11/6は「青いマックの日」なので、ドナルド・マクドナルド・ハウスでの滞在日記を書きました
もしかしたら最近CMを見かけた方もいるかもしれませんが、今年2022年11月6日は、青いマックの日だそうです!
で、…それって何?という方が殆どでしょう。
それもそのはず、「青いマックの日」名称は今年から付けられたものだそうですから。去年まで「マックハッピーデー」と呼ばれていました。
「青いマックの日」何をやってる日なの?
「マックハッピーデー」改め「青いマックの日」は、結局のところ何する日なんでしょう。マクドナルド公式サイトには下記のように書かれています。
つまり、闘病中の子供と家族のための施設へのチャリティーを盛り上げていこうぜ!ハッピーセット買ってね!という日です。
「マックハッピーデー(Mc Happy Day)」という名前は海外のドナルド・マクドナルド・ハウス(Ronald McDonald House)でも使っているようですが、確かにこの名前、日本ではあんまり馴染みがないというか、なんかちょっと特売日みたいな印象です。イトーヨーカドーのハッピーデーの印象が強すぎる。
ちなみに、この期間にはドナルド・マクドナルド・ハウス財団主催のチャリティーラン&ウォークイベントもあります。参加費は個人で2000円で、アプリに登録してみんなでチャリティーラン&ウォークすると、デジタル参加証や、10円が寄付されるマックのドリンククーポンがもらえたりしますよ!
お仕事仲間と一緒にお昼休みを取りつつマックまでお散歩したり、お子さんと一緒にランニングして、ドリンククーポンを使って休憩し、ハッピーセットを買って、楽しくボランティアするのはいかがでしょう。
https://www.dmhcj.or.jp/run-walk2022/
つい去年まで、私はマックのおうちの形の募金箱の存在は知っていても、実際にその募金箱にお金を入れたことはありませんでした。
だいたいマックでのお買い物時ってモバイルオーダー&楽天Edy決済してしまうので、小銭も出なくて…、というもっともらしい理由もあるんですが、正直なところこういう寄附がどう使われていて、誰のためになっているのかがわからない、というのがあって。
ただ、自分の息子が先天性疾患で入院、隣県の病院で入院・手術となったときに、ドナルド・マクドナルド・ハウスの存在に夫と私と息子、私たちはとても助けられました。
これを機に、具体的にどういうところに寄附が使われているのか、少しでも多くの方に知ってもらえたらいいなあと思っています。
寄付金がどう使われているのか
ドナルド・マクドナルド・ハウスには、病気のために入院・通院する20歳未満の子どもとその家族が滞在できるのですが、1泊1人1000円で利用できます(別途リネン代が必要、患者さんは無料)。
えっ、破格じゃないですか?そんな金額で成り立つんですか?と思いました。
ただ、子供を入院させるにあたって、金銭的な負担って結構多いんです。
これから入院・手術にあたりどれだけお金がかかるかもわからない。子供の負担を減らすために個室にしてあげたいけど、個室差額費用は結構高い。入院前や退院後に、新生児・乳児を抱えて大人用ベッドで添い寝するわけにもいかないので、安いだけのビジネスホテルは選べない。入院したからといって子供を置いて遠くの家に帰るわけにもいかない。そんな中、何週間もホテル滞在は経済的に辛い。大人のご飯は毎日のように外食かスーパー・コンビニになるかもしれないので、通常時より食費や生活費も嵩む。ホテルが必ずしもいい場所にあるとは限らないので、病院までタクシーを使うしかないかもしれない。
病気の子供を支える上で、すでに精神的な負担を感じているにもかかわらず、更に金銭的な辛さがのしかかります。ある程度大きいお子さんだったら、ご家族に対して、金銭的にも肉体的にも負担をかけていることに申し訳なさを感じてしまうかもしれません。
そういった状況の中、ドナルド・マクドナルド・ハウスに滞在することで、宿泊費を大幅に節約することができます。大体のハウスは大きな病院の近くにありますので、お見舞いや通院にも行きやすく、交通費を抑えることができます。もちろん子供が一緒に宿泊することを前提としている施設なので、ベビーベッド等もお借りすることができます。キッチンもあり自炊も可能です。お風呂にはソープ類があり、別に購入していく必要はありません。
これらのハウスの運営は、全て寄付で賄われています。
財団職員さんも何名かいらっしゃいますが、それ以外は全て有志のボランティアスタッフさんによって、丁寧にお掃除され、メンテナンスされ、運営されています。利用家族に提供される物品も、部屋の家電も、全て寄付・寄贈品です。多くの協賛企業さんからも、社員さんがお手伝いに来てくださったり、自社製品を寄贈してくださっているようです。
