見出し画像

頭がぷつんとなる薬

「このままやったらカッターで自分の太もも刺すところやったから電話かけた」

あぁよかった、貴方はこの夜も死なないでくれた
この電話に出られなかったらどうなっていたんだろう
私は貴方を今回助けられたんだろうか。

私にとって”死”というのはものすごく近いもので、
この先なにがあっても頭から離れることはない記憶なんだと思う。
私があと2年生きたら、貴方はこの世に居るのだろうか。
私はさっさと死にたいとか言っちゃうくせに貴方には生きていてほしいって思うのは死ぬほど我儘だよねごめんね。
軽率に、じゃなくて本当に死にたいと思うことは無くならないけれど、
貴方が居るうちはまだ生きていたいと思う。
でも、絶対生きているよなんて約束が出来なくてごめんね。

「𓆟は2年経ったら、本当にいなくなると思ってるよ。
猫みたいに最後は静かに居なくなるんだろうなって。」

あぁでも私は貴方に同じことを想っているよ。
私が生きているうちにいつの間にか居なくなっちゃいそうで、
私が救うことが出来ないところまで離れてから、ばいばいって言われちゃいそうで、
貴方が自分で自分を傷つけそうになったと言う度に私は本当に悲しくなる。そしてその度に、私は貴方にこんな思いをさせていたのかと気付く。
ごめんね、こんな気持ちになるんだね。
私が傷を増やすたびに貴方は私のことを絶対に否定しなくて、
私が今治そうと思って本当に毎日我慢して、
この傷を恥じていることに対してさえ否定しない。

「貴方が一生懸命闘った証だからなにも恥じなくていいんだよ。
いつか傷に頼らなくても生きられる日が来るよ、大丈夫」

こんなにも優しい言葉をかけてくれて、
いつ何時も他人のことを否定しない貴方。
顔が綺麗で、
自分の話をするのも、他人の話を聞くのも上手で、
偶に他人に甘えることが出来て、
他人を絶対に傷つけない優しさがあって、
嫌なことをされても笑って誤魔化さない強いひと。
私みたいな人間に対しても、相手が誰であろうと同じように優しさをくれる本当に優しいひと。

私は今、貴方に会えていないね。
毎日電話して、顔は見ているけれど貴方とちゃんと笑う為に今は会わないでおこう。
画面越しの貴方を救いたいと思うんだ。
自己満足だと思う、貴方はそんなこと望んでいないかもしれない。
でも、私は貴方に前を向けなんて絶対に言わないよ。
そもそも前なんてどっちだよ、って貴方は言うでしょう。
貴方が向いている方が前じゃんね、間違ってないよ。
一緒に居て本当に楽しくて、一緒に居てこんなにも安心できる場所で、
どんどん高くなる壁をひょいと乗り越えてくるように見えるひと。
本当は誰よりも努力しているんだよ。
私が作ってしまう薄っぺらい笑顔をぶっ壊してくれる最高なひと。
私が怖がらずに会いたいと言えるようになったひと。
自分の気持ちに正直になれるようになったひと。
何処が、かはっきりとは分からないけれど落ち着くし
居場所とは言わないけれど、帰ってもいいような場所だと思っている。

貴方はもう覚えていないだろうけど、
今朝あんなに涙を流して、死にたがっていた貴方は、
つらくて死にたくて堪らない朝を迎えた貴方は本当に強いんだよ。
強いひとほど、つらいことを沢山経験してきたんだろうな。
布団から出るのがほんとうに苦しくて、
支度が思うようにいかなかったり、やけに足が重たくなったり、
玄関のドアを開けることを躊躇してしまったり、
やっとの思いで外に出ても、街の音がよく聞こえなかったり、
全部投げ出したくなるときがある。
こんな想い知りたくなんてなかった、だけど、
この想い、痛みを知っているひとは他人の痛みに寄り添うことが出来る。
貴方は絶対に他人の痛みを馬鹿にしないし、否定しない。
貴方だったら聞き入れてくれるだろうな、と思って話したことも沢山ある。
間違いなく貴方は他人を救うことが出来るひと。
だからさ、貴方を救いたいんだよ。


貴方が今日此処で死んでしまうくらいなら、
私の為に、私が死ぬまで生きていて。


また涙で前が見えなくなってしまった。
泣き虫でごめんね、だけど私は貴方のことになったらこんなにも弱いんだなぁ。
これ以上大切なひとを失いたくない。
私が出来ることならなんだって代わるから、
お願いだから生きていて。
お願いだよ、大切なひと。

画像1


私の文章で人生が小さじ1杯だけでも楽になりますように、そんな思いを込めて記事を描いています。 サポートして下さった貴方と、いつか珈琲が飲めますように⋆͛☽.゚