《5分小説》怠けるのには理由があるんじゃ
さよなら2022年、明けましておめでとうございます!
実は来年からあだ名をピーターに変えたいって思っています、KTです。
東京出身、東京育ち、両親と弟と住んで居ましたが、現在はアメリカ留学中です。
日本では年明け、おめでとうございます!アメリカでは年明けまで数時間残ってます。
初めてこっちに来た時は、日本と全く違う光景に、言葉にできない…まさにカルチャーショックでしたが、4ヶ月が経過して、いよいよほとんどマイハウス・アメリカってくらいに慣れはじめました。
今回は、そんな旅から始まって留学でしまった2022年の中で、ひとつ伝えるとしたら、何にする?と自分に聞いて見た時、受け取った言葉があったので、久しぶりにnoteを開きました。
それでは、どうぞ!
《怠けるのには理由があるんじゃ》
彼は生まれてはじめて、旅にでた。
ずっと愛されて育てられた、ほかほかの家とあたたかい両親に置き手紙をして、出て行った。
「家出かな?」
街を歩く人々らは、びくびく怯えたように街を歩く彼の正体をまんまと見破っていたかもしれない。
彼は今年の旅を思い出しながら、森の奥にある彼の小屋に仲良しの子ジカとリスを招待して、今年最後の夜を過ごそうとしていた。
こじんまりとした木でできたキッチン。
よく火事にならないか心配されたなぁなんて思い出しながら、あったかいものでも飲みたいなと思った彼は、なにか甘いドリンクを作ろうと思った。
使い慣れた透明のマグカップに、平たいお皿と、エスプレッソのショットかな?ってくらいの小さな容器に入れたあたたかいミルクに、チョコレートを溶かした。
「いきなり旅になんて出ちゃってさ、面白いって思われちゃって、なんだか嬉しそうだったよね?」
「ぼくだけの人生だもの!なんていってさ、はじめての土地に飛び降りるんだーいって話してたよね」
子ジカがケラケラ笑いながらそう言ったことに対して、リスはおやおやと思いながら口を開いた。
「そうじゃなぁ、久々に楽しそうにする彼を見れた気がしたなぁ」
「まあ、満足そうでなによりかな、あははは」
火の粉がホタルのようにぱちぱち飛び回る大きくてあたたかい暖炉の前に座った子ジカは、大きな声でふさふさの毛を身にまとったリスに話していた。
「へくしゅん!」(なんかの噂かな?)
「Bless you!」口を揃えて、子ジカとリスが振り返りながら言った。
そして子ジカとリスは彼がホットチョコレートを両手にかかえているのに気づいて、「わーーありがとう」と叫んだ
そんなぱちぱち暖炉の前であたたかいドリンクを両手で包みながら、彼らは暖炉の前で今年がどうだったか話しはじめた。
彼の出番になると、彼は旅の話をした。
「そういえばさ、あの時学校はどうしてたの?」
口の周りにあまそうなチョコレートをつけてちょび髭おじさんになっている子ジカが尋ねた
「参加してたよ、旅してる時はオンラインだったの」
彼は答えた。
「なるほどね、まだコロナが流行ってたものね。
どんな授業を受けられたの?」
ぺろっと舌を出してひげを取ろうとしたけど届かずに結局葉っぱで口元をふきふきしながらリスは聞いた
「うん。授業ではねウェブサイトを作ったり、アプリ開発したり、広告やポスターをつくるクラスで、初めはワクワクしてとったんだ」
ホットチョコレートのカップの中を覗いているのか、斜め下を俯いた様子で、彼女はまた話しはじめた
「でも、じつはね、あんなに楽しそうって思って自分で選んで参加したのに、途中でつまらなくなってしまったんだ。」
「大切な学びの機会を無駄にしてしまったんじゃないかって、今でも思い出すんだ」
「きっとお父さんとお母さんも悲しむだろうな」
子ジカとリスはまだ、だまって暖かいチョコレートミルクを飲んでいたので、彼はまたひとりごとかのように話し続けた。
「もう学校があんまり楽しくないんだ。みんなは楽しんでるのにさ。なんだかぼく、旅をしてる間にネジでも外れちゃったんじゃないかーって思ったりするんだよね。あはははは」
彼は声だけで笑った。溶けていないチョコレートのかけらを、のどにつまらせながら、ホットチョコレートをこくりと一口飲み込んだ
「あの時、全然授業を受けることが楽しくなかったんだ」