つまり、マクドナルドのお店で誰かが寄付箱に入れてくださった数百円のおかげで、私は、病気の乳幼児を抱いたまま、ドラッグストアでわざわざトラベル用シャンプーを買う必要なく、真っ直ぐハウスに向かって、シャワーを浴びることができたのです。
どなたかが、三角チョコパイを、マックフルーリーを買えたはずの少しのお金を、募金箱に入れてくれた。その勇気に、心から感謝しています。
ハウスでの滞在中の様子
私はドナルド・マクドナルド・ハウスとちぎに滞在したため、以下は、とちぎハウスのことについて記載しています。
各地域のハウスや、感染症の流行状況によって、対応や設備が変わる可能性もありますが、私がお世話になった時のことをそのまま記載しますね。
2022年夏時点ではコロナが少し落ち着き、利用家族の受け入れを再開した直後で、利用者さんもまだ多くはなかったようです。滞在家族が私たちだけ、というタイミングもありました。
まずはくつろぎスペース、リビング
とちぎハウスは最近リニューアルをしているとのことで、家具はどれも新しそうで綺麗でした。
また、リビングとは別に本がたくさんあるお部屋(多目的室)もあります。0歳向けから小学校高学年向けの本など、幅広い年齢向けに多種多様な本がありました。
こういった施設ならではですが、子供が自分の病気を理解するための絵本などもあり、手術や入院に向けて話をするためのきっかけにもなりそうです。
子供向け設備はもちろんですが、マッサージチェアや、海外ドラマDVDも何本かあったりしました。、そこには大人も楽しめる小説や漫画もあります。(ナウシカの漫画とか、伊藤計劃のHarmony、ベルばら全巻とかがあったんですが、ボランティアさんの趣味…?笑)
こういった、大人向けの娯楽やリラクゼーショングッズがあることに最初は驚いたんですが、実際滞在してみて、必要があって置いているということに気がつきました。
小さいお子さんの入院の場合、付き添い入院なども考えられますが、術後管理のためのPICU入院期などは付き添いができないため、毎日〜隔日の数時間のみのお見舞いになることもあります。お見舞いの時間を過ぎてしまうと、やることがないんですよね。見知らぬ地をお散歩するのが好きな人ならいいですけど…。そうすると、やることがなくて、引きこもりがちになってしまうし、気分も落ち込んでしまう。孤独って、つい嫌な想像を呼んでしまうんですよね。これらの本やアイテムは「こんな時に進んで本を読む気にはなれないかもしれませんが、せっかくなので気分転換をしてもらいたい」と、ご家族のために用意された、ボランティアさんからの心遣いなんだなと思いました。
気になるごはん事情、ダイニングとキッチン
共用のキッチンは、イメージとしては「ダイニングテーブル付き家庭科室」って感じです。鍋、包丁、炊飯器やボウルなど、一般的な調理器具は大体揃っていました。消耗品としてジップロックやラップなどもあり、本当に食材さえあれば料理ができます。
その食材についても、寄贈品がたくさんストックしてあったため、積極的に利用させていただきました。とちぎハウスは特にお野菜が手に入るそうで、よく冷蔵庫に入っていました。お米も棚や冷蔵庫内にぎっしり!
あとはインスタントのスープや飲み物、カレー、きっとどこかの会社で保管されていた災害備蓄品の2L水、レトルト味噌汁やポトフなどもありました。
結構嬉しかったのは、麦茶ポットがあったこと。夏だったので、持ち込みの麦茶パックでたくさん麦茶を作ってたくさん飲みました。
また、ハウスではたまにボランティアミールというものをいただきました。これは、施設のボランティアスタッフの皆様が、寄贈品の野菜やお米を駆使して美味しいお食事を作ってくださり、滞在家族に提供してくださるものです。ミールの提供は毎日ではないですが、新鮮なお野菜などの寄贈品が入ったりすると作るのかもしれません。
私たちの滞在中も、何度かボランティアミールをいただきましたが、どれもお野菜たっぷりでボリューミーで、とても美味しかったです。
フレッシュバジルの乗ったキッシュにしらすご飯、揚げたてコロッケ、野菜たっぷりポテトサラダと枝豆、夏野菜たっぷりカレーとスイカゼリー、トマト丸ごと炊き込みご飯は、主婦の知恵に溢れていて驚きました。…どれも美味しくて、思い出のメニューです。手料理っていいなあ。ほっこりします。
普段はベテラン主婦をしているボランティアさんたちが、楽しそうにキッチンでわいわい楽しそうにお食事を作っている様子を見ていると、なんだか調理実習やお料理教室のようで、少し元気が湧いてきます。
午前中にミールを作って、ボランティアさんたちのお昼休憩時には、スタッフルームで楽しく食べているようでした。ボランティアさんたちも、本当に楽しんでハウスの運営をしてるんだろうなあ、ということを感じられました。
