようです。
そのドキュメンタリー映像が、
現代アート作品カデール・アティアの『記憶を映して』でした。
トラウマを可視化する治療法。
それは精神医学における一般的な認識であると映像の中で述べられています。
トラウマは、そこから遠ざかれば遠ざかるほどに大きくなっていく、痛みが成長してしまう。
そういう遠近感がある。
見ないようにするより、もう一度しっかり認知して、
もうその痛みはないことを受け止めていく。
そのために可視化する。
橋本氏の『わたしが「わたし」を助けに行こう』でも、
心の防衛機能・ナイト君に名前をつけてあげたり、姿をイメージして、ナイト君と対話して、ナイト君を知っていくケアがありました。
いま辛さや生きづらさを抱えて苦しい人へ、
その本質的な辛さ、痛みを回復していくために、
自分自身の心の傷と和解していくために、、
心の傷をずっと守ってくれているナイト君(心の防衛機能)と出会い直して対話する。
トラウマをもう一度、見つめてみる。
痛みが生じ、増大していく怒りを変えていくための遠近感、
距離の取り方、パースペクティブを見つける。
そのためのアートとケアというもの。
苦しさや痛みには、それぞれ差異があると思います。
理解されない、わかってもらえない、孤独や苦しさ。
他の人のケースが参考になることもあるかもしれませんが、
しかしそこに完璧な再現性などなく、それはサイエンスではなく、
その1つひとつはアートで、
もう一度、光や自分だけの色を、じぶん自身で取り戻していけるもの。
目の前にいる人が、わたし自身の「痛み」に向き合っていけるように、
目の前の人としっかり向き合う、
同じ方向を向いて、
ケア(アート)を深めていく、
わたしの、アート&ケアのミッションです。