「毎日出会う新しい人々と、景色の方がよっぽど面白くて、パソコンを開くのでさえ馬鹿馬鹿しく思えてきちゃったんだ」
「なんでぼくってさ、こんなに怠け者になっちゃったんだろう
なんて思っちゃうんだよね」
真っ暗な森の中で、ぱちぱちと草木と炎が暖炉のなかでステップを踏む音だけが聞こえた。
その足踏みの音を聞きながら、彼はまたもうひと口、カップに入った飲み物を口にした。
「あまい、、、」
そう思って、きらきら輝く一年を振り返りながら、ごくりと飲み込んだチョコレートのようにあまったれた自分の姿に涙がぼたぼたこぼれ落ちた。
ミルクの中に溶けたチョコレートが、体の中で、またカチンと固まった感じがして、
もうチョコレートはいらないと思った。
「もういらないや」
そう言ってすっと立ち上がり、部屋に戻ろうと思った彼に向かってリスが言った。
「夢中だったんじゃろ」
リスは続けた。
「夢中だったんじゃろ、おぬしの旅に」
「ほれ、あの時おぬしはよく話していた。やりたい事を探してたって。」
からだの中のチョコレートがまた少し変な感じがした。リスはまた言った。
「怠けものなんていないんじゃ。誰もこの世界の中で、怠け者などいない」
「おぬしに誰かが怠けてるなんていったのかえ?」
ううんとふりふり、彼は首を横に振った。
「そうじゃろう。おぬしは自分にそう言い聞かせているだけじゃ。もしも怠け者がいるとしたら
怠けるのには理由があるんじゃ」
立ち止まった私は、つい困ったような表情でリスを見つめたので、少しあわてたように、リスは喋り続けた。
「おぬしはナマケモノと呼ばれる動物を知ってるかえ?」
彼はこくりと頷いた
「かわいそうなことに、彼は1日のほとんどを寝て過ごしているから、怠けていると思われているんじゃ」
「ふーん。そんな寝ることができて、羨ましいもんだい!」
子ジカが言った
彼もこころの中で、すこしナマケモノがうらやましいような気がした。リスは言った。
「ではおぬしは、なぜ彼らが長く眠るのか、知ってるかえ?」
ぱちぱちと、暖炉の中からまた音が聞こえた、
「彼らは、睡眠をすることで、一日につかうエネルギーを減らしてるんじゃ。彼らは、はっぱや野菜をたべるじゃろ?彼らの食事はおんぬしらのように、動き回るのには向いていないんじゃ」
リスは言った。
「ほえー、じゃあぼくらもさ、ベジタリアンにでもなって、一日中眠ったらなーんにも言われないで眠る事ができるって事か」
「へっへー!しめた!明日からボクは野菜だけ食べることにしてやる」
子ジカはいっしっしと、空気が漏れるように笑いながら言った。
いつも野菜ばっかり食べてるくせに
彼は心の中でそう思った。
「おぬしはいつも野菜ばっかり食べてるじゃろう」とリスが口に出した。
図星だった!とばかり目をぱちくりと開いた様子で子ジカは黙りこんでしまった。
「彼らは、木の上で一日のほとんどを眠って過ごすのが、彼らにとっていちばん良いと知っておるんじゃよ」
「彼らが木の上で眠るのも、敵から攻撃されないための、彼らの知恵なのじゃ」
「おぬしがかれらのマネをしただけで、ナマケモノのようになれるかと言ったらそれはどうじゃろうなぁ」
とリスは子ジカに言った。
ボクは鹿だった!と子ジカはすっかりと忘れていたように思い出しては、恥ずかしそうに、地面の葉っぱを蹴った。
身体の向きを変えたのか、カサッと葉っぱの音がした。
ときっとしながら、わたしはリスの話に耳を傾けた。
「ほれ、おぬしはナマケモノじゃないじゃろう」
「おぬしも理由があったんじゃろう。授業を受けられなかったのは、おぬしが怠け者だったからじゃないんじゃよ」
「おぬしが、ウサギだったからなのじゃ」
彼は、思った。もう今までみたいに授業を受けられない。楽しくない。つまらない。なんでこんなにやさぐれてしまったんだろう。ナマケモノだ。ヤンキーだ。お父さんもお母さんも、こんなふうに変わってしまったわたしに悲しむだろう。
あんなに授業をまじめに受けていた、あの頃のボクはもういないんだ。
潰れたラズベリーの甘酸っぱい香りが苦いチョコレートと合わさって、引きずり込んだ私をカチカチに固めたように、わたしはきらきらと輝くマントの内側に、そんな心のチョコレートカップを隠していた。
このチョコレートもあとで溶かして、飲んでしまおうかな、でもラズベリーは少し酸っぱいかな?