滞在初日も思いましたが、ハウスとしては「第2のわが家」としてくつろいで欲しいという意図があるようですが、個人的な感覚としては「親戚の家」といった感じを受けました。
楽しそうにしている人の声が聞こえたり、丁寧に使われたキッチン道具が生活感に溢れてたり、置いてあるお菓子や飲み物はどんどん自由に食べてね!と言っていただいたり、出かける時にいってらっしゃい、帰ってきた時におかえりなさいって言ってもらえたり。でも、プライベートの空間もあるのでちゃんとくつろげる。あの感覚は「親戚の家」か「夫の実家」ですね…。笑
家族のプライベート空間、お部屋
うちの子(当時生後3ヶ月)は、ハウスでお借りしたベビーベッドで寝てもらっていました。大人はシングルのふかふかベッドが2台。お部屋は写真があんまりないんですが、滞在中に七夕があったので、折り紙を使って七夕飾りを作りました。
お部屋の感じは、普通のシティホテルくらいでしょうか。
お部屋にはケトルがあり、お茶やミルクの調乳に役立ちます。ただ、お風呂はトイレ付きのユニットバスなので、赤ちゃんと一緒に入るのはちょっと大変かも。夏なのでしっかり温まる必要まではなかったので、バスタブにお湯は張らずシャワーで済ませました。エアコンは業務用の大きいもので、最初は調整に手間取りましたが慣れたらとても快適でした。
愛を配ってます、ハートフルカート
ハウスによっては、ハートフルカートという、青い可愛いカートがあることがあります。とちぎハウスも入り口にこのカートがありました。
カートの中には、お子さんが病棟内で使えるおもちゃ・文房具、家族が使える日用品などが入っていて、必要なものを自由に持っていけます。ハウスの中で必要なものを提供するという意味だけでなく、近くの病院の入院病棟や小児科のロビーなどに、カートごと出張に行くこともあります。
入院病棟へお見舞いに通っている時に一度お見かけしましたが、通院中のお子さんや家族の皆さん、楽しそうに品物を選んでいました。こういったカートの中に入っているものも協賛企業や有志の団体・個人からの寄贈品だそうです。
ありがとうございました、チェックアウト
ホテルではないので、チェックアウト時はお部屋のお掃除などは利用者自身で行います。ベッドにかかっているリネン類は自分でランドリー室に持っていき、トイレの掃除をし、お風呂場の水滴も拭き取ります。最終日前日あたりから、先にお風呂場は洗っておいたり、ケトルは水を抜いて乾かしておいたりしていました。最後に、配布されたチェックリストを見ながら、ゴミ袋を換えたり、掃除機をお借りして髪の毛などが落ちていないようにお掃除をしたり、忘れ物がないよう点検しました。それでもなぜか夫の靴下がお部屋に落ちていたようで…。その節はお手数をおかけしました。。。
たくさん助けてもらったので、今度は助ける側に
ハウスでの滞在は、本当に私たち家族にとって素敵な時間でした。入院予定の病院の近くにハウスがあったことも、利用者受け入れ開始したタイミングでお世話になることができたのも、本当に幸運でした。
利用申し込みのためにお電話する前までは、「空いてなかったらどうしよう…もっと重い病で大変な状況のお子さんのご家族がたくさんいたら、私たちが使うのは申し訳ないな」などと色々考えていましたが、お電話対応してくださった方も、ハウスで本当に出会った全てのボランティアの皆様も、私たちが過ごしやすいように適切に心を配ってくださいました。本当にありがとうございます。
もしかしたら、今後も何らかの事情が重なった場合はお世話になることもあるかもしれませんが、今のところその予定がないのは喜ばしいことです。
とはいえ、せっかくできたこの素晴らしいご縁を、このまま終わりにしたくないな、という気持ちがありました。「滞在の記録をブログ等に書いてもいいですか?」とお尋ねしたところ、財団のスタッフさんからも是非にとおっしゃっていただきましたので、このnoteを書いています。
ぜひ私も、物品や寄付で今度は支える側になりたいと思っています。が、まだ今は育休中なので、職場復帰して収入が入るようになったら、まとめて寄付をしようと思います。税金の寄付金控除ありがたや…。それまでは、ハウスの存在を広めたり、物品寄贈のボランティアなどでお役に立れればいいなあと思っています。
この記事を読んでくださった皆様、マックでお買い物の際には、レジ横のハウス型の募金箱を見て、この記事を思い出してもらえたらとっても嬉しいです。ホットアップルパイのような温かい優しさが誰かに届くことを今日も願っています。
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