消失願望

 格好つけて吸っていた煙草がダサいフェーズになっていることを知った時に冷や汗が出た。生きているとそれだけで黒歴史が増える。振り返ったらきっと片手分しか誇れる思い出なんてなくて、その他は全て口にするのもはばかられるくらいの痛い思い出だ。
 自分が特別でないと気付いた時に鳥肌が立った。見下せていたと思っていた人間たちに人生のレベルも年収も職歴も全て負けている。同窓会に行ったらお笑い草だ。卒業アルバムに映っていた自分は今見ても即答できる程不細工だが、今よりずっと未来があった。冷笑で済ませる時代は終わった。今度はこちらが指を指されて笑われる方だ。
 皆勝手に大人になっていく。こちらとしては今さっき思春期が終わって反抗期が来たところだというのに。どうしたら人の気持ちを考えて行動することができるようになるんだろう。やりたくないことをやらずに逃げて、人を傷つけてようやく気付く。そんな生き方はしたくないのに何故こうなっているんだろう。

 人生って本当に80年もあるのかな。あったら、何年目で自分は狂ってしまえるんだろう。これ以上進展がないとわかったら神の一撃やら死のノートやらでさっさと終わらせてほしい。自分がいなくなった地球を見てみたい。月が逆さまに回って太陽はもっと燃え上がって、人間はさっさと滅んでくれたらいいね。でもそんなことは起こらないんだろうな。いつも通りの日々でゆっくりと人類は衰退していく。

 ショートケーキのイチゴになれたら良かったなあ。自分は良くてスポンジの焦げ目だ。

いいなと思ったら応援しよう!