食べること は 生きること

敗者にも勝者にも平等に喜びを与えてくれるのが「食」なんだよ

と、言われたことがある。
確かにそうだな、忘れたらいけないね。
どんな人でも動物でも植物でも“生きる”ことをしている限り食事というのは喜びのはずだね。

じゃあ私はなんでそれが出来ないの？

昨日久しぶりに1人前のオムライスを食べた。全部食べた。
食べられないと思った。なんなら全部食べるのは怖かった。
だけど食べたよ。
すごい怖かった。食べなければよかったかな、とか思ってしまった。
私の中ではまだ
“1人前全部食べられた！”
じゃなくて
“食べてしまった”
の感情が勝ってしまうみたいだ。
だから晩ごはんはサラダにした、悲しいな。
でもね、美味しいって思いながらごはんが食べたいの。
だけど怖いの。この気持ちがあなたは分かる？
笑いながら、美味しいと思いながらご飯が食べたい。食べたあとに後悔せずに、不安にならずに、食事の記憶を楽しいものにしたい。
なのに、
私はいつまでもごはんが怖い。
だけどね、頑張らなきゃいけないんだ。
約束したから。

この前病院に行ったら隣に女の子がいた。
心療内科は後回しにされがちなのかな、めちゃめちゃ待つよね。分かるよ。
その女の子ね、すごい細いの。長袖やったけどそれでも分かるぐらい細い。そして同じだ、傷がある。
その子は泣いてた。
名前は知らないし聞けなかったから分からないけどちょっとだけ話をしたよ。その体型でこの科にいるということはもうどういうことかわかるよね。
タオル渡して私は聞いた。
「ごはん食べるのすき？」
って。
そしたらね、泣きながらすきって言ったの。

すごいよ好きなのにこんなに戦ってるんだよ強いよえらいよ。
こわい、とか つらい、とか 痛い、とかを全部全部無理して笑顔に変えなくてもいいんだよ。
自分の弱いところをｷﾞｭｯってすることばっかり上手になっちゃだめだよ。
「私なんか食べなくても大丈夫」ってあなたは言うね、その気持ちは痛いほど分かるよ。ほんっとに分かる。
だけどね、
「大丈夫」は無理する為に使っちゃだめだよ
「大丈夫」は無理しない為に使う言葉だよ
無理して「大丈夫」って言わなくて「大丈夫」だよ

と、思わず伝えてしまった。
そして約束した。
無理はしないでいいから、
次病院に来る時までに1回でもいいから、
自分の食べたい人と、食べたいものを食べてみようよ。
って

だから昨日は食べられたのかな。
めちゃめちゃこわいよ、
これだけのカロリーを1度でも体内に入れたということ。
1人前 を食べたという事実。
胃の中に食べ物があるという感覚。
そしてそれを吸収するということ。
でもこれはいつかほんとに誰かと笑いながらごはんを美味しいと思えるようになる為に絶対に必要なことなんだよな。
ただでさえ自分の存在価値を否定しているのに、ごはんを食べるという行為さえ否定しなくてもいいと思えるようになりたいな。

好きな人と食べるごはんが1番美味しいということを私は知ってるよ。
そして私が美味しいと言うと笑ってくれる人がいるよ。
無理はしなくていいと言ってくれる人がいるよ。
だけど食べたらすごい褒めてくれる人がいるよ。
毎日じゃなくていいから、ちょっとずつでも強くなろうね。
この前出会った女の子との約束を、そして貴方との約束を私は守るよ。
きっと「大丈夫」だよ。