「、、、、、」
「おぬしが、ウサギだったからなのじゃ」
リスの言葉がまた聞こえた
はっとした様子で、ウサギは思った。
ぼくは、旅をした。いろんな場所を跳ね回った。その間に沢山の仲間に出会った。
寝なくても構わなかった。跳ね回ることが、楽しかった。それは僕がウサギだったからなのか。
僕はナマケモノでも、リスでも、シカでもないんだ!
どうして僕は自分がウサギだった事を忘れていたんだろう!
そう思った時から、彼の心の中には出逢った沢山の仲間たちがいる事に気がついた。
彼はそう気づいた瞬間、チョコレートがミルクのように柔らかくなっていることに気がついた。
「、、、、」
リスは言った。
「それで、結局おぬしのやりたいことは、見つかったのかい」
ウサギは少し考えて、口を開けたその時、
ぱんっ
ぱんっ
「ハッピーニューイヤー!!!!!!!
あけましておめでとう!!!!」
空には一面に虹色に輝く花火が輝いていた。
「わーーーー」
子ジカは嬉しそうにウサギの手を取り跳ね回ったかと思うと、明るくなった森の中には同じように空を見上げて目を輝かせる沢山の動物たちが見えた。
「新しい年だ!新年だ!」
「おめでとう!おめでとう!」
シャンパンを片手に弾けんばかりの笑顔で乾杯する彼らの声を聞きながら、ウサギはリスを見つめて
「うん」
と大きく頷いた。
つづく
《エピローグ》
信じられないことに、2022年も残りわずかとなりました。
皆さんの2022年どのような一年でしたか?
TikTokでアメリカ留学について毎日「アメリカ留学DAY〇〇」なんて日記をつけている割には、未だにアメリカにいるのかぁ、なんてふと改まる事もあるんですよね、って思ったりもします。
1年間、人生の中で一番大きな波が起こったのがこの一年でした。
アメリカでできた大親友の双子のようなともだち。
少し年上の彼女は、27歳で、若々しくて、こころも体も21歳でも全然分からない!そんな尊敬していて、毎日を最高に楽しむ彼女だからこそ、
「今年はどんな一年だった?」
と尋ねた時
「完璧だったよ」
「でも、21歳が最高潮だった、あの時には敵わないよ」
なんて彼女が答えた時、じつは少しドキッとしたのは私だけでしょうか?
《結びに》
新年、あけましておめでとうございます!
読んでくれた皆さん、本当ありがとうございました。
何か大切なメッセージが届けばいいな。
届かなかったら、ただ、森の中の動物たちの年越しの目撃者になったあなたが
どちらにせよ、最高の2023年を創れますように!
それでは、みなさん、
明けまして、おめでとうございます!!
今年も宜しくお願いします!!
ピーター
ー ー ー ー
P.S. TikTokでアメリカ留学の日常、役立ち情報からハプニング発信してます!見てね〜↓↓↓
(TikTok link: nnn_kt)